学校の合唱部がどんどん廃部となり、市民合唱団も活動休止に追い込まれる団体が増え、残っている団体も人数が減り、高齢化が目立つようになり“合唱が衰退している”と言われるようになって、幾久しくなりました。その上、残った合唱団も、コロナ禍で活動が停滞状態となって、幾久しいわけです。
そこで、ここではアマチュア合唱団、いわゆる“市民合唱団”について、その衰退理由について主に考察していきたいと思います。もちろん、私の勝手な考察なので、異論反論は大歓迎です。コメント欄でお待ちしています。
若い世代が加入しない
合唱団の高齢化が叫ばれていますが、人は必ず年を取ります。しかし、コンスタントに若い世代が入団していれば、団体の平均年齢は上がりません。逆に言えば、若い世代が入団しないから、団員の平均年齢が上昇し、合唱団は高齢化してしまうわけです。
ではなぜ若い世代は合唱団に入らないのか? 答えは簡単です。若い世代は合唱をしないからです。あるいは、合唱をする人が激減したからです。
まず、若い人が合唱しなくなった事を如実に示すのは、中学校高等学校の多くから合唱部が無くなった事が上げられます。合唱部が無くなれば、若い世代の合唱経験者が減るのは当然です。
ではなぜ合唱部が無くなってしまったのか? それは合唱をやりたい子が減ったからです。ではなぜ合唱をやりたい子が減ってしまったのか? それは合唱をしなくても“歌いたい”という欲望が満足できるようになり、合唱部の人気がなくなってしまったからです。人気のない部活動には誰も入りたがりません。そして合唱部は多くの学校で廃部となってしまったのです。
つまり、合唱部が無くなったしまった原因は、カラオケの台頭だね。カラオケに行って、歌っていれば“歌いたい”という気持ちが簡単に満足できちゃうんです。カラオケなら、煩わしい先輩もいなければ、面倒な練習も無しで、歌が楽しめちゃうんです。そりゃあ、カラオケに行くでしょう。カラオケに行っちゃえば、合唱しようという気持ちも忘れちゃうでしょ?
かつて、合唱とか合唱部や合唱団って、歌いたい素人にとっては、公然と歌う場を与えてくれる装置だったわけですが、それが今やカラオケに取って代わられてしまったのです。
そもそも、長い日本の歴史を見てみれば、日本人が愛した歌って、合唱ではなく独唱だよね。だから、合唱よりもカラオケが好まれるのも、それはDNAの目指す方向通りと言えないわけではないのです。
「いや、だけど、合唱にはカラオケには無い魅力があるでしょ?」
でも、それを誰がいつ教えてくれるのでしょうか?
学校の音楽の授業で合唱は取り上げますが、そこで重視されるのは“ハモリ”であって、歌う喜びではありません。声を出す肉体的な喜びではなく、きれいなハーモニーを作り出す事が重視されるわけで、そこでは合唱は声を使った合奏の一つとして扱われます。
それにだいたい、中学~高校と言えば、変声期真っ盛りであって、どうしても音楽の授業は器楽中心にならざるをえないのです。
だから、そこで音楽に目覚めた子は、合唱ではなく、バンド活動や吹奏楽に向かうわけで、合唱部が廃れてしまったわけです。
さらに学校を卒業した若い世代は…仕事に家庭に子育てに、大忙しです。定期的に合唱団の練習に参加できるなんて、それは稀です。この世代で例外的に定期的に合唱団の練習に参加しているのは、PTAによるママさんコーラスに参加している人たちぐらいでしょう。
それに今の合唱界にはアイドルがいません。高齢者たちの世代の若い頃には、ダーク・ダックスとかデューク・エイセスとかの、アイドル合唱団(?)がいたし、今だってフォレスタのようなグループがいるけれど、若い世代の関心を引くようなコーラス・グループって…皆無だよね。
それでは若い世代が合唱に目を向ける事なんて、まず無いんだよ。だから、市民合唱団に若い世代が入ってこないのだよ。つまり、そういうわけなんです。
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コメント
そこまで若くはない(むしろ中年)ですが、合唱をやらない理由は、お金と暇ですw特にお金www
でも合唱は大好きですよ。普段聞く音楽も合唱曲ですし、コンクールへ観覧も行っています。Nコンに至っては課題曲の楽譜も購入しています。
合唱にはほかの音楽には無い魅力がありますし、詩と曲もしっかりしたもので良い。
J-POPはちょっと薄っぺらい事が多くて、あまり好みません。
通りすがりさん、いらっしゃい。
始めに“通りすがり”というペンネームは、過去にも何十人もいますので、別のネームを使ってくださると感謝です。私も今回の人が、過去の“通りすがり”さんと同一人物であるかどうかを、あれこれ検索等をかけて同定しないとコメントできませんので、ちょっと手間がかかってしまいます。なので、なるべく別のネームを使っていただけると、その手間が省けて助かります。
それはさておき、合唱、いいですね。私も合唱は好きです。特にオーケストラ伴奏の壮大な宗教曲(歌詞はラテン語がベスト)などが、歌うにしても聞くにしても、私の好みです。たぶん、こういう合唱曲を好む人は、少ないでしょうね。
日本のピアノ伴奏の合唱曲には、良い曲が多いと思います。以前、知り合いの作曲家が言ってましたが、あれこれ作曲しても、なかなか演奏してもらうチャンスは少ないけれど、ピアノ伴奏の合唱曲は、割と楽譜が売れるし、演奏してもらうチャンスもあるから、作曲する時は力が入るよ…ってね。作曲家の人たちが力を込めて作曲するのが、合唱という音楽ジャンルなので、日本の合唱曲には良い曲が多く存在するんだろうなあ…って思ってます。
すとん様
オーケストラ伴奏のものではありませんが、ラテン語マジャール語等は学生時代歌いましたね。
「ave maria」「kirie」「sanctus」等が印象に残っています。
宗教曲は日本の合唱曲とはまたちょっと違う荘厳な感じがして良いですね。
私の母校ではそうでもなかったのですが、現役時代の学生コンクール合唱は、外国語曲全盛期の時代で、自由曲にラテン語マジャール語フランス語等、他国語の曲を選ぶ学校が多かったです。
作曲者様がそんな事をおっしゃっていたんですね。これは気に入った曲があったら楽譜を買わねばw
買っても歌う機会がないのが残念なところではありますがw聴くのも勿論好きですが、歌ってナンボだと思いますので。
海の天使さん
作曲家さんもそうだし、楽譜出版社もそうですが、楽譜を購入されることで経済が成り立っています。なので、私は、ほんのちょっとでも気に入ったら、なるべく楽譜は購入するようにしています。
今はネットで検索すると、案外楽譜は無料で入手できたり、音源から耳コピで楽譜を作っちゃうこともできる(私は無理)のでしょうが、楽譜を購入することで、作曲家や出版社を助けることができる…と思うので、私のできる可能な範囲で、経済を回していきたいと思ってます。
とは言え、私はすでに定年退職済みですから、現役時代のように、バカスカ購入することは、もはや無理ゲーなんですけれどね(笑)。