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シューベルトの歌曲を歌える声って、どんな声?

 声楽のレッスンに行ってきました。

 今回からドイツリートは新曲の「Im Abendrot/夕映えの中で」になるので、さっそく、その次の課題曲を決めることにしました…が、あっさり決まってしまいました。シューベルト作曲の「An Silvia/シルヴィアに」です。こんな感じの曲です。

 有名な曲ですね。ちなみに歌っているのは、ガヴァン・リングというテノール歌手です。この曲をテノールが歌っている…というのは珍しいのです。有名な歌で、歌詞を見ると男性の歌なのですが、女性歌手やバリトン歌手が歌っている事が多いです。

 ちなみに、私が持っていった楽譜は原調の楽譜なのですが、先生がおっしゃるには、なかなか目にしない調なのだそうです。つまり、多くの歌手は移調譜で歌うのが普通なのでしょうね。

 別にこの曲に限らず、シューベルトの歌曲は移調譜で歌われる事が多いような気がします。

 シューベルトの歌曲は、もちろん例外はあるけれど、基本的にはヨハン・ミヒャエル・フォーグルという歌手を想定して書かれている曲が多いです。で、このフォーグルという歌手がなかなか厄介な歌手で、彼の声種は…おそらく今で言う“ヘルデン・テノール”なのだろうと推測されます。つまり「バリトンの音色とテノールの音域を兼ね備えた歌手」なのです。今でも、たまにドイツ系の歌手に見られる声です。

 世の中には「テノールの音色でバリトンの音域の声」を持つ、バリノールとかテノリトンと呼ばれる歌手は星の数ほどいますが、彼はその真逆の「バリトンの音色とテノールの音域を兼ね備えた歌手」だったわけで、これは凄い歌手だったって事です。今なら、ワーグナーを歌えるような歌手だったんだろうと思われます。いやあ、実に素晴らしい歌手ですね。

 でも、そんなすごい人を想定して書かれた歌曲なので、それを歌うのは…なかなか大変と言えば大変なのです。作曲家であるシューベルトが想定している声色と音域を両立している歌手って…そりゃあ多くはないわけで、声色を優先すれば、原調歌唱では厳しく、音域を優先して原調歌唱を優先して軽い声質の人が歌えば、その声色が曲の雰囲気に合わない…とも言えます。そんな事もあって、昔は「シューベルトの歌曲は、どの声質にも合わない」と言われていたそうです。

 まあ今では、いくらシューベルトの作曲とは言え歌曲は歌曲なのですから、歌手たちが自分の声に合わせて、それぞれに歌えば良い…という事になり、自分の声色を優先して、低めに移調して歌われる事が多いのだそうです。だから、シューベルトの歌曲はテノールでの歌唱が想定されて作曲されているけれど、現実問題として、シューベルト歌いにはバリトン歌手が多いわけは、たぶんそんな理由なのです。

 今ではシューベルトの歌曲を男声が歌う時は、その音色に合わせて低く移調された楽譜で歌い、女声が歌う時は(音色は最初から合わないのですから)作曲者が書いた音域に合わせて原調で歌われる事が多くなったとも考えられます。

 まあ、色々なのです。

 で、私の場合ですが、私の場合は音域を重視して、原調で歌うようにしています…ってか、低く移調してしまうと、私の場合、却って歌いづらくなってしまうのですよ。もっとも、私の声はシューベルトを歌うには、軽い声質すぎるかもしれませんが(笑)。つまり、そもそも私は、シューベルトを歌う声じゃあ無いって事です(汗)。

 でも、勉強のために、シューベルトは歌わないと…ね。

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