先日、R.シュトラウス作曲の「サロメ」を見てきましたが…ううむ、109シネマズ湘南で見てきたのだけれど、なぜか今回の「サロメ」は8時45分からの上映でした。なぜ、こんなに早い時間? いつもなら、11時とか12時とかから始まるのに(涙)と思いながらも、頑張って映画館に早く行きました。そんなに早い時間なのに、バスの時間の都合で、1時間も早く着いてしまったので、朝食は映画館側のマックで朝メニューを食べました。ソーセージエッグマフィンだね。割と美味しかったよ。
さて「サロメ」のスタッフ&キャストは以下のとおりです。
指揮:ヤニック・ネゼ・セガン
演出:クラウス・グートサロメ:エルザ・ヴァン・デン・ヒーヴァー(ソプラノ)
ヨカナーン:ペーター・マッティ(バリトン)
ヘロデ王:ゲルハルド・ジーゲル(テノール)
ヘロディアス:ミシェル・デ・ヤング(メゾソプラノ)
ナラボート:ピョール・ブシェフスキ(テノール)
面白いか面白くないかで言えば、めっちゃ面白かったです。でも、この上演はあまり他人には薦められないなあ…と思いました。と言うのも、正直「この演出家“サロメ”をダシにして、別のことをしたかったんだよね」って思ってしまったからです。
とにかく、音楽とセリフは「サロメ」でしたが、芝居は全く「サロメ」ではありませんでした。これ、サロメとは違う芝居だよね。まあ、面白かったけれど「サロメ」を期待して見たら、あんまり違うんで、呆気にとられてしまうと思いました。
とにかく、超絶に下品で胸糞悪い物語でした。元々「サロメ」って上品なお話ではないけれど、今回の演出は、すごぶる下品で胸糞悪く仕上がっていました。まあ、私自身、下品で偽悪な人間なので、こういう下品で胸糞悪い話は大好物だけれど、普通の人にはかなり厳しい話かもしれないなあと思いました。
「サロメ」って聖書の話を元にしていて、キリスト教の成分がかなりたっぷり入っているはずなのに、この上演では、キリスト教成分はほぼほぼ抜けていて、その代わり、元々の「サロメ」にはない(性的なものも含む)児童虐待の話が加わっていて、その虐待を受け続けていたサロメが、加害者である継父のヘロデ王に復讐をして、見事に成し遂げるって話にすり替わっていました。
それって違うよね。
だいたい、オペラのクライマックスである“7つのベールの踊り”が“7人の少女が継父に虐待を受けるパントマイム”に置き換わっていました。まあ、元々の“7つのベールの踊り”って、はっきり言っちゃえばストリップで、ダンスの最後にサロメが一糸まとわぬ姿になる…という演出で、これはさすがに令和の時代に、そのまま舞台で演じることはできないだろうなあって思ってました。だって、そのままじゃあ、現代アメリカの価値観だと、女性蔑視だしポリコレ的に不味いよね。だからどーするんだろ?って思っていたら、女性のストリップよりもメシマズな児童虐待が来るんだもん、いやあ、ほんと胸糞悪いです。
キリスト教的な成分が削除されていたのは「たぶん、そうなるだろうなあ…」とは予期していました。だって、今のアメリカはトランプ時代だからね。トランプの大きな支持母体って、キリスト教の福音派だし、福音派っでのは、別名“ファンダメンタリズム”って言われているわけで、ある人たちによれば、かなり狂信的な集団であるとみなされているわけで、だからオペラでキリスト教っぽい事をやったら、メトが彼らの襲撃を受けかねないけれど、どーするんだろ?って、マジで思っていたので「ああ、そう来たか!」とは思った。だけどその代わりが、こんなに下品で胸糞悪い話になるとは、そこまで思っていませんでした。
それにしても、今回の歌手たちは、歌はもちろんだけれど、芝居が実に一級品だね。おそらく、歌わなくても、ストレートプレイであっても、ちゃんとした舞台に立てる人たちだなって思いました。ほんと、アメリカのエンタメ業界のレベルの高さを改めて感じ入った次第です。
それを思うと、日本のオペラ界なんて、児戯にも等しいわな。比較対象にすらなりません。
そんなわけで、オペラを見た…というよりも、現代演劇を見てきた…って感じだし、こういう下品で胸糞悪いのは、現代アメリカの闇なんだろうなあって思いました。そういう意味では、大正解なんだけれど、でもでも、これって、作曲家のR.シュトラウスや、原作者のワイルドや脚本家のラハマンが見たら、どう思うだろうか…なって考えてしまった私でした。明らかに違う作品に仕上がっているんだもの。
つまり、オペラってオワコンって事なんだろうね。だから換骨奪胎して、こんな胸糞悪い悪趣味な現代演劇になってしまったのだと思うわけです。
蛇足 終わりの30分ぐらい前に、二人組の老婦人が劇場に入ってきました。で、オペラが終わって、その人たちが「最初から見たかったわ(涙)」と言ってたのを聞いてしまいました。そうだよね、普段のメトのライブビューイングなら、これから上演開始って時間だよね。だから、いつものつもりで映画館に来たら、もう始まっていて、ビックリしてしまったんだろうし、だから高いチケット代を支払ったにも関わらず、最後の30分ぐらいしか見られなかったんだよね。まあ、この二人が情弱なのが悪いとは言え、今回だけの上演開始時刻の変更っては、やっぱりダメだったんだと思いました。オペラなんて、年寄しか見ないんだから、もっと情弱な年寄に配慮しなきゃ、映画館産業自体が、ダメになってしまうよ。
蛇足2 お昼はバーガーキングを食べました。朝はマックだったけれど、昼はバーガーキング。食べて思ったのは「私はダントツで、バーガーキングが好きなんだ」と思った次第です。ああ、毎日、バーガーキングのワッパー食べたいです(マジです)。
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