昨日の続きです。
合唱人が声楽を勉強する際の支払う代価について、さらに考えてゆきます。
合唱だけをやられていた方は、いわゆる「合唱声」になっている方がいます。合唱声というのは、私の個人的な印象では、割と薄目で左右によく広がる柔らかい声といった感じ? これは声楽というか、独唱で必要とされる声とはかなり違います。
またそうでなくても、合唱人には個人的なレッスンを受けたことのない方が多く、発声そのものに強い癖(そば鳴りとか喉声とか鼻声とか…)を持っている方も少なくありません。
ですから多くの場合は、声楽を始めると、声の再構築というか、作り直しというか、スクラップ&ビルドをやることになります。
どんな事をするかと言うと、色々の人の話を総合すると…
~合唱を含め、歌うことを禁じられる~ まずはこれですね。ひとまず歌を禁止して、徹底的に呼吸と発声を見直し、正しい発声を会得する。
全く歌っちゃダメな人もいれば、限られた音域のみOKとか、そこは人それぞれ。また、歌えない期間も人それぞれで、短くて数カ月~一年近くでまちまち。私の場合は、一オクターブに満たない音域(中音域のレ~シ)のみ発声可で、その状態がだいたい三カ月くらいでした。
もちろん、その歌えない数カ月を我慢すれば声が完成するのではなく、その数カ月を経なければ、スタートラインに立てないという事である。その歌えない数カ月を経て始めて声楽を学び始めることができるのである。
つまり、今、合唱団で楽しく合唱している人が、声楽を習おうとして、まずは何カ月から一年近くも我慢して歌わない生活ができるかがポイント。
声を作り直している時に、普通に歌ってしまうと、以前の歌い方が身体から抜けず、いつまでたっても声を作り直す事ができなくなってしまう(らしい)ので、この歌わない期間というのは、とても大切らしいです。習う前から理想的な発声ができている人は別でしょうが、まずは癖を取り、声を一度白紙に戻して、そこからリセットをかけて、声を声楽的なものに作り直すという事なのでしょう。
何カ月も歌わずにいられますか? 私は案外苦しかったです。歌わない代わりに、呼吸の練習と、出していい音の範囲内でのスケール練習ばかりやってましたが、やっぱり歌いたいものです。だいたい歌が好きだから声楽を勉強しようと思ったんだしね。
だからもし、声楽をきちんとやろうと思ったら、合唱団を最低1年は休団する覚悟が必要かもよ、だって歌えないのに合唱団にいてもダメでしょ。禁煙中の人が喫煙者の集団にいたら禁煙なんてできないと一緒です。
さてさて、どうする?
その3は無いつもりですが…なんか思いついたら、続編を書くかもしれません。
コメント
「合唱声」にもレヴェルがあると思います。
相当訓練されたものとそうでないのと。
もちろん専門とするジャンルによる違いも。
うちの合唱団は全く訓練されてない、癖のある声の人の寄せ集め・・・ですね。(笑)
歌を禁止される話・・・で、私の記事に書いた友人のことを思い出しました。(彼女は合唱をやっていませんでしたが。)
私は何も禁止されませんでしたが、最初に付いたソプラノの先生のところで最初に”鼻腔共鳴”を教わりましたが、合唱の時はこれだけでよいくらいだ・・・と言われました。(もちろん必要なのはそれだけではないのですが。)
私は歌が好きだから声楽を習ったのではなかった…というところが、大きく人と違いますね。いわゆるPTAのママさんコーラスというのには興味がなかったので参加しなかったし、聴くこともしなかったのでした。(あ、フィッシャー=ディスカウの歌が好きだったんですが、男性のせいか「音楽」としか思ってなかったです。)もしかしたら、くせがついていなかったのがよかったかもしれませんね。
声楽を習おうと思ったのは本当はきちんとしたボイストレーニングを受けたかったからで、「発声だけでいいんですが~。」と最初は言っていました。でも歌も歌わないときちんと発声ができるようにならないと言われてナンカ歌わないといけないんだ~と思いました。確かに発声でできていても歌うと出来ないことがよくありますね。
声楽を習い始めてからソプラノのCDとか買って聴くようにしましたが、初めは聴くこと自体に違和感がありました。今は色々参考になるなあと思って聴けますが。
合唱はバッハの宗教曲を何度も聴きましたが、どれも素晴らしい歌ばっかりでした。
私の知り合いが歌のグループレッスンをカルチャーセンターで習っているので聴きにきてほしいと言われて行きましたが、10人ほどのメンバー全員が全く発声ができていなくて、知り合いはハモリの音程が取れないのでソプラノを歌っているそうです。歌う前には発声練習をするそうなんですが、これじゃあ、先生がつらいだろうなあと先生の心配をしてしまいました。
色々あるんですねえ~~~。(^^ゞ
声楽の分野には全くの新参者です。(笑)「あいうえお」も習わずに小学校に入学して、ただ今3年生の1学期です。
>Ceciliaさん
私も昔々、最初に習ったメゾの先生の時は何も禁止されませんでしたよ。その先生曰く「何もいじっていない、白紙の声ですね」と来たもんだ。変な癖が付いていなければ、すぐにスタートに立てるわけで、Ceciliaさんもおそらく、そんな状態だったのではないでしょうか?
私はそのメゾの先生のところを辞めた後、しばらく合唱&独学でしたので、その間に変な癖が付いてしまったのだろうと推測します。で、キング先生に付いた時は、すでに白紙ではなくなっていたので、歌の禁止から入ったのだと思います。
>ticoさん
声楽のレッスンにせよ、合唱団の活動にせよ、本当に千差万別、色々あるようです。(相性はもちろん、目的とか、教授方法とかも含めて)自分に合った先生や団を探す事は本当に難しいと思います。それこそ自分に合わない先生に習っても、お金と時間の無駄ですからネ。
しかし、ハモリの音程がとれないからソプラノというお知り合いさんには困ったものですが、実はそういうソプラノさんって、町の合唱団だとたくさんいます。声質がソプラノならばいいのですが、そうでない方もソプラノをやっていたりするので、ソプラノとその他のパートの音色差があまりない団もたくさんありますね。
そうそう、ticoさんが小学校の3年生の1学期なら、私はさしずめ1年生の3学期ってところです(笑)。
こんにちは。
おたおた日記からまいりました、おたふくです。
この記事、とても興味深く読ませていただきました。
私も、合唱をやって、もう22年になります。
一時期、喉を壊したにもかかわらず、
先生に習っていなかったので、とにかく声を出さなきゃと喉を締めて声を出し、それが癖になってしまいました。
合唱は続けていますが、正しい発声法をもう一度習い始めました。しかし、声楽をやると、合唱で、飛び出てしまうことをやっぱり心配しています。
でも、明らかに楽に声が出るんですよね。
自分でも、他の人に迷惑をかけないように、気を付けているところです。
>おたふくさん、はじめまして。ブログの方は実は以前から拝見しておりました(笑)。
おっしゃるとおり、きちんと声楽(というよりボイトレ)をすると、楽に声が出ちゃうようになりますが、確かに合唱で飛び出してしまう点は心配ですね、そこが難しいですねえ…。でも長い目でみた場合、変な癖(失礼)は早めに取ってしまった方がいいので、正しい選択だと思いますが、いかが。
はじめまして。
今年に入ってからこのブログに偶然出会いまして、最近はよく覗かせていただいてます。
30代後半の女性なんですが、数年前からコーラスに入りまして、現在では二つのコーラスにレギュラーで参加し、もう一つのコーラスにプロジェクトの時だけ参加しています。最近では歌うことが楽しくって楽しくって。
しかし。
パートはソプラノ(単純に、メロディが簡単で覚えやすい、どこでもソプラノがたいてい人が足りない、と言う理由からです)で、高音域は必要とされる範囲なら割と出せるのですが(と言っても、ソ♯くらいまでです、お恥ずかしい)、もともと声量が少なくか細くて頼りなくて通らない自分の声が嫌で仕方ないのです。だからコーラスで歌ってるんですけど。
それで、何とかもっときれいに歌えないものかと、インターネットで発声法なんかを勉強したりしてます。
のどを開ける発声など、独学ですが身につけようと練習したりしています。のどだけで歌っていたんだ、と言うことがようやく感じられるようになって来たくらいのレベルです。歌いすぎるとやっぱり声が出にくくなりますから、まだまだまだまだ、のどで歌ってます。
それでもやはり、一度きちんと発声を習いたいなあと思うようになったのですが、それで、この記事、大変興味深く読ませていただきました。
私は、歌声だけでなくて、話す声もまったく通らない小さな声なんです。少しでも雑音のある空間だと、向かい合っている人と話をするのも苦労するくらいです。そんなことがすごくストレスで、人前で話したりするのも大嫌いです。
そこで疑問なのですが、発声法を習うことで、歌う声も話す声もきれいに響いて通るようになるのでしょうか?それともやっぱり発声の仕方が違うからそれとこれは別?話し方は話し方の発声法を習うべきですか?それはちょっと、かなり退屈そうで正直気が向かないんですが。
実は私、ドイツで生活してまして、ヨーロッパの言語は日本語に比べて歌の発声に近い、とどこかで読みまして、ひそかに期待しているのです。
習うとすれば、クラッシック系の声楽の先生、と考えいてます。
ご意見お聞かせいただければ幸いです。
長々と大変失礼しました。
これからも更新を楽しみにしています。
>はじめまして、もりさん。
私の乏しい経験から、質問にお答えします。
まず、日本語では、話す声と歌う声は別です。
話すことを商売とするアナウンサーや俳優の方々が、全員、美声で歌が上手というわけでなく、声の美しい方もいれば、そうではない方もいるし、歌の上手な方もいれば、そうではない方もいることからも、それは分かります。
というわけで、話し声だけで考えるなら、演劇の発声法を学ばれた方がよいと思います。
しかし、歌の勉強と普段の話し声は全く関係ないとは言えないと思います。
歌であれ、話であれ、腹式呼吸は基本ですし、のどだけでなく、体全体を使って声を出す点も一緒です。かなりの部分、共通すると思います。
それに実際、声楽をやっている方は、皆さん、話し声は立派です。柔らかめの美しい声で話す方が多いですし、しかもそれがよく通るのです。声楽が進歩するにつれ、話し声もそれに伴って美しくなるので、声楽をある程度やった人と、私のような初心者では、普段の話し声で、その違いがバレてしまう程です。
これは、声楽の練習を重ねることで、発声に必要な筋肉が鍛えられ、体自体も声がドンドン響きやすく変わってゆくからだと思います。その影響で、話し声も通りが良くなり、音量も自然と大きくなるのだと思います。
もりさんはコーラスをやってらっしゃるということなので、そういう意味では、声楽を学ばれることは、良いことだと思います。
結論としては、声楽をやられると良いのではないかと思います。
すとん様
早速のお返事ありがとうございました。
そうなんです。
プロジェクトで参加したとある町の教会コーラスで歌っていたバスのソリスト氏が、普段の話し声も柔らかで通りが良くって、もちろん滑舌も良く、すごく素敵なんです。
背中を押していただいて、気分が前向きになりました。これから、呼吸テクニックやStimmbildung(声を作ること?)を守備範囲にしている声楽の先生を探してみようと思います。
ありがとうございました。
これからも更新を楽しみにしています。
>もりさん。
私の拙い意見が、お役に立てたようでなによりです。良い先生が見つかるといいですね。
そちらは何しろ、音楽の本場ですから、良い先生がたくさんいることでしょう。こちらでは、特に地方では、本当に先生探しに苦労するのですよ。その辺は、うらやましいです。
もりさんの声が、今より一層美しくなり、人生が楽しくなられることを、心の底からお祈り申し上げます。