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大きな声は不要である

 もちろん、これは歌う時の話です。人前で歌う際、別に大きな声で歌う必要はありませんし、大きな声で歌おうとするのは、あまり良いことではありません。

 無論、この話には前提条件があります。日頃から、歌うためのトレーニングをしていて、歌う筋肉がある程度出来ていることが必要です。

 そもそも、日頃から歌っていない人の場合は、声が十分には出せないわけで、大きくとか小さくとかが、そもそも無理な話なのです。日頃歌っていない人は、まずは発声のための筋肉を作ることが最低限必要です。

 しかし、声楽であれ、合唱であれ、日頃から歌っている人の場合は、ある程度の筋肉が出来ているわけですから、そういう人の場合は、大きな声で歌おうと意識する必要は全くありませんし、むしろ、そんな意識をもって大きな声で歌っているつもりでも、それは周囲から見れば「なに、あのオッサン、イキっている?」と思われるだけですし、その歌声は大きな声のつもりでも、単に“うるさい”だけの“怒鳴り声”でしかありません。

 「なぜ、そんなことが分かるの?」 自分が通ってきた道だからです。

 大きな声を出そうとして力めば、それは大声ではなく、単なる怒鳴り声ですし、自分に大きく聞こえる声は、そもそも内に籠もった声で、美しく聞こえません。本当に大きな声は、自分の中にはよく聞こえません。そういうものです。

 合唱など、常に集団の中で歌っている人の場合は、どうしても声が自分の内に籠りがちだったりしますので、そこに注意しないといけません。

 大きく聞こえる声には2つの条件があります。

 1)息にのって、外に運ばれている声
 2)倍音豊かで響く声

 つまり、簡単に言ってしまえば「遠鳴りの声」なのです。そして、そんな遠鳴りの声は、歌っている自分には声量小さく聞こえたりします。ですから、よくホールの響きを聞いて、会場で反射する自分の声を聞いて声量のコントロールをする必要があります。

 大きな声を出したければ、力むのでなく、共鳴腔を大きく開いて、たくさんの息を吐けば良いのです。そうすると、自分では実感が無くても、声は大きくなっているものなのです。

 ですから、その人の最大声量というのは、その人が持っている共鳴腔の大きさで決まってしまうのかもしれません。努力次第で大きな声が獲得できる…というのは、一種の幻想であって、だから大きな声で歌おうと考える必要はないわけです。自分が持っている声量の範囲の中で歌えばいいだけの話で、それ以上を求めるのは、無理な話なわけで…。

 大きな声で歌える人というのは、大きな共鳴腔を持っているという、一種の才能の持ち主だったりするわけです。

蛇足 初心者の頃は、自分の声が大きく感じられると、それだけで鼻高々な気分になるものですが、周囲からすれば“イキった怒鳴り声のオッサン”って迷惑なだけなので、大声を求める心は、早い段階で封印するのが吉です。私も周囲にたくさん迷惑をかけたものです(お恥ずかしい)。自分の才能の範囲で歌を楽しむのが良いと思います。

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