カンブレとは何ぞや? それは“カンニング・ブレス”の略語です。
ブレスコントロールは、声楽の基本中の基本のテクニックであり、これがまた難しくてツライものです。歌っている時は、決められた場所でしか息をする事はできず、どんなに苦しくて酸欠になろうと、絶対にブレスをしてはいけない箇所ってのがあるわけで、歌っている時は、自分のタイミングで息をする事は許されません。
そんな理不尽な事を全うするために、歌手たちは呼吸筋を鍛えて、ブレスコントロールの腕を磨くわけです。
しかし…合唱では、そんなブレスコントロールなんて求められません。だって、大勢で歌っているんだから!
もちろん、合唱においても、望ましいブレス箇所というのはあって「ブレスをするなら、ここでして欲しい」と指定されている事は多々あるわけだけれど、そこ以外で、絶対に、ブレスをしてはいけないという事はなく、団員同士、互いにブレス位置が重ならなければ、別にどこでどうブレスをしようとも、それは全くの自由です。ダメなのは、ブレスをしてはいけない箇所で、全員が一斉にブレスをしてしまう事であって、ブレスをしてはいけない箇所では、究極のところ、誰かが歌っていればいいわけで、その誰かの中に、必ずしも“私”が入っていなくてもいいわけです。
このように、本来、ブレス箇所ではないところで、自分だけがこっそり息をする事を“カンブレ”って呼ぶわけです。つまり、周りとブレス箇所が被らなければ、どのタイミングでブレスをしようと、全くの自由ってのが、合唱の良さなのです。
いいなあ、カンブレ。ほんと、うらやましいよ。
独唱ではブレスの有無は、周囲から丸見えですから、絶対に所定の位置以外では許されません。どんなに苦しくても、どんなに酸欠で眼の前が暗くなっても…です。そうならないために、日頃からの鍛錬と卓越したブレスコントロールが求められるわけです。
なので、私のような、中途半端にしかブレスコントロールができない奴が、苦しむわけです。なんとか頑張ってブレス箇所を守りながら歌おうとして、しばしばブラックアウトの危機を感じながら歌うわけです。
いやほんと、酸欠は苦しいのよ。
蛇足 フルートを含めた管楽器では、カンブレはありませんが、循環呼吸というテクニックがあります。これは「息を楽器に吹き込みながら、自分は息を吸う」というテクニックで、これを使うと、自由自在に自分のタイミングでブレスができますし、恐ろしく長いロングトーンもできます。さほど難しいテクニックではありませんので、これを習得すると、カンブレ同様、息苦しさから逃げることができます。これも独習には無いテクニックです。つまり、何をどうあがいても、苦しさから逃れられないのが独唱って事ですね。
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