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敵は「オンブラ・マイ・フ(高声用)」にあり!

 今現在、キング先生から課題曲としていただいているのが、ヘンデル作曲の「オンブラ・マイ・フ」です。イタリア古典歌曲というジャンルの曲です。この曲は先日の門下生勉強会でソプラノのM先生が、とてもお美しく歌った曲です。

 普段はこの曲を、中声用の楽譜で歌ってます。あ、中声用というのは、楽譜の種類の話です。

 イタリア古典歌曲などの声楽の練習でよく用いられる曲は、学習者の声の種類に応じて「高声用」「中声用」「低声用」の三種類、用意されることが多いです。字面を眺めるとお分かりになるように、中声用を標準として、同じ曲でも少し高い調に移調してあるのが高声用、逆に低い調に移調してあるのが低音用です。当然、多くの学習者は中声用の楽譜を使用します。

 オンブラ・マイ・フ、そろそろレッスンでは仕上げの時期で、私は暗譜はバッチリ、後はどう表現していこうかと思案しつつ、自分なりの歌が歌えるように練習してます。

 前回のレッスンの時、一緒に習っているお姉様方のうち、数名が中声用では厳しそうなので、先生から高声用の楽譜を使いますか?という打診がありました。そのお姉様方は高声用の譜面を使うのでしょうか? ま、私は中声用でいいかなあと思ってますけど。

 でも、高声用にも興味があるので、先日、高声用楽譜でカラオケを作りました(カラオケ作成は妻がやりました)。で、そのカラオケで試しに歌ってみたところ、驚いた!

 中声用は変ホ長調、高声用はト長調。その差はわずか3度。カラオケ的表現をするなら+4です。たしかにちょっと高くなるとは言え、そう無茶苦茶高くなるわけではない。だから、試しに歌ってみると、どうなるかな…なんて軽い気持ちで歌ってみました。

 自分で分かるくらい、声の音色が変わります。中声用がリラックスした自然な音色ならば、高声用はカツーンと突き抜けるテナーな声。自分でも、その第一声で驚きました。歌い続けていると、実に楽に声が響いて行きます。服に例えると、中声用がダブダブって感じなら、高声はボディコン(表現が古いのは勘弁っす)て、ところかな? それくらいピタッってキマル~って感じ。

 いやあ、高声用、いいっス。カツーンと突き抜けた声で歌えて気持ちいいっス。なんて歌っていると、いきなりトラブル発生。なんと、いきなりヘナヘナ声になってしまいました。あれあれと思って譜面で確認すると、五線譜の上のソのところ。あちゃ、ここはチェンジの箇所ではないか。まだ音を当てるだけが精一杯のところじゃん。この音をロングトーンで? そりゃ、ヘナヘナ声のファルセットになるわな。

 でもね、この高いソ以外は、本当に気持ちよく歌えるのよ、この曲。

 決めた! とりあえず、レッスンの仕上げは中声用の楽譜でやるけれど、それが終わり次第、個人的に高声用のオンブラ・マイ・フに取りかかる。もちろん、チェンジの練習はきちんとやる。そして、なんとか高声用の譜面でオンブラ・マイ・フを歌えるようにする。頑張るんだから!

 キング先生が、ある時「(五線の上の)ラまで歌えるようになったら、テノールと言ってもいいです。ド(つまりHi-C)まで歌えるようになったら、人前で歌ってもいいです」と言いました。オンブラ・マイ・フ[高声]はラどころか、そのすぐ下のソどまりの曲。テノールなら歌えて当たり前の曲じゃん。

 現在の私が無理なく歌えるのは(五線の上の)ファまで。その上のファ♯とかソは、まだ無理が必要。でも無理も通せば道理になるわけで、なんとかソを攻略して、真のテノールに、一歩でも近づこうではないか。

 ブログで公言したんだから、本当に頑張るぞっと。

コメント

  1. Cecilia より:

    >高声はボディコン

    笑えます~~!!

    何てったってワンレンボディコン全盛期の女子大生でしたから。(実際にはボディコンは似合わないけれどたまに着ていた地味な女子大生だった私。)

    二度の違いでも大違いと感じます。
    頑張ってくださいね、オンブラ高声ヴァージョン!

    ところでアクートの件で最近例のイタリア留学中ソプラノさんとメールでお話しました。

    今日の記事で少し触れましたが、又そのうち特集したいです。

    どうもドイツ式発声だと会得できないようですが・・・。

  2. 松尾篤興 より:

    To Ston
    キング氏のHP有り難う御座いました。
    Largoの記事を読んでいて、Mr.StonのPassaggioは多分ファ#ではないかなと思えてきました。
    したがってヘ長調で最高音をファで歌うよりもト長調で最高音ソにした方が将来のためになるような気がします。
    勿論、このファ#のPassaggioを渡る訓練が必要ですが、この努力が実を結べば、多分シ♭辺りまで音域はのびると考えられます。
    このファ#の渡り方をものにするのが、最も重要な事で、ここは短気をおこさず、入念にファ#を通り抜けても音色が変らぬ声、つまり高音になるに従って細くギスギスした音色ではなく、むしろ拡散するようなブットい音色のアクートが得られるでしょう。
    ですからチェンジ(変る)よりもノンチェンジ(変らない)音色を会得すれば中低音から一体性のある声の響きが得られる事になります。
    このPassaggioの部分を丁寧に、しっかり身につける事が発声の基礎体力をつけるのと同意義ですので、更なる御精進を祈っている次第です。
    松尾篤興

  3. すとん より:

    >Ceciliaさん

     >ドイツ式発声だと…
     うむ、たしかに昔の日本の歌手(当然ドイツ式)の皆さん、高音で苦労なされていた方々が多くて、聞いていて聞き苦しかった思い出があります。あれはアクートが無かったからなんだな、納得。

     ~式発声と言えば、私自身、自分が今キング先生に習っている発声法が、ドイツ式なのかベルカントなのか、はたまた別の名称の発声法なのか、知りません。先生に尋ねたことが無いのです。全く興味がないわけではありませんが、そういう事は気にしないようにしてます。

     と言うのも、今はそんなことより、目の前の自分の声をどーにかせんとあかんと思っておりますので…。

     でも、ホントのところは、どーなんだろ(ボソッ)。

     なんか、Ceciliaさんの記事が楽しみでワクワクしてます。急がずに待ってますので、ひとつよろしくお願いします。

  4. すとん より:

    >松尾さん

     アドバイスありがとうございます。確かに自分でもチェンジ(パッサージョのことですね)はF#のあたりなんだろうなあと思うようになってきました。つまり、その上のGやA♭はアクートになるのでしょうか? きっとそうなんだろうな。

     ま、そんな用語はさておき、まずは理屈よりも実践です。要は私が音色の変わらぬブっとい高音を安定して出せるようになることであり、そのことに毎日精進してます。その一つの小さな目標が「オンブラ・マイ・フ(高声用)」の攻略なのです。

     ノンチェンジなチェンジの獲得を目指して、気長に頑張っていきます。

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