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たった一音の違いで…

 …苦しんでおります。一音と言っても、全音一個分です。長二度、カラオケ的に言えば+2でございます。

 何の話かと言うと、トスティの「Sogno(夢)」をB-durで歌わなければいけないところを、自宅練習ではAs-durで歌ってしまった、あの件の続きです。

 ひょんなこと(と言うか、キング先生にご指摘受けたのですが:汗)で、自分のヘマに気付いた私は、改めてB-durでカラオケを作り直し(自宅にあったカラオケは全部As-durでした:涙)ました。ひとまず、レッスンでは“保留”になってますので、ゆっくりと、次の課題曲(ヴェルディの「Il Poveretto(愚かな男)」)の練習の合間にボチボチと歌っておりますが………いやあ~、難しいです。たった一音上がっただけで、難易度が数倍にもアップしちゃいました。

 長二度、音程が上がったので、最高音も長二度上がり[F -> G]、それはそれで苦労してますが、それよりも大変なのは、全体的に“歌いつらく”なった事です。注意しておきますと“歌いヅラク”ではなく“歌いツラク”です。つまり「歌いヅラく」なったのではなく、「歌っていて、ツラくなった」のです。

 普通の歌の場合、調性を長二度上に上げる程度の事は、大した事ではありません。カラオケなどで+2にして歌うようなもので、上げる前と上げた後のいずれでも、自分の音域からはみ出す音がなければ、そんなに騒ぐほどの事ではないはずです。今回の「Sogno(夢)」にしても、低い方は元々問題ないです。高い方がGになりますが、これはギリでOKなはずの音で、ちょっと苦労するけれど、まあ、何とかなるでしょう/しましょうという音なので、ここが(大きな)問題ではないのです。

 では、どこが問題かと言うと「すべての音が歌いツラくなった」事です。低い音も高い音もすべてです。

 実は最初にカラオケを作りなおして歌った時は、なぜか、まるで音が取れませんでした。よく、絶対音感の持ち主は移調に弱いと聞きますから「まさか私もそれ?」って一瞬勘違いしちゃいましたが、よくよく考えれば、そんなはずもなく(音はすでに相対的に取れているので)何度もカラオケの伴奏を聞いて、その和音にはまるように歌っていったところ、とてもツラくしか歌えなくなりました。

 たった一音上がっただけで、こんなに歌うのがツラくなるなんて…。

 さすがに、このツラさはおかしいだろうと思いました。でも、実際に歌うとツラい。では、自分に何が起こっているのか、よくよく観察してみました。

 どうも、As-durとB-durとでは、発声のポジションが全然違う事に気づきました。私、B-durの時は、かなり高めのポジションで声を出して歌っています。それこそ、Ceciliaさんのおっしゃる“王子様の声”って奴ですね。だって、この声じゃないと、歌えないからです。でも、この声で、最初から最期まで歌うと、とても大変。実にヘトヘトになります。いや、ヘトヘトどころか、体調によって、途中で失速しちゃいます。それくらい、今の私には大変な声で歌っているわけです。

 たった一音、たった一音の違いなのに、歌の難易度がこんなに違うとは、見える景色がこれほどまでに違うとは…。もちろん、曲によっては、一音はおろか、二音三音移調しても、どってことない曲だってありますが、この「Sogno(夢)」は、たった一音の違いで声の出し方がガラっと変わります。そういう意味では、As-durの「Sogno(夢)」はバリトンさん向け、B-durの「Sogno(夢)」はテノール向けなのかな?

 最初は「一音上げて歌えばいいんでしょ」と軽く考えていたB-dur版の「Sogno(夢)」でしたが、意外な強敵で苦労しています。…B-dur版の「Sogno(夢)」を一回歌うと、しばらく何も歌えないほど、腹筋にキます。

 こんなテイタラクじゃあ、オペラアリアなんて、まだまだなのかもしれない(涙)。でも、アリア、歌いたいから、B-dur版の「Sogno(夢)」をやっつけちゃうつもりです。

 ファイト、オー!

コメント

  1. Cecilia より:

    苦労されているのですね。
    お気持ちよくわかります!
    アップのほうは気長にお待ちしますので焦らず頑張ってください。
    同じ調でもレッスンでは声が出しやすいのに家では出しにくいというのもありますよね。
    (この曲、レッスンでも苦労されていましたっけ?)
    それとやっぱりカラオケに合わせて・・・というのは辛いものがありますよね。
    ものによりけりですが。
    ほんと、歌わない方にはわからないかもしれませんが、一音の違いって大きいですよね~!

    実は今度チェンバロ伴奏で歌うのですがバロックピッチなんです。
    家ではバロックピッチで練習するすべがなく、ぶっつけ本番です。
    どきどき・・・

  2. すとん より:

    >Ceciliaさん

    >(この曲、レッスンでも苦労されていましたっけ?)

     はい。、もっとも、それは、家での練習と、レッスンでのキーが違う事が一番大きな原因だと思います。なにしろ、一音上げただけなのに、自宅でこれだけ苦労してますから、そりゃあレッスンではケチョンケチョンなのも仕方のないことです。

     自宅でできている(と思われる)事でも、レッスンに行くとできない事って、たくさんありますね。特に自覚があるのは“強弱”。とりわけ“弱”(笑)。家ではそれなりに強弱つけて歌っているつもりですが、レッスンでは間違いなく、“強弱”ではなく“強・強々・最強”になっちゃいます。いや、下手をすると“最初から最後まで、クライマックス!”くらいのノリで歌っている時もあります。

    >それとやっぱりカラオケに合わせて・・・というのは辛いものがありますよね。

     まあ、厳密に合わせて…というと、すごく難しいのですが、私はピアノが弾けませんし、歌の練習でピアノの伴奏なしって訳にもいきませんから、カラオケを使用します。なので、カラオケと私の歌は、合わせるという事はあまり念頭においてません。和音の響きを聞くためにカラオケを流している…程度です。

     ポピュラーソングのように、機械的な一定間隔のビート音楽ならば、カラオケも合わせやすいのですが、クラシック声楽の曲の大半は、ほぼフリーテンポ(笑)みたいなものですからね。歌いながら、テンポ揺らす揺らす…。なので、きちんとカラオケに合わせて歌うというのは、とても難しいです。

     それにしても、次はバロックピッチですか、練習でのピッチよりも低く歌うわけですね。普段から、ぶら下がり気味の私なら、たぶんすぐに対応できそうだけれど、Ceciliaさんには、厳しいかも。会場では、早く、そのチェンバロの音に慣れますように。

  3. おぷー より:

    そういう時ってありますよ。ちょっと足踏みしているカンジかな。
    焦らず、気長にやって下さい。
    ある日すっとラクになりますから。

  4. すとん より:

    >おぷーさん

     気長は大切ですね。今から音大に入るわけではないので、上達するのに目標とする期日があるわけでないのですからね。とは言え、老いの坂を、加速度つけて転がり始める前に、何とかしたいと思ってはいますんですよ(笑)。

     ま、歌は私にとって、息を吸うのとほぼ同義なので、残念な事に、苦しくても辞められないんですよ。いくら、シンドくても、やるしかないんですよ。

     励まし、感謝です。頑張りますよ。

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