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生声で歌ってはいけないと言うけれど…

 かつて某合唱団にいた頃、私は色々な注意を受けました(なにしろ初心者かつ下手っぴだったものです)が、その中で今でもよく覚えている注意に「生声で歌ってはいけない」というのがありました。
 生声とは何かという話ですが、一般的には地声と言われる声で、普段の生活で使っているような声の事です。
 生声がダメなら、どうすれば良いのかと尋ねれば「生声ではなく頭声で歌え」って言われていました。この場合の頭声とは「喉仏を下げて、声に響きを付けて歌うこと」と言われました。ちなみに、この用語は、この団特有の言い方だろうと思います。ここで言われる、生声とか頭声の定義って、一般的なそれとは違うような気がしますが、ここではそのあたりはスルーしてください(お願い)。
 今の私が見ると、用語の正しさはともかく、なぜそう言っていたのかという意図は分からないでもないです。
 生声がダメ…は、そりゃあ話し声のまま歌うのでは、声に色艶が乗らないし、団員の声の違いが目立ってしまいます。声の違いを目立たせなくするには、同じような音色の声にしてもらう必要があるわけで、それをこの団では頭声と呼んでいる、下に掘った声(一種の作り声)で音色の統一を図っていたのでしょう。
 下に掘った声なので、頭声というよりも胸声に近いんじゃないかというツッコミは予想されますが、そこはスルーしてください。でも、個性豊かな音色の声が同じ方向の音色に揃えられるという利点はあります。それに、喉仏を下げるという指導は、マネもしやすく、自習もしやすく、また指導もしやすいという利点もあります。いかにも市民合唱団向けの指導だと思います。
 生声はダメと言いつつ、実は地声はOKなのです。と言うのも、女声は裏声で、男性は地声で歌うのが基本とされていたからです。この場合の地声とは「裏声ではない声」程度の意味だろうと思います。それらの裏声や地声を出しながら、喉仏を下げて頭声にして歌うのが、この団の理想とする発声方法のようでした。
 まあ、ここまでの発声方法に色々とツッコミをしたい人がいる事は理解します。何度もお願いしますが、そこはスルーしてください。
 でもこうやって、簡単な指導で、団員の音色の統一を図っていたわけです。
 私もこの団に短期間ですが、所属していたので、喉仏を下げるのは比較的得意ですよ。と言うか、一時期は、歌おうとすると、無意識に喉仏を下げて、下に掘った声で歌いがちでした。今でもうっかりするとやってしまいます。ダメですね。
 声を過度に下に掘ると、声が重くなるし太くなってしまいます。当然、高音は出づらくなります。まあ、多くの市民合唱団がレパートリーとする曲の、ソプラノパートやテノールパートって、驚くほど音程が低い(私の感覚で言えば、テノールはバリトン並の音域で、ソプラノはメゾソプラノ~アルトの音域な)ので、多少高音が出づらくても問題はないので、大丈夫なのでしょう。
 もちろん、こういう発声では独唱は厳しいと思いますが、集団で歌う合唱なら、それなりの味のある声として、面白いと言えば面白いだろうと思います。ただ、好きか嫌いかで言えば…私はあまり好きじゃないかもしれません。
 とまあ、昔の経験をネタに記事を書いてみました。

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