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テノールとしての声質を、重め志向から、軽さ志向に切り替える時がやってきたような気がします

 声楽のレッスンの続きです。曲の練習に入りました。
 最初は歌曲から…ですが、今取り組んでいる歌曲って、シューベルトの「美しき水車小屋の娘」なんですよね。ドイツ語なんですよね。ノドが痛い時に、ドイツ語の歌を歌うと、ノドが詰まってしまうので、今回はパス。いきなり、アリアの練習に入りました。
 今回から挑むイタリアのアリアは、ドニゼッティ作曲「ドン・パスクワーレ」のテノールアリア「Sogno soave e casto/青春の甘く清らかな夢よ」です。実に美しいアリアです。音程の跳躍があまり無いので選曲してみたのですが…実に甘かったです。この曲、実は使用する音域そのものがあまり広くなく、その分、曲そのものが、ほぼ全部高いんです。大半の音符が中音C~高音Aの6度以内に散らばっているんです。つまり、普通の曲(五線譜の真ん中に音符が集まっているような曲)と比べると、1オクターブほど高いんですよ。うわっ、やっちまったよ(汗)。
 自宅練習で、音取りを兼ねて歌ってみたら、見事に曲の前半…どころか1/3あたりで撃沈。あまりに全部が高い音なので、あっという間に声を使い切ってしまい、まともに歌う事ができませんでした。これ、楽譜の見た目よりも、ずっとずっと難しい曲です。ヤバい曲を選択してしまったと震えました。
 さて、レッスンです。まずは、ひとまず通して歌ってみましょうというので、覚悟を決めて、歌い始めたら、スルっと全曲通して歌えちゃいました。それも案外ラクラクと…。何箇所もたくさんある高音Aも、普通の声でヒャラヒャラ歌えちゃうんです。歌っている自分がビックリですよ。
 どうやら、ノドが痛いために、ノドに力が入らず、いい感じで脱力ができていて、おまけに息も十分に流れているので、それで声が軽く楽になっているんだそうです。で、声が軽くなっているので、少ない腹筋力でも十分に足りるので、楽に高い声が出てしまうんだそうです。つまり、普段の私が高音が苦手なのは、ノドに力が入り、声を張ってしまうために、声が重くなり、その重い声を高く上げていくためには、かなりの腹筋力が必要なんだけれど、そこまで強力な腹筋力なんて無くて、ノドの力に負けてしまって、声が高く登っていかなくて、高い音程の声が出せないのだそうなんです。
 今くらいの軽い声で歌えるなら、今程度の腹筋力でも、かなり高い音程まで歌えるわけです。つまり、今はたまたまだろうけれど、声の軽さと腹筋力がいい感じで拮抗していて、楽にテノール音域で歌えているってわけです。
 となると、これから取るべき道は2つです。今までのやり方の延長になりますが、私の重い声に見合うだけの腹筋力を必死で身につけて、重めのテノールとして生きていくやり方の道と、ノドの脱力を心がけて、極めて軽い声をデフォルトとして、その軽い声質の歌手として生きていく、新しいやり方の道です。
 私個人の好みで言えば、圧倒的に「重めのテノールの道」なのですが、自分のノドの強さと腹筋の弱さを鑑みると、現実的には「軽いテノールの道」の方が、本来の私なのかもしれません。
 それにしても、軽い。軽すぎるぞ、私の声! 実に甲高くてギャンギャンした声じゃん。そんな声は私の好みではない…けれど、それが私の声ならば、やっぱり受け入れるしかないんだろうなあ。それにしても…こんなに甲高い声はイヤだなあ。
 ああ、そうだった。こんな甲高い声がイヤだから、若い頃はむりやり声を押さえつけて胴間声のような声で話したり歌ったりしていたんだっけ。私の元々の地声は、ギャンギャンした甲高い声だった…ううむ、素の自分と向き合うのは、精神的につらいものがあるなあ。(涙)。
 やがてノドの痛みは取れて、今までのような重めの声も出せるようになるだろうけれど、今後はそれは諦めて、軽めのテノールの声で進んでいくべきなんだろうなあって思いました。
 やっぱり高音には、届かないよりも、届いた方がいいもんな。それに声って、歌っているうちに重くなっていくのだから、今の私の声がたとえ軽くても、年を取ってくれば、やがて重い声になっていくだろうから、それを待ってみるのも悪くはない…けれど、私が年を取って重い声? それって何歳頃の話なんだろ? だいたい、声が重くなるまで生きていられるのかしら? うーむ、悩む悩む。
 今回は、上行音形がバシバシ決まって、高い音がラクラク歌えた事もあって、逆に下降音形に気をつけるように注意されました。音程が下がっても、響きは絶対に落とさずに音程を下げて歌う事を言われましたが、これが案外難しいのよ。
 とにかく、今回は奇跡のレッスンだったみたいです。今回のこの感覚を忘れずにいたら、一気に上達できそうです。わくわく。

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コメント

  1. ショウ より:

    結局上手い人はかなり軽く歌っていて、本人はかなり軽く歌っているけれど周りから重く聞こえる人が、バスやバリトン、重めのテノールということなんでしょうねー
    軽めの声で歌って出ている声こそが本当の持ち声なんでしょうねー

  2. すとん より:

    ショウさん
     そうそう、まさにショウさんのおっしゃるとおりで、重く聞こえても、太く聞こえても、それは決して重く太く歌っているわけではなく、本人的にはごくごく軽く歌っているだけなんだと思います。その軽く歌った声が、重かったり太かったりするだけの話なんだろうと思います。
     でも、素人は、重く聞こえる声は重く歌っている、太く聞こえる声は太く歌っていると勘違いしてしまう。そこがプロとアマの違いなんだと思います。
     でもね、そんな自分の素の声で歌うってのは、受け入れているつもりでも、あんまり好きじゃない自分がここにいたりするのが厄介です。私、基本的に私の声があんまり好きじゃないんだよねえ(困)。

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