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無自覚だけれど、胸声でBまで出た(らしい)よ

 声楽のレッスンに行ってきました。

 前回のレッスンの時に、クラシックコンサートでの私の歌の入ったCDを渡したのですが、その歌を聞いての先生の感想から、今回のレッスンは始まりました。

 「ヒドい歌だったでしょう、ごめんなさい」と、まずは(先生の顔にドロを塗ってしまった事を)謝りましたが、先生は「え? そんなにヒドくなかったですよ。むしろ、私が思っていた以上に、よく歌えていて感心しました」との事です。「???」と思っていたら、どうやら先生は、この1年間の私の上達ぶりが、うれしかったようなのです。

 昨年の歌(これもCDにして先生に渡しています)と聞き比べたそうですが、昨年よりも数段良くなっていると褒められちゃいました。いやあ、思わぬ褒められ方をして、照れちゃいました。

 昨年は、ちょっと崩れると、そこからボロボロに歌が壊れていき、壊れたまま崩壊してしまったそうですが、今年はちょっと崩れても、すぐに立ち直り、最後まで歌えていたのが良かったそうです。

 「正しい発声が少しずつ身につき始めた証拠ですね」と先生はおっしゃいます。

 歌を歌っている時は、発声ばかりに気を使うわけにはいきません。しかし、発声がしっかりしていないと、歌は歌えません。昨年までの私の発声方法は全然ダメな発声だったので、歌が崩れると立ち直る事ができなかったのですが、今年は歌が崩れても、無意識のうちにカラダが動いて、発声が直されて、歌が回復して続けられるようになってきたのだそうです。それが大きな進歩なんだそうです。

 これからのレッスンでは、そもそも歌が崩れなくなるように、しっかりとした発声方法を身につけていくようにしましょうって言われました。ま、そりゃそうだね。

 ふう~ん、あんな歌でも、先生の立場ともなると、見る点や評価する点が違うんだね。ありがたい事です。

 さて、レッスンは発声練習からですが、今回もハミングから始めました。

 今回は、アゴ関節をハズさないハミングと、ハズして行うハミングの二つのハミングを使い分ける練習から始めました。『アゴ関節をハズす』と言っても、脱臼するわけではなく、アゴ関節って、二段階で動くでしょう。その二段階目まで動かすことを『アゴ関節をハズす』と表現しているだけです。もちろん、アゴをハズそうが、ハズさなかろうが、クチは閉じたままなんですよ(笑)。

 アゴがきちんとハズれているかどうかは、自分ではよく分からないので、指を耳の下に当てます。ここは普通にアゴを開いても、びくともしませんが、アゴがハズれると、途端に窪みができます。なので、耳の下に窪みを作って行うハミング、窪みを作らないで行うハミングの二つを練習した…とも言えますね。

 これが実に難しいのです。まずアゴをしっかりハズして歌うのが難しい。その上、アゴをハズして行うハミングは声が引っ込みがちになるので、声を前に出すために、しっかり腹筋を使って息を支えないといけないのです。難しい上に、しんどいです。

 ハミング練習の次は、普通に発声をします。

 まずはアゴやクチビルの柔軟性を訓練するような発声から始め、息を流す事に重点をおいた発声へと変わります。

 で、先生が「すとんさんは、声を被せるタイミングが少し早すぎると思います」とおっしゃいました。

 声を被せる…いわゆる“デッキング”って言われるテクニックの事だろうと思います。そのデッキング…声を被せていくタイミングが早い…つまり低い音程の時から被せ始めますね…という注意なんです。

 私は無意識に行っていたので「???」って感じだったのですが、先生に“被せた声”と“被せない声”の二つを実演してもらって合点しました。確かに私は高音に行くと、声を被せていますね。

 「低い音程でも声を被せて歌うのは、大切なテクニックの一つだけれど、それを発声練習で、それもこんなに低い音程でやってはいけません」との事です。

 先生がおっしゃるに、私はEやF(ドイツ音名での表記です)あたりから被せた声で歌っているのだそうですが、どんな人でも、一度声を被せてしまうと、そこからせいぜい全音がもう半音上ぐらいまでの高さの音しか出せなくなってしまうのだそうです。なので、私の場合、Eから被せ始めるので、どんなに頑張ってもGを出すのが精一杯で、それ以上高い音は出せるはずがないのだそうです。

 「Eから被せるのは、バリトンの場合です。テノールなら、Gまでは被せずに歌えないといけません」と言うので、Gまで声を被せずに歌う練習をしてみました。大変だけれど、先生の助けがあれば、なんとかGまで声を被せずに歌えました。

 声を被せる理由にはいくつかあるそうです。例えば、音色の問題(適度に被せた声は良い響きを持っています)だったり、音程の問題(高い音は被せた方が出しやすい)とか、チェンジの問題(チェンジを乗り越えるには、声を被せて越えるのが、一般的なやり方だそうです)とかです。

 バリトン相手なら、Eぐらいの音から声を被せるように指導するので、私の場合、私の持ち声を聞かれないまま、グループレッスンなどでバリトン相手の指導法を受けたのか、指導する人が間違ったやり方で指導したか…との事ですが、どっちでしょう? このやり方は、合唱団のヴォイトレで身につけたような気がするので、そういう意味では前者でしょうが、だったらキング先生が気がついて直してくれたはずなのに、今に至っているとは…まあ、色々と指導者に恵まれなかったんだろうなあ、私は。

 とにかく、被せた声と被せない声の歌いわけを何度もし、被せないままでドンドン高い音を歌う練習をし、先生の合図で声を被せたり被せなかったりとやっていたところ、なんと高いB(ドイツ音名です。英語音名ならBbです)まで、意識せずに楽に発声していたそうです。「さすがにGisから被せても、Hだと、ちょっと届かない感じですね」との事です。ううむ、つまり私の場合、Gis付近にチェンジがあって、そこから被せていけば、Gis-A-Bと半音3つ分は発声できるので、私のポテンシャル的にはBまで発声可能って事だね。

 「プロのテノールでも高い音はBまでという方は大勢いますから、Bまで出れば、テノールとしては十分です。Bより高いHとかCを出すには、元々の才能も必要だし、テクニック的にもBまでとは違ったテクニックが必要です。今はBまで確実に発声できるようにしましょう」と言われました。

 と言うわけで、当面の目標は『最低でもGまでは声を被せずに、まっすぐなままで発声できるようにする事』と言いました。つまりは、チェンジを恐れずに歌いましょうって事だし、実際私のチェンジの箇所はGよりも上にある(私自身はFisにあると思ってましたが)ので、恐れる事など、全く必要ないのだそうです。

 そして、Gまでまっすぐな声で歌うためには、息を支える事がとても大切なんだそうです。息の支え、苦手だもんなあ。

 とにかく、今回は始めて、楽々と胸の声で高いBを出したそうなのです。マグレかもしれないし、先生が一緒じゃないと出来ないことだし、自覚もないけれど、事実だとしたら、とてもうれしいです。頑張っていきたいです。そして、一日も速く、歌の中でそんな高音が使えるようになりたいです。

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コメント

  1. ひょっとこ より:

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    上書き、初期化も再生可能な場合もあり。
    フォーマットしちゃうと、
    リカバリー料金は上がるだろうけど。

  2. だりあ より:

    すとんさん、声楽がんばっておられますね。好きなことはなにがあっても絶対に譲れませんよね。テノールさんが高い声にあこがれる気持ち、とってもよくわかります。私はソプラノなんですが、ベートーベンの第九の合唱のソプラノが延々と歌うあの長い高音で、なんだかばかばかしくなって、こんなことやってられないわ・・・、と思いましたが、やっぱり歌うことそのものは好きですね。

    フルートでも歌唱でもほかの楽器でも、先生に指摘されることを自分の身体で再現するためには、なにしろひたすら練習しまくるたくさんの時間が必要ですよね。で、あるときにハッと気づいたらやれてた、出来てるっていう体験、これがたまらなく気持ちいい瞬間です。がんばってください。
    ハードディスクが飛んでしまったそうで・・・、残念でしたね。
    でも、ま、人生に必ず絶対に必要なのは命だけですから。
    パソコンのデータは、四、オカネ、の次の五くらい、と思ってください。

  3. すとん より:

    ひょっとこさん

     良い所をご紹介くださり、感謝です。でも、今回は世話になる事もないかな?

     確かにハードディスクが飛んで、溜め込んだデータは消えてしまったけれど、消えてしまったデータたちって、全然アクセスしていないデータたちだったんですよ。たぶん、これから先も、あのファイルたちを開くことは、まず無いだろうと思うと、それらがハードディスクの中にあろうがなかろうが、大した違いじゃないって事に気づきました。

     本当に大切なデータは、実は別にちゃんと保存してあるし、消えてしまった音声データも大切なものは、ネットにアップしてあるし、さらに言うと、妻も同じ音声データを持っていたりするので、そちらからコピーすれば、それで済む事に気づきました。

     ってか「使い道に困っていた余ったハードディスクを空にしておくのはもったいないから、とりあえず、使わなくなったデータたちを入れておけ~」ってノリだったハードディスクが壊れただけなんですよ。なので、消えた直後は、ちょっぴりショックでしたが、よく考えてみれば、まあ、困ることも無い事に気づいた私です。

     なので、私のハードディスクが壊れて、約1名の方、大喜びしたみたいですが、それって、ぬか喜びだったわけで、なんか気を持たせてしまって、かわいそうな気がします。

     ま、結果として、データの断捨離をしたわけですな(笑)。

     ご心配をかけて、申し訳ない。

  4. すとん より:

    だりあさん

     声楽のテノールって、バカばっかりなんですよ(笑)。とにかく『高い声が出したいだけ』なんですね。だから、テノールの世界では、歌が上手いとか、表現力があるとか、カッコいいとかよりも、どれだけ高い音が出せるかで序列が決まる、変な世界なんですね。馬鹿でしょ?

     とにかく、テノールという人種は、寝ても覚めても、いかにして高音を格好良く出すか、しか考えてないんです(私も実はそうなんですよ)。

     音楽の上達って、階段状に上達するんですよね。なかなか上達しなかったと思うと、ある日、えいや~と上達している自分に気づく。たぶん、今の私は、階段を一つ登ったところなんじゃないかなって思います。ま、段差の優しい階段みたいですが、それでも一つステップを登ったって感じがしてます。なので、ちょっぴりうれしいんです。

     ハードディスクの件は、ひょっとこさんへのコメントに書きましたが、ご心配無用です。むしろ断捨離できて、良かったと思ってます。

  5. ミルテ より:

    まぐれでも、先生のサポートがあったからだとしても、1度できたことはとても大きいことなんですって。
    この前のレッスンでわたしが言われたことの1つです。
    まぐれだろうが、できる実力があるとはっきり見えた瞬間なんだから、自己否定しない、といわれましたので、そのままどうぞ。
    できたのなら、その実力があるのですよw
    ほんとうに先生変わられてからの成長がすばらしいと思います。
    がんばってくださいね。

  6. 椎茸 より:

    ミルテさんのコメントと被りますが……

    歌の先生の役割っていろいろあると思いますが、
    レッスン中で、生徒の(その時点での)一番よいところまで出せるように導く
    っていうのが一番大切だ、と個人的に思っています。
    生徒が「ここまでできるんだ!」と思えるってすごく重要なことだと思うのです。
    自習の時にそれができるかは別として(汗)、そこが見えているかいないかの違いは大きいです。
    私も、先生を変えてからそのことの大切さを実感しています。
    いいところが見えていると、練習もポジティブな気持ちでできますね。
    がんばってください。

  7. すとん より:

    ミルテさん

     そうですね、まぐれでも何でも、出来たんだから、それだけのポテンシャルは持っているって事なんだと思います。後は、それをまぐれのままにせず、打率を上げて、確実性を増やしていき、手中に収めればいいんです…って、書くのは簡単ですが、実行はなかなか難しいですが、それでも光が見えた事は事実です。後は、その光を目指して行けばいいんです。

    >ほんとうに先生変わられてからの成長がすばらしいと思います。

     私もそう思います。つくづく、先生との相性って大切だなって思います。キング先生も、他の生徒さんには結果を出していますので、決して無能な方ではないと思いますが、私と妻に関しては、伸ばすどころか、声を壊す方向に導いた(実際、妻は一度ノドを壊されちゃって、病院通いをして、お医者様に、キング式とは別の発声方法を教えてもらって回復しました)ので、相性は良くなかったと、今なら分かります。

  8. すとん より:

    椎茸さん

     良い先生ってのは、生徒に学ぶ喜びを教えられる先生だと思います。学ぶ喜びにも色々ありますが、一番は、生徒自身が自分の上達が自覚できる事だと思います。

     今の私は、自分の上達をうれしく感じていますので、Y先生はなかなかの先生なんだなって思ってます。

    >いいところが見えていると、練習もポジティブな気持ちでできますね。

     ほんとほんと、そうなんですよ。アマチュアにとって、練習は楽しみの一つでもありますから、練習がポジティブな気持ちで出来るって、とっても大切な事だと思います。

     頑張ります。

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