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ピアノ合わせとは?

 声楽は、残念ながら無伴奏で歌うという事は基本的にはありません。人前で歌う時は、必ず伴奏が伴います。多くの場合は…ピアノ伴奏って事になるでしょうね。

 自分で伴奏して自分で歌う、弾き語りで歌うとか、伴奏CDを用いて歌うとか、そういう時は別として、多くの場合は、ピアニストさんの世話にならないと、歌手は人前では歌えない…という悲しい事実があります。なので、人前で歌う際はピアノと一緒に歌うわけですが、リハーサル無しの本番一発で歌う…というのは、まあ無いよね。それは歌手にとってもピアニストにとってもリスキーこの上もないからね。

 となると、事前リハーサルとしての“ピアノ合わせ”を行う必要があります。では、ピアノ合わせって、どうやってするんだろ?って話になります。

 「え? ピアノ合わせでしょ? ピアニストさんと一緒に歌っとけばいいんじゃないの?」

 まあ、そりゃあそうだけれど、ただ闇雲に歌っておけばいいって話じゃないよね。クラシック声楽って、ポピュラー音楽とは違って、必ずしも規定の速度で、インテンポで歌われるわけじゃない…どころか、歌手によって、テンポの揺れ方って違うわけだから、そこらの確認をするのが、ピアノ合わせなんだろうと思います。

 ざっと考えても、以下の3点について、ピアニストさんとのすり合わせが必要だろうと思います。

 1)基本のテンポの設定
 2)ブレス箇所の処理の確認
 3)ルバートの箇所と程度の確認

 1)基本のテンポの設定  もちろん、作曲家が定めたテンポとか、慣習的に用いられるテンポってあるけれど、実際に歌う時は、それに従わなきゃいけないわけではないし、その通りに歌えるわけでもありません。無論、作曲家が定めたテンポを尊重する事は大切だけれど、その曲で表現するのは歌手自身なのだから、歌う歌手にとって、もっとも効果的なテンポを事前に決めておく必要があるし、それをピアニストさんに伝えておかないといけません。

 もしそうでなければ、予期せぬテンポでイントロが始まってしまったり、歌いながらピアニストさんを誘導してテンポの修正をしなければいけません。それは…大変な事ですよね。

 2)ブレス箇所の処理の確認  これ、案外、歌手による癖が出るんですよね。ざっくり言えば“拍内ブレス”をする人と“拍外ブレス”をする人。箇所によって拍内・拍外を使い分ける人。拍外ブレスの場合、どれだけのタイムをブレスに使うのか? などなどです。

 アマチュア歌手は、案外、このあたりを大雑把に考えている人もいるようですが、だいたいのピアニストさんは、これを結構シビアに考えています。なので、どこでどのようにブレスをするのかは、ピアノ合わせの前に決めておいた方がいいし、ピアノ合わせの時に事前に伝えられるなら、その方が時間の節約になります。

 3)ルバートの箇所と程度の確認  クラシック声楽は、程度の差はあれ、必ずメロディーは揺れます。揺れるから、合わせるのが難しいわけで、アンサンブルには必ず指揮者がいるのは、そのためです。歌の場合は、指揮者がいませんので、指揮者の役割は歌手がするべきです。そこをピアニストさんに任せてしまうと…その歌は誰が歌っているのか分からなくなります。それくらい、メロディーの揺れを管理するのは、表現者として大切な事です。

 どこでどのようにどんな程度、メロディーを揺らすのかは、ピアノ合わせの前にきちんと決めて、ピアノ合わせの時にピアニストさんに伝えるべきです。そうする事でピアニストさんの負担が軽くなり、より音楽に寄り添ってもらえるようになります。

 以前の私のように、歌うたびにメロディーの揺れ方が違う…なんてのは、ほんと、ピアニスト泣かせだと思いますよ。そんな事はしちゃダメなのです。

 あと、ピアニストさんがクラシックピアノ系の方の場合は、歌う際に、アドリブとかフェイクとかコブシ(?)等を入れるつもりがあるなら、事前にそれを伝えておいた方が良いです。一般的にクラシックピアノ系のピアニストさんはアドリブに弱い方が多いので、予告なくメロディーを変えて歌うと、ビックリされますからね。まあ、ビックリするだけで、大抵の場合は、それなりに対応してもらえますが、ビックリさせないに越したことはありませんからね。

 私はこんな事を考えながら、ピアノ合わせに臨む事が多いです。ピアノ合わせって、時間が限られているし、普段接点のない方にお願いする事が多いですから、お互い時間を有効に使いたいもので、こちらで準備できる事は、なるべく準備しておくべきだろうと考えています。

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