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何のために音楽を学ぶのか?

 オトナが趣味で音楽(に限らないけれど)を習っていると、たまに言われることです。
「一体、いい年して音楽なんて習って、どうするの?」
 さらにこの言葉には(直接言われないけれど)続きもあるようです。「…そんな暇があるんなら、もっと仕事を頑張りなさい」って感じでしょうか?
 確かに子どもの習い事なら、もしかすると将来プロになる道が開けるかもしれませんが、オトナがいくら頑張っても、今さらプロにはなれないし、そもそもそこまで上達する事もありません。ある意味「いくら熱心に音楽を習っても、何の役にも立たないし、何にもなれない」わけです。それを時間とお金のムダと考える人からすれば「一体、いい年して音楽なんて習って、どうするの?」という問いにつながってくるんだろうと思います。
 考えが浅いなあ…。
 オトナも子どもも基本的には一緒だと思ってます。
 習い事をしている子どもだって、そのほとんどはプロにはならないし、プロになれるほど上達もしません。音楽ならば、熱心に練習をして、子ども時代を音楽に捧げたとしても、せいぜい音楽大学に進学する子が出るくらいでしょ? でも、音楽大学に進学したからと言って、プロの音楽家になれるわけではありません。学校の音楽の先生になれれば上等な部類で、大半の子は一般企業に就職するか、派遣やアルバイトや家事手伝いになるのが関の山です。
 音楽大学に進学したとしても(音楽の先生になる人を除けば)先の人の言い方をすれば「何の役にも立たないし、何にもなれない」事になります。
 そうかな…?
 音楽なんて社会の役にはたたない…すごく乱暴の言い方ですが、私はその考え方について理解しないわけではありません。少なくとも、音楽はライフラインには含まれませんし、生命維持活動に不要なものです。無ければ無いでも、生きる上で大きく困る事はありません。
 そんな、不要なものを、わざわざ時間とお金を費やして、それほど上達しないと分かっているのに習うのはなぜなのが?
 それは「好きだから」です。「楽しいから」です。好きで楽しいから、時間とお金を掛けてまで学ぶわけなんです。私にとって音楽とは、いわば“精神の嗜好品”なんですね。そういう意味で言えば、タバコを吸ったり、コーヒーを飲んだり、お酒を嗜んだり…ってのと同じレベルで、音楽を楽しんでいるわけです。
 考えてみれば、趣味なんて、そんなモンでしょ? 精神の嗜好品であり、忙しい毎日の気休めであり、ストレス解消のための道具に過ぎません。それ以上でもなければ、それ以下でもないわけで、だからプロになる必要もなければ、上達しなくてもいいのです。もちろん、上達できた方が出来ないよりも、ずっと楽しいですけれどね。
 そういう意味では、オトナの習い事は幸せだと思うのです。やってて、楽しくて仕方がないわけですから。
 むしろ可哀想なのは、子どもの習い事かな? その子が音楽を好きで習っているならいいけれど、中には、音楽が嫌いで、親の押しつけで仕方なしに習っているような子もいるわけで、そんな子にむりやり音楽を習わせても、音楽が心の底から嫌いになるだけで、何も良いことはないと思うのです。楽しみというものは、他人から強制されるものではないからね。どんなに楽しげな事でも、強制された途端に、苦痛なモノになってしまうものだからね。
 なので「何のために音楽を学ぶのか?」との問いに対しては「楽しい」からと答えます。これで答えとしては、十分じゃないの?

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コメント

  1. ショウ より:

    僕は
    一体、いい年して音楽なんて習って、どうするの?なんていう人に驚きです・・

  2. すとん より:

    ショウさん
     私の身の回りには割とたくさんいますよ、そういう人。音楽だけではなく趣味全般に否定的なオトナです。おそらくそういう人の価値観は「オトナは仕事。それだけに邁進すれば良い。趣味なんてモノにうつつを抜かしているのは、仕事に対して不誠実である。遊んでいる暇があったら、もっと働け」って感じでしょうか?
     24時間働けますか? なんて言う、昭和的な価値観なのかもしれませんが、こんなタイプの人が私の身の回りには、結構ウヨウヨいたりします。
     そういう話なんですよ。

  3. ショウ より:

    たくさんいらっしゃるんですね・・
    お仕事がなかったら何をするんですか?と聞いてみたいところです・・

  4. すとん より:

    ショウさん
     お仕事がなかったら…仕事探せ!って言われそうですね。
     人生で第一優先にするのが仕事であって、その仕事に全力を尽くせって感じでしょうか? 趣味に時間が割けるようでは、まだまだ全力には程遠いって思っているのだろうし、仕事の手を抜いていると思われるのかもしれません。
     事実、私は仕事に自分の全力なんて傾けていませんから(笑)。手を抜いているわけではないけれど、傍から見ればそう思われても仕方ないかも…とは思ってます。なので「全力を尽くしていないだろう」って言われたら「そうなんですよ、ごめんなさいね」って言っちゃうかもしれませんが、そんな答えをしたら「給料泥棒!」って罵られるかもしれません。別にあなたから給料は頂いていませんが? なんて答えたらいけないんでしょうが…ねえ。
     でも、そんな仕事人間がいるから、日本という国は回っているという事実もあるので、私は彼らを非難する事はできませんよ。
     ライフワークバランスなんて、まだまだ夢物語なのが、この国の実情かな?って思います。現実問題としては、せめてサービス残業を減らしたいですよ。無給で働くのは、納得いかないっすよ。

  5. ショウ より:

    ショウさん
    確かに仕事人間がいるから国が回っているというのは一理あるのかもしれませんね・・
    とは言いつつ、お仕事が全ての人生なんて勘弁してほしいところですね・・
    自分は自分ということで、趣味も楽しみましょう!

  6. すとん より:

    ショウさん
     お仕事人間さんは、仕事が楽しくて仕方ないのだろうと思います。趣味と実益を兼ねてらっしゃるわけですが…それを面と向かって言ってしまうと怒られるので黙っています。ただ私は、仕事と趣味は分けて考える人なので、仕事は仕事、趣味は趣味なんです。それだけです。

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