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細かい音符が続く箇所は……習字で言えば『画数の多い漢字を書く』要領で歌えばいいんじゃないかしら?

 …合唱の練習に行ってきました、遅刻でしたが(恥)。いやいやいやいや~、私の名誉のために書いておくと、私は普段は遅刻などしない人なんです。むしろ、早く会場について幹事の人に嫌がられるタイプの人なんですが……節電ダイヤ?で運行が間引かれている上に、ダイヤも乱れていて、なんかずっと?電車が来ませんでした。参ったね。おまけに、会場についてからも、入団手続きとやらで右往左往してしまって、すっかり遅刻ですよ。私が練習会場に入った時は、体操がすでに佳境に突入していました。…私は体操をしっかりやりたい人なので、体操が出来なかったのは、かなり残念無念な事なのです。

 入団手続きのところで、楽譜の購入となりましたが、私は赤い全音版(音符部分はベーレンライター版と同じ)を持っていますので購入しませんでしたが、妻は青いベーレンライター版の楽譜を購入しました。青い楽譜は見るからにカッコいいですね。なんか、ちょっと羨ましいです。

 でも、中を見たら、歌詞がドイツ語(驚)で、そのドイツ語の歌詞の下にイタリック体で英語のオリジナル歌詞が付いてました。…さすが、ベーレンライターはドイツの楽譜屋だな、オリジナル歌詞よりも母国語歌詞を優先しているわけだ。日本でのメサイア歌唱は、普通、オリジナルの英語で歌われるのが通例だから、これ、結構、見づらい楽譜だよ。私は全音版でいいや。こっちの版はドイツ語歌詞が無い分、見やすいもの。

 しかし、オーディションもなければ、声聞きも無しで、本人の申告で、入団許可がおり、パートが決まる合唱団と言うのも、なかなかオツだね。あるいは、私向きとも言えるかな? ここでオーディションなどがあって、私の声をしっかり聞かれてしまったら、合唱に不向きな事がバレバレですからね。却って好都合というものです。

 さあ、たっぷり遅刻して、入室したところでやっていたのが『バタフライ体操(?)』でした。これは何かと言うと、水泳のバタフライのように腕を動かしながら発声をするというもの。最初は簡単簡単とナメテかかりましたが、実は結構シンドイ体操だったりします。腕やら肩やらの筋肉が痛くなるし、息が上がります。結構な運動量です。

 しかし、こんなシンドイ体操が、発声にどんな影響が与えるのか? なんとなく解せないまま、やっておりましたら、指導のY先生から説明がありました。なんでも、腕を一生懸命動かす事で、ノドに力が入るのを防ぐのが目的の体操なんだそうです。…まあ、確かにこれだけ腕をブンブン振り回していたら、気も散るし、力も入らないし、喉声じゃあ歌えませんね(お見事)。

 さて歌の練習です。最初は前回の続きで、19番“Behold the Lamb of God”です。この曲はリズムの読み替えがあって、基本的に「八分音符は十六分音符に置き換えて、全体的にリズムが跳ねるように歌う」のだそうです。ま、例年の事のようなので、周りの諸先輩の歌い方に追随していけば問題ないでしょう。

 途中、強弱の指定がありました。何ヶ所かpで歌うことになりましたが……ここの合唱団のpは、本当に“かそけきp”でございまして、私の最弱音ですら、会場に響きわたるほどの音量でございました(涙)。ううむ、ヤバいヤバい…。

 今回、ここの合唱団では「(私の)声は目立たせない、聞かせない」という方針で歌ってますが、ここのpは本当に手強いです。ううむ、ここは気息音(つまりささやき声)で歌うか、クチパクにするか、いっそ落ちてしまうか…悩みどころです。しかし、気息音にしても、私の場合、子音が響きわたってしまいそう(涙)。やっぱ、クチパクかなあ…。

 19番が終わったところで「じゃ、パート練習ね」という事で、男女別に部屋を分かれて練習しました。当然、合同練習で使っている小講堂(“小”と言えども、かなり広い会場)は女声に譲り、男声が上の階にある図書室に移動して練習です。

 男声のパート練習の指導にあたってくださったのが、本日のピアニストさん(女性)。女声パートの担当がY先生(男性)ですから、ちょうどそれぞれのパートを異性の指導者が教えると言うわけで…確かにこの方がモチベーション上がるかも。少なくとも、オッサンジイサンたちは、若い女性の指導者の方が「ここは、良いところを見せてやるか!」と気合が入るというものです(爆)。

 パート練習の最初に「この曲(メサイア)を始めて歌う方はどれくらいいますか?」という質問があったので、挙手したら、私一人だけ(?)。「じゃあ、サア~っと通せばいいですね(笑顔)」と来たもんだ。お~い、初心者、おいてけぼりかよぉ~(涙)。

 …ま、メサイアなんて、合唱やってれば、誰でも歌える程度の基本中の基本のようなレパートリーだからねえ…。こういう扱いは仕方ないよね(ちょっと納得いかない…)。

 しかし、小講堂だと、会場の広さに負けて、声が散ってしまう団員の皆さんですが、図書室くらいの狭さだと、結構、声がビンビン聞こえますね。むしろ私の声の方が聞こえないくらいです。ま、彼らは狭い部屋の方が歌いやすいのでしょうね?

 21番“Surly”、22番“And with His stripes we are healed”、23番“All we are sheep”の三曲は、事前に自宅でしっかり音を取っておいたから、まあ、なんとかなりました。…ってか、前回の練習の様子から、今回はこの三曲まで音取りをしておけば十分だろうとタカをくくっていたのですが、これらの三曲は本当にサラサラ~と流されてしまいました。

 で、39番“Halelujah”です。まさか、この曲まで来るとは思わず、この曲の準備は全くしていませんでした…が、数年前に歌った事があるので、その時の事を思い出しながら歌ってみました。しかし“Halelujah”には、難問鬼門の高いAがあります。これだけ高い音を見ると、ついつい気合入れて歌いたくなりますが…それは禁忌と言うものだね。とりあえず、ここでは、この音も脱力系の声で響き優先で歌いましょう。しかし、さすがにこれだけ高い音を脱力系の声で歌うと…ファルセットになっちゃいますが…そこは勘弁勘弁です。オペラ声で押し気味の張った声よりも、ファルセットの方が、合唱的だしね。

 この4曲をやったところで時間切れでパート練習は終了。ふう、こちらの思惑よりも一曲多かったけれど、まあなんとかなったかな?

 そうそう、このパート練習で、ピアニストの先生が良い事をおっしゃっていたので、書いておきます。それは「細かい音符が続く箇所は……習字で言えば『画数の多い漢字を書く』要領で歌えばいいんじゃないかしら?」 なんか、目からウロコが数枚落ちたような気がしました。うん、そうかもしれない。

 お習字で、ひらがなを書く時と、画数の多い漢字(例えば「憂鬱」とかね)を書く時は、筆の使い方が変わりますでしょ。ひらがなは線に力を込めて、太々とした線でしっかりと書きますが、画数の多い漢字は、むしろ、線の一つ一つは軽く洒脱にし、全体での見晴らしを優先した筆遣いで書きますでしょ?

 楽譜が単純に見えるメロディは、音の力とか美しさに心を込めて歌っていかないといけませんが、音符の細かいところ(つまり、メリスマの部分)などを、メロディを歌うのと同じ要領で歌ってしまうと、騒がしいし、旋律の動きが鈍くなって、歌が遅れ気味になります。メリスマは、メロディと違って、軽やかな声で軽快にフットワークよく歌っていかないといけません。一つ一つの音の美しさよりも、フレーズ全体の美しさを優先して歌っていくわけです。ピアニストという人種は、自分では歌いませんが、歌をよく聞いている人なんだなあと思いました。うん、メリスマは、画数の多い漢字なんだと思う事にしました。

 で、パート練習が終了して、休憩時間になりました。団の女性幹部の方が一枚のCDを持ってやってきました。そのCDには「ブルックナー ミサ曲第三番 テノール音取り練習用」と書かれていました。話をうかがったところ、この合唱団はメサイアの他に、現在、ブルックナーのミサ曲第三番を練習しているそうで、私に、そのブルックナーの練習に参加して欲しいと言うのですよ。

 うほほ、なんか、うれしいね。今まで、どこの合唱団に行っても、邪魔者扱いしか受けてこなかった私ですが(いや、実際、私の声は本当に、合唱団だとジャマな声だと思いますよ。なにしろ、Natural-born soloist だもん)、始めて、この手の一本釣りの対象になって、本当~~にうれしいです。今までは、そばで一本釣りされている人を見ては「自分はまだまだだなあ…」って思っていましたからね。これも自分の声を偽って、小声で歌っているからかな? なんか悪い気がします。

 一応、即答は避けて、ひとまず音取りCDは受け取りました。せっかくなので、音取りCDは一通り聞いてみる事にして、ブルックナーの曲は知らないので、音源に当たってみるつもりです。

 ああ~、お気持ちはすごくうれしいし、評価されて天にも登る気持ちですが、私は忙しいんです。声楽の個人レッスンがあって、歌劇団の練習があって、フルートもあって、ヴァイオリンも独学でチマチマやって…。その上に(期間限定なので覚悟を決めて)無理して予定を入れたメサイアの練習なんですが、そこにさらにブルックナーですか? つまり、この合唱団に永続的に参加してくださいって事でしょ?

 うれしいけれど、止めておいた方が無難だよね。そんなに、たくさん練習を入れたら、絶対にパンクするよな…。 だいたい、第九だって召集令状が来ているにも関わらず、パスしたのだから…ねえ。

 合同練習に戻ったところで、47a番“Worthy is the Lamb that was slain”の練習です。お~~~い、その曲、パート練習でやっていなければ、当然、自宅で譜読みなんかしていなよぉ~。…なんて言う、私の心の叫びは軽くシカトで(当たり前か…)で練習が進みました。私は、当然ですが、初見で歌うのです(涙)。

 しかし、当然ですが、47a番“Worthy is the Lamb that was slain”なんて、初見で歌えるほど甘くて簡単な曲ではありませんでした。私は練習の途中から傍観者になっちゃいましたよ。…次回までにしっかり音を取っておこう。

 で、47a番“Worthy is the Lamb that was slain”を一通り通したら、終曲である47b番“Amen”に入りました。さすがに時間もなかったので、最初の20小節分までで練習は終了しましたが…今回はグイグイ行きますねえ。この曲も事前に譜読みなどしておりませんでしたが、以前、音取りをした事があるので、それを一生懸命思い出しながら歌ってみました。

 それにしても、今回の練習、進度速すぎ! 確かにほぼ全員が経験者だから、練習なんてこんなペースでしょうが…ううむ、付いていくだけで精一杯じゃい。

 やっぱ、ブルックナーなんて無理だよな。

コメント

  1. ブルックナーにミサ曲があるって、知らなかった[E:coldsweats02]

    お勉強になります[E:shine]

  2. すとん より:

    >夢見るお姫様さん

     ブルックナー…日本では交響曲、それも馬鹿に長い交響曲の作家として有名ですね。諸外国では、それに加えて、合唱曲の作曲家としても有名です。いや、むしろ、交響曲の作家と言うよりも、合唱曲の作曲家としての方が有名かもしれません。

     とにかく、山のように合唱曲を書いている人ですし、その中には(合唱界では)かなり有名な曲もたくさんあります。

     でもね、そんなにたくさん、実にたくさんの合唱曲を書いているくせに、オペラとか歌曲は、全く書いてない(らしい)んですよ。変でしょ? この人、合唱は好きだけれど、歌はあまり好きではなかったようなんです。

     なんか、それもあって、「ブルックナー?」って感じなんですよ、私にとっては…。

     ドイツロマン派という派閥の作曲家らしいんですが、私にとって、ドイツロマン派ってのは、ワーグナーなんです。で、その対極、つまり一番遠いところにいるのがブラームスです。ところが、ブルックナーはそのブラームスよりも遠くの位置、つまり“圏外の人”って感じですよ。

     なんか、苦手なんだよな~、ブルックナーって。

  3. エーダ より:

    > 画数の多い漢字を書く』要領で歌えばいいんじゃないかしら?

    なるほど、分かる気がします!(感覚的に)
    これって、フルートの演奏でも通用するのかしら?
    合唱だからこそであって、楽器の演奏だとまた違うのかなあ。

  4. すとん より:

    >エーダさん

    >これって、フルートの演奏でも通用するのかしら?

     当然、通用します。ってか、できないとウザいですよ。これはつまり、音色の話なんですよ。あ、一部、奏法の事もかかわるかな。

     まあ、おおげさに考えなくても、大半の人は、無意識にやっている事なんです。ただ、無意識では程度が足りない事もあるから、そこは意識的にやっていきましょうって事なんだと思います。

     声が合唱なら、フルートではフルートアンサンブルや木管アンサンブルの時、つまり、同族楽器で合わせる時に、特に注意しないといけないかなって思います。

     アンサンブルって、勝負事ではないので、勝ち負けって無いでしょ。だから、目立つこと(勝ち?)も必要だけれど、一歩引くこと(負け?)も必要。

     細かい音符が羅列しているところって、演奏する側は一生懸命だけれど、そこって大抵バッキングだったり、装飾音符の羅列だったりしているわけで、大変な割には脇っぽい箇所なんで、あえて“負け”の姿勢で演奏する事も必要なわけなんです。

     そこで困るのは、メンバーにいるオジサン(爆)。オジサンって、負けず嫌い多いからねえ。合唱だとテノールにいるオジサンって、全体を壊しても自分は負けたくないって人が時々います(私も実はそのクチだったりします。あ、今回の合唱団では、最初から負け負けで行くことにしていますので、ちょっと違いますが)。

     最近、私がつくづく思う事は、音楽でアンサンブルをやりたいなら“勝ち負け”の発想は捨てる事です。どうしても“勝ち負け”にこだわるなら、ソロをやるべきだなって思ってます。

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