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2025GW 偶然、Hさんのソプラノコンサートを見た

 GWのお休みの話の続きです。

 前述の「ラ・ボエーム」が4時15分で終了しました。帰ろうと思ったら、隣の小ホールで4時半からソプラノコンサートが始まるので、時間的にちょうどよかったので、当日券を購入して、飛び入りで見ました。

 うむ、とても勉強になりました。

 歌っていたソプラノのHさんはプロの歌手なので、普段なら(宣伝も兼ねて)プロの仕事てすから、実名でブログに書くのですが、今回は「この記事は宣伝になるかな…?」と思ったので、イニシャルにします。それくらいの出来のコンサートでした。

 セットリストは以下の通りです。

 平井康三郎「ふるさとの」
 平井康三郎「ゆるかご」
 中田喜直「夕方のおかあさん」
 磯部俶「どうぶつえんのよる」
 滝廉太郎「荒城の月」
 平井康三郎「九十九里浜」
   (休憩)
 ヘンデル「歌劇“セルセ”より“樹木の蔭で”」
 ドナウディ「ああ、愛する人の」
 ドナウディ「かぎりなく優雅な絵姿」
 プッチーニ「歌劇“ジャンニ・スキッキ”から“私のお父さん”」
 フォーレ「“レクイエム”より“ピエ・イエズ”」
 プッチーニ「歌劇“トスカ”から“歌に生き、恋に生き”」

 最初に書きますが、私はHさんの声は好きです。ですから、コンサート自体は楽しめました。満足はしています。

 でも客観的に見るなら…Hさん、ほんとにプロ歌手?とも思いました。経歴を見ると、きちんと音楽の専門教育を受けているし、複数のコンテストにも出場し入選しているし、演奏団体にも加盟しているし…ううむ、プロ歌手である事は間違いなさそうだな。でも、発声技量的&歌唱表現技量的には、とてもプロには思えないレベルなんだよなあ。

 声が私の好みだった…という程度なのです。

 Hさんの声は、鳴りの成分が多くて、軽いのに力強くて、私の好きな声質です。でも、4曲歌ったところで、声が無くなってしまいました。5曲目以降は、無くなってしまった声をむりやり絞り出して歌っていました。いかにも苦しげな表情で歌うので、歌を歌う辛さやノドの痛みが、すごく伝わるんですよね。

 いくら辛くて痛くても、プロならシラを切って、何事もない顔して歌わないとね。ダメだよね。

 私が自分のレッスンで、Y先生に「ノドの消耗を抑えて軽く歌う」ように指導されていますが、自分の本来の声質よりも重い発声をして、ノドを消耗して歌ってしまうと、こんな感じになってしまう…と思いました。

 実際Hさんは、プロ歌手でしょうが、見事なノド声だったし、響き少なめの鳴りの強い声で、声量多めの声で歌っていました。これって、あっという間にノドが消耗してしまう発声なので、発声的には良くないのだけれど、これが私の好きなタイプの声なのです。でも、プロ歌手としてはダメだよね。こんな発声では、絶対にオペラは歌えません。

 なんかなあ…こう言っちゃあアレだけれど、この声は、私の上位互換だなあって感じました。私を女性にして、年齢もいくらか若くして、テクニックを全方位に底上げをすると、Hさんの声になるのかなあ…と思いました。

 私、軽いのに力強い声(運動性の高い重い声)が好きだから、ついつい重い声になるように無意識に発声してしまうのだけれど、それを続けていくと、Hさんのようになってしまうのだろうと思います。ああ、ダメだダメだ。

 あと、日本歌曲で「す」と「ん」の発音になると、全く声が聞こえなくなるのだって、息をきれいに吐けなくて、レガートに歌えない結果、そうなっているわけで、強烈なノド声で、息すらロクに吐いていないわけです。

 発声の事ばかり書いてしまいましたが、歌唱技術や表現力にも問題があると思いましたよ。“ピエ・イエズ”と“トスカ”を全く同じ発声で、同じように歌っていました。宗教曲とオペラアリアが、同じ歌い方で良いわけありません。また、歌曲にせよ、オペラアリアにせよ、歌の中には、盛り上がる箇所があるわけだけれど、ほぼすべて、感情的に平坦に歌われていて…まるで“合唱団の音取り音源”みたいな歌い方に感じました。つまり、リズムと音程だけが妙に正確だけれど…って歌い方ですね。

 Hさんの声は好みだけれど、こういう歌い方は全く好きにはなれませんよ。

 ほんと、勉強になりました。

 それにしても、プロ歌手にも色々なレベルの人がいるものだ…と思いました。アマチュア歌手の発表会等であっても、Hさんよりも、私を感動させる歌を歌っている人は大勢います。

 こんなわけで、今回はプロ歌手のコンサート感想でしたが、実名で記事を書くのをためらったのです。Hさん、ごめんなさい。

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