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2024 声楽発表会 その3 すべては美しい思い出に変わっていく

 「Lorita/ロリータ」を歌い終わって楽屋に戻りました。気をつけていたにも関わらず、ノドにかなりのダメージを感じました。ううむ、曲の終わりの部分は、だいぶ無理して歌ったからねえ…。響声破笛丸をもう一包持ってくれば良かった…と即座に後悔しました。

 ノドは痛いわ、痰はやたらと出るわ…ノドの状態はかなり悪くなりましたが、自分のせいなので誰にも文句言えません(涙)。とにかく、のど飴を舐めて、少しでもノドを回復させましょう。

 正直、「Lorita/ロリータ」の歌唱は失敗だと思って、ちょっと凹んでいましたが、今はそんな事ばかり考えてはいけません。ただひたすらノドを休める事とリラックスする事が大切ですし、メンタルはとにかく前向きを心がけます。

 小一時間ほど休んだら、次の出番です。ドニゼッティ作曲のオペラ「ファヴォリータ」より「Spirto gentil/優しい魂よ」です。こちらの曲は、さっき歌った「Lorita/ロリータ」よりも数倍曲が難しくて歌うのが大変な曲です。なんでこの曲を選んじゃったのかな? 魔が差したとしか言えません…が自分で選曲をしたわけですから、文句を言わずに歌いましょう。

 出番までの手順は前回同様です。ただ、今度は「Lorita/ロリータ」の失敗を踏まえて、ここのホールがウワバミである事をさらに強く意識しました。歌う意識を変えないダメですね。いつものように「ホールなりに歌おう…」とか「ホールに頼って歌おう」なんて考えるのは止めました。ホール環境は無視して、ただただ、自分がやるべき事をやるだけです。ある意味、お客さんを無視する結果になりますが、そう思わないと声が吸われ続けてしまいます。…そう覚悟を決めて舞台に出ました。

 全力を尽くして歌った事は事実です。これが今の私の歌です。お聞き苦しくて、ほんと、申し訳ない。

 これで今回の私の出番はすべて終了です。

 妻は客席で聞いていたはずですが、合わせる顔が無かったので、歌い終わって発表会が跳ねても、ホワイエに行かずに、楽屋で着替えていました。いやあ、だって今回はいつも以上にひどい歌唱だったからね。全部歌い終えたので、改めて凹んでいたんですよ。

 全力を尽くして歌っても、現実的には、凹んでしまうような歌しか歌えないんです。いつまで経っても、自分の歌に満足できません。才能が無い事はよく承知しているし、所詮は“旦那芸”ですからね。その上、今回は発表会に向けての、十分な練習すら積み重ねていないのです。

 練習不足は、結果に正直に反映します。努力は嘘はつきませんが、努力不足は言い訳にもなりません。

 でもまあ、反省はしても、やっちゃった事はやり直せないわけで「覆水盆に返らず」とは、この事です。反省は次回に活かせばいいのです。とにかく終わった終わった。

 そう割り切りました。

 打ち上げはイタリアンレストランで行いました。ここがとんでもなく美味しいお店で、ワインがガッポガッポ進むんですよ。ほんとワインと料理の相性が抜群なんです。イタリアン料理って、こうでなくてはダメだよね。今回は、私の歌はダメだったかもしれないけれど、美味しい料理とお酒が飲めたので、今年の発表会はこれで良しって事にしておきます。

 アルコールはすべてを美しい思い出に変えてくれる…のですよ。録音さえ聞かなきゃ…ね。そして、やがて時間が経てば…すべては美しい思い出に変わっていくのですよ。

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コメント

  1. 蝶々 より:

    失礼ながら、ぶしつけだったらごめんなさい、、。とても良い声をお持ちですね。滅多に無い良いお声だと、ききほれました。歌手になるべきだったのでは?と思いました。

  2. すとん すとん より:

    蝶々さん

     お褒めいただき、大変うれしく思います。しかし私程度では、とても良い声とは、残念ながら、言えないのです(涙)。我が門下の先輩方は、それこそ聞き惚れるほどの美しい声ばかりなのです。

     声の美しさは、もちろん地声の美しさもありますが、ある程度は発声をきちんとする事で美しくなるものです。私の声は、響きが足りませんし、押し気味だし、何と言っても怒鳴り声の要素が入ってます。美声と言うには、まだまだ修練が足りないのです。

     それでも、褒めてくださり、大変うれしく思っています。やはり褒めていださる方がいらっしゃると、とても気分が高揚するものです。

  3. 蝶々。 より:

    お言葉をかえすようですが、持って生まれた声の事を言っているのですよ。楽器は買えますが持って生まれた声は
    いくらお金を積んでもかえませんからね。まだお若いようなので頑張って下さい😊

  4. すとん すとん より:

    蝶々さん

     持って生まれた声の事ですか…お褒めいただきありがとうございます。

     私は地声に関しては「ノドが強いね」とは色々な方から耳にタコが出来るくらい言われていますが、美しさに関して褒められた事はない…どころか、その手の話になると、常に蚊帳の外に置かれていたので、少々意外です。でも、褒められて悪い気はしません。

     おっしゃるとおり、声はお金では買えないので、これからも精進していきたいと思ってます。

    >まだお若いようなので頑張って下さい

     一応、これでも還暦を祝ってもらいました(笑)。定年退職もしております。歌をやられる方は、かなりのお兄様お姉様もいらっしゃるので、そういう方々と比べると、確かに若いのかもしれませんが、一般的には老人の範疇に入る私です。

     声を聞いてもらって「この人、若い」と思っていただけたなら感謝です。私はテノールです。テノールというのは、若者の声で歌う人の事を言うので、私の声が若く聞こえたのなら、テノール冥利につきます。

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