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響きは常に上に上に

 第九の練習に行ってきました。今回の練習は、ドッペルフーガの部分(654~762小節)のおさらいと、Sの部分(795~832小節)と最後のプレストの部分(851~最後まで)の音取りでした。もっとも最後のプレストの部分は、時間の関係もあって、アルト以外のパートは一回通しただけで終了扱いとなったので…今年初めての人は大変だろうなあ…。

 来週からは、ガンガン歌い込んでいくそうです。

 今回の私は、私生活が忙しいせいもあり、ちょっと疲れていました。ノドが重くて、声を出すにしても、いつもよりも声帯の抵抗が強めでした。たぶん、ノドが軽く腫れていたのでしょうね。こんな日は、無理せず、鼻唄で合唱するに越したことはありません。

 今回の練習の隠れテーマは 『音のぶら下がりを無くそう』だったようです。それくらい今回のS先生は、一生懸命に、音がぶら下がった箇所を見つけては修正していましたもの。もちろん、あちらこちらのパートで音がぶら下がっていましたが、とりわけアルトを中心にチェックチェックでした。アルトの皆さん、お疲れさまでした。

 『音のぶら下がり』とは、声が必要な音程まで届いていない現象の事を言います。

 もちろん、その理由として、一番多いのは、歌う人の耳があまり良くないために、音程が低いほうにズレてしまうことです。だからこそ“ぶら下がり”と呼ばれるのです。なぜ、こうなるかと言うと、人は高い音を出すよりも、低い音を出す方が楽なので、音感の悪い人はたいてい低めに発声してしまいます。ま、“水は低きに流れる”ってわけです。この場合は、単純に音程を高めに発声すれば解決します。

 でも、これ以外にもいくつかの原因で、音がぶら下がって聞こえてしまう事があるようです。

 例えば、声の響きの問題。基本的な音程は正しくても、声に含まれている響き(声に含まれている高音の倍音)が足りないと、音程的には合っていても、耳で聞いた感じだと、低めに聞こえます。

 また、声のポジションも関係します。声のポジションが下がりぎみだと、声に含まれる響きの低音の成分が増えてしまうので、声が低めに聞こえます。

 さらに、ノドに力が入りすぎて、声がやせてしまい、音がぶら下がって聞こえることもあります。

 以上、三つは、問題の着眼的は別々ですが、実は同じ問題なんです。要は楽に歌う事(つまり脱力)が不足しているため、あるいは無意味に力んでしまうために、音程が必要な高さまで届かずにぶら下がってしまうのです。たぶん私の場合は、このパターンだろうと思います。

 また、第九合唱団は初心者が多い団体なので、仕方ないのかもしれませんが、生声で歌う方が実にたくさんいます…私の声もかなり生っぽいですが(汗)…つまり根本的に響きそのものが足りない発声の方が大勢いらっしゃいますが、こういう方がたくさんいますと、パート全体、団全体の声がぶら下がり気味に聞こえます。

 響きの問題で、ぶら下がって聞こえる場合の対処方法は、みんな一緒。口腔を縦方向に広げて響きを増やして上げることで解決です。

 このように、響きの問題と音程って密接な関係にあります。ですから、タイトルにも書きましたが「響きは常に上に上に」の気持ちが大切なんだろうと思いました。

 また、響きと直接関係ありませんが、歌詞をしゃべってしまうと、音程ってぶら下がるものです。合唱では、歌詞をきちんと観客に伝えることは何よりも大切で必要な事だけれど、そのために音楽が壊れてしまっては本末転倒です。ですから、フレーズによっては、歌詞を犠牲にしても音楽優先に歌わないといけません。ここも要注意です。

 今回の目ウロコ。

 私はテノールなので、同じ男声でもバスの事はよく知りません。今回の練習では、S先生がバスの発声について、バスの人たちに注意をしていましたが、それらは私には“目ウロコ”な事なので、私のための記録として書いておきます。

 バスは胸の中央にある胸骨と鎖骨のぶつかり合う場所の窪みに、常に声を響かせて歌うようにしないといけない。つまり、歌う時は、いつでも思いっきり声のポジションを下げていないといけない。どんなに高い音になって、ポジションは低めに、声を胸に響かせて歌うこと。

 …こうやって、バスらしい発声が作られるようです。ううむ、テノールは常に頭の中に声を響かせているから、胸に響かせ続けるなんて、同じ男声でも、確実に違うところですね。女声はよく、同じ人がソプラノやったりアルトやったりするけれど、男声は発声そのものが、こういう具合に違うから、テノールやったりバスやったりはできません。それには、こういうところにも原因の一つがありそうですね。

コメント

  1. tico より:

    私の前の先生の時にはまだ発声がなかなか出来なかったので、先生があれこれ悩まれて「メゾですかねえ…」と言われました。それでメゾの場合は胸に響かせた方がいいのだと言って、ソプラノの先生でしたがメゾの発声をしてみせてくださいました。胸に響かせてみてくださったのでした。ほんとに、ちゃんとメゾの響きになっていましたよ。

    後日談としては、先生が今の先生に変わってからは胸に響かせる方法は禁止になり、あくまでも頭の後ろへ響かせるようにとのこと。ソプラノまではまだ届いていませんが、出来るだけ高い音へ挑戦させようというおつもりのようです。コンコーネの中声用でも上のソは出てきますしね。またプロのアルトの人はソプラノくらいの高さまで出せますね。たぶん、よく知らないのですが、音の高さというより声の質かもしれませんね。

  2. すとん より:

    >ticoさん

    >音の高さというより声の質かもしれませんね。

     本来は、声のチェンジの場所でパートが決まり、声の質で、同じパートでも色々な種類に分かれます。これが原則。声域は原則、関係ありません(だから、高い声の出ないソプラノさんとか、低い声の出ないアルトさんは、大変な思いをするわけです)。

     例えば、Fis前後で声がチェンジする人は女性の場合、ソプラノなんだけれど、声の質が暗くて力強ければ、リリコ・スピントになるだろうし、繊細で明るければ、リリコ・レジェーロになる。声が軽くて運動性が良ければ、コロラチューラだし。でも、そういう風に厳密に考えていくのは、声楽の世界、それも初級段階を脱してからの話で、声楽であっても初級の段階では声が変わっていくから、そんなに厳密に分けられないし、合唱だと、せいぜい、ソプラノ・メゾ・アルトというザックリした分け方しかないので、そういう風な訓練すらしないのが普通みたいです。

     あと、ある種の合唱では、わざとすべてのパートの声質を揃えるというやり方もあります(むしろ、そういうやり方の団の方が最近は多いかもしれません)し、団内の人間関係に配慮して、わざと毎回パートを変えていく団もあるし…、女声コーラスはよく分かりません(汗)。

  3. tico より:

    合唱のことはわかりませんが、今の私はとにかくできる限り上の音を出せるようにするという練習ですね。例えば上のラをギリギリでも出せるようになっておくとソは楽に出るんだろうし。それと、きれいな発声を練習しています。つい夏ぐらいまでは上のミが出るけれどひっかかったようなミだったのですが、最近はやっとつややかな声になってきました。それでも気を抜くとすぐにダメになりますが。まあ、そういう練習中の身ですので、ソプラノかメゾかわかりませんけど、どう考えてもソプラノとはいいがたい気がしますね。

    合唱をやってた知り合いはアルトをやってたって言ってました。それも厳密な区分ではなくて、まあ、上のメロディか下のハモリかっていうような感じらしいのですよ。

    でも、歌曲でもアルトに向いた歌とかもあるそうなので、今はそういうことは全然考えてません。とにかく色々な歌で練習していくばかりです。

  4. すとん より:

    >ticoさん

     私の場合は、声種は録音をお聞きになると分かるとおり、明らかにテノールですから、とにかくできる限り上の音が出せるように練習中です。でないと、歌える歌がないですからね。とにかく、今は上のラを出せるように修行中です。上のラが出ないと、テノールの曲は全く歌えませんし、上のドまで出れば、かなりレパートリーが広がるので、ひとまずは上のド(Hi-Cという奴です)が目標です。

     ただ、声楽の場合は、オペラをやるわけでなければ、あまり声種の区別は考えなくてもよさそうですよ。自分の声にあった曲を選んで歌えるのが、声楽の良いところですから、ソプラノであろうが、メゾであろうが気にしなくていいみたいです。だから、音域の拡大はもちろん必要な事ですが、何よりも美しい声で歌えることの方が大切だと思います。お互い、頑張って参りましょう。

     ただ、私はオペラとかミュージカルとかに、こだわりがあるので、やはりテノールとしての最低限の音域を確保したいんですよ(笑)。

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