今年始めての声楽のレッスンに行ってきました。
まずは、レッスンで取り上げるドイツ歌曲の曲決めからです。前回のレッスンでイタリア系の曲を決めたので、今回はドイツ歌曲系の曲を決めます。
レッスンの課題曲は、毎回、私が候補曲を持ってきて、それを先生が見て、採用不採用を決めているのですが、今回は私がなかなか候補曲を決められず悩みに悩んだ末にあれこれ一周して(笑)超有名曲である、シューベルトの「Der Lindenbaum/菩提樹」を持っていきました。
基本的に、アンコールピースのような、有名曲を歌いたい私ですし、ドイツ歌曲は当分シューベルトの作品を歌おうと決めている私ですが、実はそんなにシューベルトに詳しいわけではないし、私が知っているような曲が、必ずしも私にとって歌える曲かどうかという見極めも難しくて、それで悩んでしまったわけです。
今回持っていった曲は、超有名曲でぜひ歌いたい歌なのだけれど、正直、私にとって歌える曲かどうかは疑問な曲なので、今まで棚晒しにしていた経過があります。
と言うのも、この曲、音程の平均値が実に低いんですよ。音域そのものが、低いシからミまでの11度になります。私はテノールなので、記譜よりも1オクターブ低い音で歌いますから、シ(B2)からミ(E4)の11度で歌うわけです。ううむ、これってテノールの音域じゃないよね。バリトンならちょうど良い音域だろうけれど、テノールにはちょっと低いです。実際、先生もこの譜面を見て「この曲を歌いたいなら、もう少し高くても良いよね…」と暗に高声用に高めに移調した楽譜の使用を提案してくれましたが…実は私が持ち込んだ楽譜は原調なのですよ。原調…つまりテノール用の楽譜なのです。
この曲は、シューベルトの「冬の旅」の中の1曲なのですが、そもそも「冬の旅」って、シューベルトがテノール向けに書いた曲なので、テノールなら、この原調で歌うべきだし、私も原調で歌いたいなあと思っているわけですが…やっぱり私が歌うには、ちょっと低いのも事実です。全体の音域も低めだけれど、メロディがかなり低音域に集中しているので、ほんと、低いんです。そういう意味では、テノール向けだけれど、低音にも強いテノール向けの曲なのだと思うし、実際「冬の旅」の初演者とされるフォーグルはテノールだけれど、バリトンの音域まで歌える、低音に強いテノールだったわけで、そんな彼を歌い手として想定していたなら、まあこうなるのも分からないでもありません。
とは言え、世間のテノール歌手のみんながみんな低音に強いわけではないし、私は高音にも低音にも弱々なテノールなので、この曲を歌うべきか、ほんと悩みました。
世の中には、もちろん、高く移調した譜面がある事も知っているので、そういう高めに移調した譜面で歌うべきか、それとも原調にこだわって歌うかの踏ん切りがつかなかったので、長らく棚晒しにしていたわけですが、今回、あれこれ悩んで「低い音域だけれど、作曲者がテノールにこの音域で歌わせたいと考えて作曲したのなら、この低い音域のまんまで歌ってやろうじゃないか!」という決心をしたわけではなく、何となく、うっかり持っていってしまったわけです。
ううむ、ちょっとダメかな?
Y先生的には、私が歌うなら、少なくとも半音、あるいは全音高く移調された譜面で歌った方が良いと思われています。
まあ、そんなわけで、あれこれ悩みどころの多い楽譜を使おうとしているわけですが、低い低いとは言え、低音の発声の練習曲だと割り切ればいいわけだし、B2程度でビビっていたらダメだしね。過去にシューベルトの「Der Tod und das Maedchen/死と乙女」を歌った時は、もっと低いレ(D2)も発声したわけだし…と無理やり自分を納得させました。
まあ、ミュージカルテノールなら、B2よりも低いA2までが常用音域になっていないといけないので、割り切りましょう(笑)。
と言う訳で、知らない人のために音源を貼っておきます。
ヨナス・カウフマンが歌っている「Der Lindenbaum/菩提樹」です。こんな感じで歌えれば最高なんだけれど、そんなわけにはいかないでしょうね。でも、頑張りたいと思います。
↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。
にほんブログ村
コメント