最近、ようやく分かりつつある事って言うのは「上アゴを開く」とか「クチの奥を後ろに引っ張る」とかの動作です。
これらの言葉そのものは、歌を始めた当初から言われ続けてきましたが、でも当時は、一向に理解できず、当然全く出来ませんでした。
今思えば、なぜ理解できず、全く出来なかったのか…それは、それに必要な神経と筋肉がなかったから…だろうと思われます。
例えば「上アゴを開く」と言われても「上アゴってどこよ?」と思ってしまいました。人体的には、上アゴとは口蓋の俗称ですが、口蓋が開いたら…そりゃあ“口蓋裂”という病気であって、普通の人は口蓋を開く事はできません。だから「上アゴを開く」のは無理なんです。だいたい、口蓋は骨だし、関節ないし…、開くわけないんです。
つまり「上アゴ」というのは口蓋を指しているわけではなく、声楽におけるオカルト表現の一つなわけで、じゃあ「上アゴってどこよ?」って話ですが、開く…というからは可動部分の事を指すわけだから、口蓋垂の部分を“上アゴ”と呼んでいるのだろうけれど、口蓋垂は“垂”というだけあって、垂れ下がっているモノであって、開けるモノではありません。
「上アゴを開く」の正解は、咽頭部の気管(鼻からクチにかけての気管)を膨らませて、気管の容量を増やす事なのでしょう。このあたりの気管は、喉頭部の気管と違って筋肉のチューブですから、膨らませる事は可能ですが…生きる上で、そんな動作は必要ありませんから、普通の人はできません。そんな行動をさせるための運動神経なんてろくに働いてませんし、それは筋肉も同様です。だから「上アゴを開く」の正体が理屈で分かっても、神経も筋肉も動きませんから全くできなかったわけです。
つまりノドが不器用なので動かないってわけです。
似たような事例に、小指を自由に動かす…というのがあります。皆さんは、両手の小指を自由に動かせますか? 多くの人はそんな必要がないので、あまり自由には動かせません。せいぜい、薬指と連動させて動かすくらいでしょう(薬指と小指は、同じ神経と筋肉によって支配されています)。
でも、それでは楽器は演奏できません。ピアノもフルートもヴァイオリンもギターも、小指は薬指とは独立して自由に動かせなければいけません。だから、練習をして、小指を自由自在に動かせるようにするわけです。
実はノドもそうなのです。ただ、小指と違って、目で動きを確認できませんから、それが動いているのかいないのかが分かりづらく、それ故に自由に動かせるようになるには時間が掛かるわけです。
それがようやく、少しずつだけれど、気管を膨らませられるようになってきて「上アゴを開く」とか「ノドの奥を引っ張る」と言われるオカルト表現が理解できるようになったわけです。できるようになると、それらのオカルト表現に関しても、なんか納得できるわけです。だって、気管を広げる動作って、まさにそんな感じなんだもの。
後は、さらに自由にノドを膨らませられるようになれば、もっとラクに歌えるようになるんだろうなあ…と期待をしています。
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