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この頃は逃げ切れれば良いなあと思ってます

 「何から逃げ切るのか?」と尋ねられれば、それは“世の中から”です。

 なぜ世の中から逃げたいのかと言えば…だって世の中ってだんだんと悪くなっていくじゃない? ばけばけの主題歌じゃないけれど、日に日に世の中が悪くなってきている…と感じています。

 いや、正確に言いましょう。世の中は、良くなっている部分も当然あるのだけれど、悪くなっていく部分もあるじゃない? その世の中の悪くなっていく部分が、これ以上悪くなって、生活が恨めしくなる前に逃げ切りたい。つまり「今のほどほどに良い世界の中で、寿命を全うしたい」と願っているわけです。

 例えば、今までは世の中はデフレだったけれど、これからはインフレになっていくでしょう。ま、そうでなければ、日本は終わりだし、子どもたちに未来は無くなるわけだから、日本国民としては、インフレは大歓迎なんだけれど、現役を引退して、これから年金ぐらしのお年寄りになる身としては、インフレはかなり困った状況であります。

 だって、年金って、給料と違って、インフレになっても、そんなに増えないからね。いやむしろ、マクロ経済スライドなんやら…の仕組みで、インフレになればなるほど、年金は実質目減りするように設計されているわけですから、年寄の生活は、今後どんどん苦しくなるのだから、あんまり苦しくなって生活困窮を感じる前に死んでしまいたい…と思っているからです。

 マクロ経済スライドというシステムがあるから、日本の年金システムは、まず絶対に破綻する事は無いので「100年安心」というわけで、この言葉には、デジタル思考では嘘が無いと言えるのだろうけれど、我々のようなアナログ人間には「安心」の中身が不安になるわけです。まあ、年金が無くなる事は無いだろうし、年金暮らしができなくなるわけでも無いのだろうけれど、生活レベルはちょっとは下がるよね。だから、そんな年金の不足を補うために“老後2000万円問題”が出てくるわけよ。ちゃんと貯金がないと生活できない…って話よ。

 まあ、少々の生活レベルダウン程度なら、貯金を少しずつ切り崩して、我慢して生きていくわけだけれど、その我慢ができるほどの“ちょっと”なら我慢するけれど、我慢できなくなるほどのレベルダウンになるのは困るわけで、そんな世の中がやってくる前に死んでしまいたい…というのか、本音です。

 あとは…病気かな? 長生きすれば、病気になるリスクが増えます。ガンとか認知症とかの老人病は、なんとも憂鬱ですね。特にこれらの病気は、発症したからと言って、コロリと死ねるわけではありません。また、それほどの大病でなくても、心身に不調をきたすようになって、要介護状態になれば、結局、そんな不自由な状態のまま生きていくわけで、そんなのはツラいので、そうなる前に死んでしまいたいのです。

 いや、病気というほどでなくても、最近よく耳にする“フレイル”というのも、ちょっと勘弁ですね。

 とまあ、今のところ、経済と健康の2面から「早く逃げ切りたい」と思っていますが、おそらく、本当にヨイヨイのジジイになれば、もっともっと別の問題からも逃げ出したくなるんだろうなあって思うわけです。

 長生きがめでたかったのは昭和の話です。今や長生きしたからって、決しておめでたいわけじゃないのです。少なくとも、私は、それを願っていません。

 適当に余生を楽しんだら、程々のところで死んでしまいたいのです。もう、この世に未練は、ほとんど無いからね。

 平均寿命まで生きる…そんなのはイヤだ、恐ろしいよ。

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