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メトのライブビューイングで「アラベッラ」を見てきた

 標題通り、R.シュトラウス作曲の「アラベッラ」見てきました。以下にキャスト&スタッフを書きます。

 指揮:ニコラス・カーター
 演出:オットー・シェンク

 アラベッラ:レイチェル・ウィリス(ソプラノ)
 ズデンカ:ルイーズ・アルダー(ソプラノ)
 マッテオ:パヴォル・プレスリック(テノール)
 マンドリカ:トマス・コニエチュニ(バスバリトン)
 ヴァルトナー伯爵:プリンドリー・シェラット(バス)
 ヴァルトナー伯爵夫人:カレン・カーギル(メゾソプラノ)

 ごらんの通り、スター歌手はいませんし、指揮者も若くて無名な人です。演出も20世紀から使われている旧来のものです(ちなみに、演出家自身はすでに故人です)。当日の客席も空席が目立っていました。メトとしては、あまり力が入っていない公演でライブビューイングしたようです。

 私は同じ演出でキリ・テ・カナワが主演している1994年の映像を持っています。舞台装置は同じで、お芝居もほぼ同じ、衣装は代替わりしているようですが、基本的なトーンは同じ。で、出演者は小物ばかり…というわけで、今回の公園は1994年版の劣化版なのかと言うと…ううむ、そんな感じはしません。歌手たちのオーラは昔の方が明らかにあって、ステージが華々しいのですが(ミリなんていう、小さな役を、他のオペラなら主役を張っちゃうナタリー・デッセーが演じているんです)、この2025年版は、初演から30年も経っているわけで、スターが出ていなくても、当時よりもオペラ歌手全体の技術的な水準が上がっているので、たとえスターではなくても、歌に関しては不足は感じません…まあ、華々しさはありませんが(笑)。、

 それどころか、演技力は2025年版の今回の方が、すごくしっかりしています。1994年版は歌手が歌っているステージでしたが、2025年版は俳優が演じている舞台でした。もちろん、歌のレベルは1994年版にも劣りません。

 昔のオペラでは演技が軽んじられていて、歌手が歌と声を披露していればお客は満足だったわけですが、今のオペラは歌はもちろん水準以上で、そこに演技力が求められるわけで、総合的には、2025年版の方が完成度は高くて、私は楽しめました。ストーリーがよく分かるんです。

 ただ、2025年版にも欠点はあります。それは今時の歌手たちとしては珍しく、ボディがわがままな人が多いのです。今時の歌手はみな、スラッとしている人たちが多いのに、今回はみな、ズデーンとしている印象があります。まあ、スターではないのだから、そこんところは仕方ないのかもしれません。

 そんなわけで、オペラを作品として楽しみたい方には、この2025年版は、なかなかに捨てがたいものがあります。ただ、作品自体が地味ですから、せめて出演者の顔ぶれぐらいは派手な方が良いかな…なんて思わないでもないです。

 あと、今回は芝居がしっかりしていたせいか、アラベラ一家のクズさが、より一層、印象強く表現されていて、後味の悪いオペラとなっています。19世紀のウィーンの貴族って、ほんと、クズ。そう思いましたよ。

 でも、昔ながらの演出って、豪華でいいよね。あと、舞台が全然ボリコレじゃないのも良いです。やっぱり、昔のヨーロッパを舞台にした作品で、黒人歌手が貴族の役で出てこられるとゲンナリしてしまいますからね。「政治的に正しくても、伝統芸能的に間違っている」と私は思ってしまうわけです。

 歌舞伎で、塩冶判官(浅野内匠頭)を黒人の役者が演じていたら、いくら芝居が上手でも「なんか違う」って思うでしょ? そういう事です。

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