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合唱団におけるイジメの原因について考えてみた

 声楽をやっている人のうち、少なからぬ人たちは、合唱で嫌な経験をしています。「声が目立ちすぎる」「声が大きすぎる」「一人だけギラギラして声で歌っている」「声が周囲と溶けない」「あなたが歌うと合唱にならない」とか言われてね。合唱経験のある声楽の人なら、これらの事の一つや二つ、身に覚えがあるでしょ?

 別に彼らとて、悪意を持って邪魔をしているわけではなく、自然体で普通に歌っているだけなのです。それだけで「声が目立つ」「大きい」「ギラギラ」「溶けない」とか罵倒されているわけなんです。わざとじゃないんだ…と言っても、合唱の人はそれを信じてくれないのですね。「目立ちたがり屋なだけだろう」「声なんていくらでも小さくできるじゃないか」「ギラギラした声は/周囲に溶けない声は、発声が悪いからだ」と言って、同情すらしてくれません。

 我々は皆さんと同じように、熱心に普通に歌っているだけなのです。ただ、出てくる声が違うだけなのです。

 周囲の方々と同じような声で歌えるものなら、とっくにやっていますって。出来ないから困っているわけだし、申し訳ないと思っているわけです。

 攻撃されている立場では、強くは言い返せないから、皆さん黙ってますが、心の中では「周りの人々がもっとしっかりした声で歌ってくれれば、私だけが目立つことはないのに」「…もっと大きな声で歌ってくれれば…」「…もっと声を飛ばしてくれれば…」「…もっと強い声で歌ってくれれば…」「…もっと…もっと…」と思わない事もないのですよ。ただ、言わないだけです。そんな事を言えば、火に油をそそぐだけで、もっと皆さんのご機嫌を損ねてしまうだろうなあって、なんとなく感じるからです。だから怖くて言えないのです。

 はっきり書いちゃえば、合唱の皆さん方が、今以上に大きくて通りの良い声では歌えないように、声楽に逃げ込んだ人たちの多くは、今以上に小さくて控えめで遠慮した声では歌えないだけなのです。合唱の人たちが声楽の人たちのような声で歌えないように、声楽の人たちが合唱の人たちのように歌うには、かなりのテクニックが必要だし、多くのアマチュアシンガーさんだと、それらのテクニックの習得までは出来ていないのです。

 実際、音量増々で歌うよりも、音量を絞って歌う方が、ずっとずっと難しいのです。

 音量増々では歌えない人に「もっと小さな声で歌え!」と言われると、心の中では「音量を絞る方が、音量増々で歌うよりも難しいんだぞ。なのに、音量増々で歌えないような人には言われたくない…」とか毒づいちゃいます。

 あと、音量を絞って歌うのは、難しい事に加えて、楽しくもないのです。声を出す喜びが薄いのです。つまり声の出る人間にとって、小さな声で歌うというのは『労多くして功少なし』なわけで(声楽をやっている人のすべてにあてはまるわけではありませんが)私のような享楽的な人間だと、本能的に避けてしまうわけです。嫌気がさしてしまうわけです。だって、我々アマチュア音楽家にとって、音楽なんて趣味だよ、趣味。まずは楽しくないと! 自分がハッピーになるために音楽をやっているわけでしょ? なのに、苦労を強いられて、砂を噛むような思いで音楽やるなんて、本末転倒じゃん…という訳で、合唱は好きでも、合唱団に対して居心地の悪さを感じるわけで、そんな状態の時に、イジワルされたり、嫌がらせされたりすると「ええい、こんな合唱団なんか辞めてやる!」という事になるわけです。

 だから誤解してほしくないのだけれど、合唱を辞めて声楽を始めた人たちの多くは、その特定の合唱団がイヤになっただけで、合唱音楽そのものがイヤになったわけではないし、受け入れてもらえる合唱団があれば、喜んで入団して合唱活動をしたいと思う人もたくさんいるわけです。

 「じゃあ、普通の合唱団ではなく、オペラ合唱団で活動すればいいじゃん?」

 実際、そうしている人もたくさんいますよね。ある程度、声の出ちゃう人が合唱やろうと思えば、その道くらいしかないかもしれません。

 私個人の話をすると…オペラ合唱団は、今のところはパスなんだな。と言うのも、オペラ歌うなら、合唱団としてモブを歌うのではなく(たとえ舞台がどんなに小さくても)ソリストとして役名の付いているモノを歌いたいんですね。

 なので、今のところ、合唱はいいか…と思っている私です。

蛇足 合唱団に行くと、やたらと絡んでくる人いますよね。新参者に興味津々と言うべきか、密かに(明らかに?)こちらの値踏み&格付けをしているフシもあります。群れの中での位置づけってのが大切なのは分かるけれど…うっとおしいなあ。あの、うっとおしさがイヤなので、合唱には足が向かない…というのも、正直ありますね。

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コメント

  1. ドロシー より:

    >声の出ちゃう人が合唱やろうと思えば、その道くらいしかないかもしれません。
    そうなんですか?合唱やっている方って、色んな団体を掛け持ちしている方が多いですから、他の団体のカラーを押し付けようという方もいます。
    オペラ合唱団のベテランで、聖歌隊に入っている方がいて、とってもシンドイ嫌がらせでした。声の大きい人は、経験が浅くて高音が出ていない人と一緒に、アルトパートに回していました。

    逆にお勧めなのは、
    ・何かのイベントで歌うということを主旨とした合唱団。本番が終わったら即解散の所。「先輩」がいないし、人間関係もあっさりしている。デメリットは、あまり難易度の曲はやれない。
    ・自分とは違う声種、あるいは器楽の人と少人数のアンサンブルグループを作る。
    デメリットは、全体をまとめる指導者はいない。編制に合った曲を探したりアレンジするのは大変。
    ってところです。

  2. アデーレ より:

    やっぱり合唱は団によりけりで様々。凄い上手い音大出ばかりいるような所から、何年やってもなぜか慣れない声の出し方?をしてる素人集団からおばちゃんコーラスまで色々あり、、声が有る方、或いは大きな声の方、響きのある美声の方は音大出のコーラスグループに混ざり歌うのが自分を高めるにも良いのではないでしょうか?それ以下の集団にいるので色々言われたりする?しかし、音大出の集団ならば違う意味で言われたりのリスクありますよ!(笑)でも声楽レッスン受けてたら基本的に独唱レッスンだから、もはやコーラスには向かない発声を習ってる訳でありまして、コーラスからは解けない声を出して、の苦情はもはや褒め言葉?とほくそ笑でくださいよ(笑)だって解けない声になるように通る声を目指してる訳でして。だから、やっぱ独唱しか駄目でしょうね。。どうしても合唱やりたい人は逆に極小コーラスで声がなくて困っている集団ならば、声のある人は有り難がられ、そのコーラスの核になりますからね!気の利いた指揮者ならばそれを利用して合唱曲のソロにしてくれたりと、良い結果を生むでしょうね。しかし、周りはみんな上手ではないんでそれを聞いて歌うストレスにならないかな、って思う訳よ(笑)しかし優越感は高まりますけどね(笑)すとんさまはそういう環境どうかしら、、。挑戦してみたら意外とよいかもね。。

  3. すとん より:

    ドロシーさん

    >何かのイベントで歌うということを主旨とした合唱団
    >自分とは違う声種、あるいは器楽の人と少人数のアンサンブルグループを作る

     なるほど、確かにそうですね。私、たまに第九合唱団に行くのですが、居心地いいですよ。三ヶ月の練習を経て本番が終われば解散だもの。いいです。

     アンサンブルグループもいいですね。1パート1人はいいです。自己責任が楽しいです。

  4. すとん より:

    アデーレさん

    >だって解けない声になるように通る声を目指してる訳でして。だから、やっぱ独唱しか駄目でしょうね。

     そうなんですよね、そうなんです。とりあえず「独唱しか駄目」なんだと思います。ただ、もっと上達してくると、発声にも自由度が増してきて、独唱でも合唱でもイケるようになるんだろうと思います。そのレベルまで上達すると…合唱も楽しめるかな? なんて思っていたりします。

     それに、私、確かに合唱好きだけれど、今は独唱の方に夢中だからね。少ない人生余暇のリソースを合唱に振り分ける余裕もないってのが本音でもあります。

    >すとんさまはそういう環境どうかしら、、。挑戦してみたら意外とよいかもね。。

     私は優越感を感じられる環境って居心地悪く感じる人です。基本的に人間が真面目なので、努力をしたいのですよ。だから、自分よりもちょっとだけ上手な人たちに囲まれて、切磋琢磨したい人なのです。

     贅沢ですね(笑)。

  5. アデーレ より:

    合唱に関してもう一つだけいいたくなった(笑)。合唱って、本当は自分の声が聞こえてはいけないけれど、ついついどんな声を出してるか確かめたくなり、どうしても張り上げてしまい?それが非常に喉に良くないと思う。独唱なら、出だしから慎重にクオリティに拘ってアタックするけど、、合唱だと厳密には確かめようないからクオリティはイマイチだと思う、合唱で参加し回数を歌うとなると独唱にもへんな癖がつくかもしれないのが怖いなぁ。それはオペラ合唱でもそうね、。だから、合唱は嫌だな、って人いるかもね。こだわり派はやはり独唱でいきましょう、ってことね(笑)連日、失礼しました!

  6. ドロシー より:

    すとんさん、1人1パートの少人数のアンサンブルグループに、本番直後で即解散の合唱団って、いいでしょう?
    私は、よく合唱でいる人で、自分は楽譜が読めないからって、同じパートの人の声を聞きながら歌おうとするのが嫌い。
    溶け込むように相手を意識しながら歌うことに合唱が誤っているとは思わないけど、自分が楽譜を読めない人に限って、他人のミスを非難して、「○○さんのせいで、私も間違った」とか言うものなんだな。
    他人がミスしようが、自分がミスしないようにすれば、良いだけなのに。

  7. すとん より:

    アデーレさん

     そうそう、合唱って、自分の声が聞こえないように歌うモノなんだけれど、やっぱり自分がどんな声を出しているか確かめたくなる…ってか、フィードバックしたくなるので、無意識のうちに声を張り上げてしまう…私、よくやりました。で、自分もノドを痛めるは、音楽としての合唱を壊してしまうは、ほんと、迷惑千万だったと思いますよ。

     でも、自分の声が聞こえない環境で歌うのって、とても怖くないですか? ポピュラー音楽的に言えば、モニター無しで歌えってわけで、それは正気の沙汰ではないです。そういう意味では、合唱って、メンタルが強くないと出来ない音楽なのかもしれません。

    >合唱だと厳密には確かめようないからクオリティはイマイチだと思う

     そこは指揮者次第じゃないかな? 自分じゃ確かめられないけれど、指揮者のコントロールは受けているわけですからね。指揮者に全幅の信頼を置いて歌うんだろうと思いますが…やっぱり私は指揮者を信頼しきれない人だから、合唱に向かないのかもなあ…って思ったりします。

    >こだわり派はやはり独唱でいきましょう

     私が“こだわり派”かどうかは別として、私は自分が大好きなので、やっぱり自分の声がビンビンに会場に響く方が素敵だと思っている人なので、しばらくは独唱で行きたいと思います。

  8. すとん より:

    ドロシーさん

    >同じパートの人の声を聞きながら歌おうとするのが嫌い。

     嫌い…と言うか、駄目でしょ、そんな人。

     他人の声を聞いてから歌っていては、聞いている時間分だけ、音楽が遅れます。遅れる人がいれば、それだけで合唱全体のハーモニーは濁り、音楽がぼやけます。

     合唱団には楽譜が読めない人って…案外たくさんいますが、たいていの団で“音取りCD”を作成して配布しているわけですから、まずはそのCDでしっかり音を取って、音程を暗記して歌うしかないわけで、その程度の努力すらしない人って、合唱以前に音楽に向いていないと思います。音楽って、地道な練習をコツコツできる人じゃないと無理だものね。

    >自分が楽譜を読めない人に限って、他人のミスを非難して、「○○さんのせいで、私も間違った」とか言うものなんだな。

     いるいる…。他人のミスと自分のミスなんて、本来無関係なのにね。ドロシーさんのおっしゃるとおり、他人がミスろうが、自分はミスらなきゃいいだけの話で、自分の失敗を他人のせいにするような人って、団体競技には向いていないのだから、合唱なんてやっちゃ駄目だと思います。

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