食事も終わり、いよいよ上陸です。私の生まれて初めての海外旅行です。わくわくです。
下船は…いやあ、大変でした。今回は旅行会社主催のオプションツアーなので、千人規模の団体旅行(大げさでなく、実際そうなんです)となりましたが、それらの人たちが下船の手続きをして、入国の手続きをするので、それだけで1時間以上の時間を使いました。全体で4つのコースに別れますが、私達のコースだけでも大型バス10台の旅行なので、ほんと大変なのです。
基隆から大型観光バスに乗って出発したわけですが、台湾の観光バスは日本のバスとは全然違います。まず車高が高いです。2階建てバスぐらいの高さですが、1階部分は、人が乗らず、2階部分にだけ人が乗ります。ですから、客席が地面からとても高いので、周りはよく見えますが…重心が高いのは不安材料です。あと、車内に段差があっちこっちにあって、階段も上り下りしなきゃいけないのは、全然バリアフリーではないなあ…と思いました。ただ,バスの乗降口が前だけでなく、バスの中腹あたりにもあるのは、良いなあと思いました。
バスは一路、台北を目指しました。台北は、基隆とは違った匂いがしました。
台北で最初に到着したのは…なんと、お土産屋さんでした。「いきなりかい!」と思ったものの、クルーズ船が到着して(我々以外の客もいるので)一度に何千人もの客が観光旅行をすると、台北もオーバーツーリズムになってしまい、どこもここも観光客だらけになってしまいます。そこで、現地ガイドさんたちが気を使って、チームワークで客の分散をするので、我々はまず最初に土産物屋に行くことになったわけです。
土産物屋は日系企業のようで、日本語も通じるし、店内掲示も日本語だし、日本円も普通に使えるし…まるで中華街の土産物屋で買い物をしているような気分になりました。我々は、そこでメンマ(これが飛び切りに美味しいのです)とドライマンゴーを買いました。酒のつまみと、お茶受けですね。
その次は、中正紀念堂に行きました。台湾が世界に誇る、有名な観光施設です。
中正とは蒋介石の事です。つまり、中正紀念堂とは蒋介石を称えるために作った施設で、大きな建物の中には、巨大な蒋介石像がまるでアメリカのリンカーン像のような感じで鎮座しています。まあ、国を代表する立派な観光施設なのですが、台湾人であるガイドさんにとっては、複雑な施設なんだそうです。なにしろ、蒋介石という人物は、台湾人の視点で見れば、ただの侵略者だし、台湾が中華民国になって、中国人の支配下に入ってからは、台湾人たちは迫害され苦渋の生活を余儀なくされたそうで、蒋介石なんて、憎しみの対象でしかなく、全く崇拝の対象なんかじゃないそうです。
今の台湾には、原住民である台湾人と、侵略者の子孫である中国人が暮らしているそうです。もっとも、今の台湾は民主主義国家で、台湾人の権利も守られていて、かつてほど中国人たちが好き勝手な事はできないそうだけれど、それでも中国人は数が多いし、支配的な立場にいる人も多くて、台湾人的には複雑な思いがあるようです。
台湾に日本贔屓の人が多いのは、日本統治時代を懐かしむ人が大勢いるからです。それくらい、中国の台湾支配は、筆舌に尽くしがたいほど辛い時代だったので、中国支配以前にいた日本を懐かしんでいるのです。台湾の人に言わせれば「1つの中国? ふざけるな!」ってところなんでしょうね。世界は認めてくれないけれど「台灣は独立国だ!」と言うのが彼らの本音なんだと思います。
それにしても台北って…地形的には平らなはずなのに、街の中はほんと段差だらけ。どこにもここにも小さな凸凹があります。まったくバリアフリーではありませんが…日本だって、本の少し前まではこんな状態だったんだよなあ…と昔を思い出す年寄りな私でした。
段差と言えば…台湾は山がちな地形をしていて、高山がたくさんあります。玉山(ぎょくざん)というのが一番高い山ですが、これは富士山よりも高いのです。だからかつて、台湾が日本領だった時代、日本で一番高い山(つまり、日本一の山)は富士山ではなく、玉山で、この玉山は当時、新高山(にいたかやま)と呼ばれていたそうです。なので、真珠湾攻撃開始の暗号文が「ニイタカヤマ、ノボレ」だったのは、そんなわけなのでしょう。
さて、次は九扮(きゅうふん)です。ここは有名な観光地という事で、人も車も大勢で混雑してわんさかしています。我々のバスの少し前で、混雑の中で乗用車が歩行者を引っ掛けてしまうという人身事故が起きましたが、だからと言って、何かが起こるわけではなく、何故かスルーされてしまいました。「こんな事は台湾じゃ日常風景だよ」とガイドさんが言ってましたが、歩行者の方に怪我がなければいいのだけれど…ねえ。とは言え、事故が起こっても不思議じゃないくらいに混雑しているし、適度に無法地帯だし…。我々もバスを降りて、道路を横断する時は、車を避けながら、適当に横断しました。横断歩道とか信号とか、特に意識していないようです。それがここの流儀なのかもしれません(知らんけど)。
九扮に到着したら、中華料理店で本格中華を食べてから、街を散策する予定です。ここでの昼食は、同じツアーの見知らぬ人たちと相席をして、大皿料理を食べるという、なんともな食事会となりました。
おおきな円卓に10人ほどで座り、そこに無口な店員が何の説明もなく、ドカンドカンと大皿料理を置いていきます。まるで食事ではなく、エサでも与えられているような気分です。でもこれが台湾式なら仕方ないです。
やってきた料理は以下の通りです。
「焼きそば」(麺が不味かったです)
「エビの素揚げ」(エビは美味しかったです)
「麻婆豆腐」(辛いだけです)
「焼きうどん」(麺が不味かったです)
「豚肉の味噌炒め」(ま、普通の食事です)
「キャベツの油炒め」(薄めの塩味で、これが一番美味しかったです)
「揚げかまぼこ」(どうなんでしょ?)
「コーンスープ」(なんとも不味かったです)
「鳥の唐揚げ」(不思議と不味かったです)
メニュー紹介にひと言添えた通り、どの料理も、正直、不味かったです。これが本場の本格中華料理と言うのなら、本来、中華料理って不味いんだなって思いました。横浜の中華街の料理とは、月とスッポンで、全然違うんですよ。普段から食べ慣れている横浜の中華街の料理って、日本人の舌に合わせてローカライズされているのかもしれない…と思いました。いやほんと、不味かったです。
なぜ本格中華が不味いのか…と言うと、とにかく、すべての料理に旨味が無いんですよ(涙)。旨味って大切なんですね。あと、飲み物は温かい烏龍茶か常温のビールしかありません。我々は服薬の都合もあって、水を頼んだら、白湯のような、生暖かい水が出てきました。店のメニューには無いので、ガイドさんが頑張って、どうにか入手してくれたようです。贅沢を言って、ごめんなさい。
食事を終えたら、いよいよ観光です。「千と千尋の神隠し」の舞台になったという噂(ジブリは否定しています)の九扮の街を見学です。九扮の街は山の斜面の街なので、どこに行くにも階段を昇り降りし、坂道を駆け上がらないといけません。
店を出て少しして長い階段を登り始めたところで、突然妻が「スマホが無い!」とか言い出しました。さっきのレストランで、散々料理の写真を撮っていたので、レストランに置き忘れたのでしょう。海外で忘れ物、それもスマホを忘れるなんて、とんでもない事をしでかしてくれました。すぐにレストランに戻らないといけません。そこで、我々のガイドさんに、それを伝えてから、急いでレストランに戻ろうと思いました。でもガイドさんは、私達のずっと先にいます。ですから、それを急いで伝えようと、九扮の階段を駆け上り、坂道を駆け上がって、ガイドさんの近くまで行ったところで、突然、視界が真っ黒になりました。
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