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マスクは恐ろしい

 先日、某市民合唱団の定期演奏会に行ってきました。まあ、こんなご時世なので、こう書くだけで、どこの団体なのか特定できちゃいそうだけれど、そこは分かってもコメントとかに書かないでね。どこで誰が検索して、ご迷惑かけちゃうかもしれないからね、よろしく。
 とにかく、合唱団の定期演奏会に行ってきたんです。上手な合唱団ですけど、アマチュア合唱団ですから、細かく見ればあれこれあるにはあったけれど、全体的な演奏自体は水準以上でした。
 ただ、マスクは恐ろしいなあと感じました。
 私はこの団体の普段の力量を知っているので、今回の合唱の出来にはやや不満足でした。とは言え、その不満足なレベルであっても、有象無象な他の合唱団と比べれば、素晴らしい出来なんだけれど…ね。
 彼らが当日使用していマスクは…我々が日常的に使っているモノではなく、いわゆる“合唱用”のマスクでしたが、それでも声への影響は大きかったです。いつもなら、当然のように客席に飛んでくる声が、ほぼほぼ合唱団員たちの足元に失速して落ちていくのを感じました。あれは、側鳴りとも違うわけで、ほんと「声が足元に失速して落ちていく」って感じなのです。ウソウソ、ここはそんなレベルの合唱団じゃないでしょ!
 原因はマスク…なんだと思います。たかが布1枚(?)だけれど、これが口元にあるか無いかは、このレベルの合唱団員さんには大きな問題なのだと思いました。こんなご時世だから仕方ないのかもしれないけれど、やっぱりマスク無しで歌わせてあげたかったし、マスク無しの合唱を聞きたかったです。
 ソリストたちはマスクなんてしてなかったんだから、合唱もマスク無しでよかったんではないの?ってのは、私の個人的な感想です。
 マスクは合唱団の歌唱レベルを1段階も2段階も下げる効果があるみたいです。
 と言うのも、このコンサートでは、この合唱団(結構人数の多い立派な合唱団です)の他に、とてもアマチュアとは思えない程に腕扱きで名高い小さな合唱団がゲストで一緒に歌っていたのだけれど、こっちの小さな団体の歌声も、とても上手にしか聞こえませんでした。普段の彼らの歌唱と比べても、明らかに、1段階2段階、レベルが下がっているなあ…。素晴らしいのだけれど、普段の彼らの歌唱は、こんなモンじゃないよなあ。
 いやあ、マスクは怖い。ほんと怖い。数年間をかけて、積み上げて作ってきた音楽が、マスク1つで、こんなにされちゃうんじゃあ、私はただの観客だけれど、怒りがこみ上げてきます。ひどいよ。うん、ひどすぎます。
 誰が悪いのかと言えば、コロナ禍が悪いんだし、コロナウィルスを開発した人たちが悪いんだけれど、やはり、マスクをしなきゃ人前で歌っちゃダメという、社会の暗黙のルールも良くないと思います。
 観客席から十分に距離のある場所から歌うんだから、マスク無しでもいいじゃん。飛沫なんて、そんなに飛ばないよ。でも、それが許されないのが、今の日本にある“同調圧力”って奴だ。どんな場面でもマスクマスクマスク…マスクこそが感染予防のマストアイテムだー!…ってわけです。だから合唱団もマスクをして歌わないといけないわけです。
 ああ、怒りでフツフツします。
 でもね、それはともかくだけれど、本当に久しぶりに音楽を生で聞きました。ああ、うれしい。細胞レベルでうれしかったです。
 しかし、いつもなら周囲の人たちに「今度、○○のコンサートに行くんだよ」と自慢しまくる私なのですが、今回はだんまりを通しました。と言うのも、下手に自慢すると「コロナなのにコンサートに行くの?」って言われそうだなって思ったのです。ましてや合唱のコンサートだからねえ、合唱はコロナ禍初期にクラスター出しているからね。分かっている人ほど、合唱だと分かれば止めてくる可能性があるよね。でも…行ったんだよね。バカだと言うなら言ってくれ、命知らずと言われりゃあ、その通りかもしれません。それでも私は音楽を生で聞きたかったんだよ。
 ああ、ほんと、音楽もまともに聞けないなんて、嫌な世の中になったもんだ。

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