世の中の習い事のカタチの一つとして、グループレッスンというのがあります。グループレッスンは、少人数のグループで同時に一人の先生に習うため、レッスン代が格安になる事と、グループで学べるので孤独を感じる事がなく、友達作りにも役立つという、一挙両得ならぬ、3得ぐらいのありがたみがあります。特に、初心者で右も左も分からない時は、グループレッスンってありがたいものだと思います。
かく言う私も、声楽の習い始めは、グループレッスンでした。
最初は習い事にお金を使うという事に、若干の罪悪感を持っていた(笑)ので、レッスン代が比較的安いグループレッスンは有り難かったですね。おまけに、一人ではないので、同教生(?)たちと一緒に学ぶ事で、一体感もあったし、自分のレッスンだけでなく、同級生たちのレッスンも観察でき、色々と学べる事も多かったので、決して無駄ではなかったと思います。
でも、今思うと、グループレッスンって、良い事ばかりじゃないですね。
結局、先生が相手にするのは、グループであって、個人個人ではありませんから、その人のニーズにあったレッスンが行われるわけではありません。常に、その場の生徒たちの最大公約数的なレッスンが展開されるわけです。まあ、グループレッスンで、特定個人に焦点を当てたレッスンをしたら、その他の生徒さんから苦情が来るのは目に見えてますから、これは当たり前の仕業です。
さらにグループレッスンって、たいてい初心者さんたちのクラスなんですよ。つまり、言葉は悪いですが、下手くその集団のクラスなんです。まあ、自分も下手くそなんだから、周りも下手くそ集団の方が居心地が良いのは事実ですが、下手くそに囲まれていると、自分がいつまでも下手くそなままでも安心しちゃうんですよ。つまり、向上心が芽生えづらい? あるいは、下手くそでいる事に安住しちゃう? まあ、そんな感じです。
だいたい、向上心豊かでガツガツしている人は、グループレッスンでは、浮いた存在になりがちですしね。
初心者って、良くも悪しくも周囲の影響を受けやすいのですが、そんな時に周囲にいる人々が下手くそだと、いつまでも下手くその影響を受けたままになるので困ります。言葉悪く表現すると「互いに下手を伝染しあう」って状態になります。音楽などでは、耳が育つどころか、耳が壊れていく事すらあります。怖いですね。
物事の習い始めの時期って、実は、ウンと伸びる時期なんですよ。ですから、そんな時期にその人に合ったレッスンが行われれば、あれよあれよと言うまに上達しちゃうのですが、グループレッスンと言うのは、かゆいところに手の届かないものなので、ウカウカしちゃうと、その伸び盛りの時期に伸びることができずに、気がつけば、伸びる時期が過ぎてしまった…なんて事すらありえます。
欲がなければ、グループレッスンも良いものです。
グループの構成メンバーが固定で、同じようなキャリアと腕前で、互いに同じ程度の向上心も持ち、ガツガツせず、先生も上達よりも楽しみを優先してくれるようなレッスンを展開してくださり、生徒たちもそれに満足しているなら、特に問題はないと思います。
問題は、向上心のある人がグループレッスンに入ってしまった時ですね。ミスキャストもいいところだと思います。向上心のある人は、さっさと個人レッスンに移行するべきですね。と言うのも、結局、習い事って、個人の資質に大きく影響するんだと思います。習い事が、音楽であれ、絵画であれ、ダンスであれ、その人の得意不得意をよく観察し、その人にあったオーダーメイドなレッスンをしない限り、なかなか上達しない…って言えるんじゃないでしょうか?
私は、声楽のグループレッスンを受けていた経験から、フルートを始める時は、最初から個人レッスンにしました。だって、フルートでグループレッスンを受けて、最初から落ちこぼれたら、目も当てられないでしょ? また、逆に、自分がすぐに上達しちゃったとしても、グループにいる落ちこぼれさんに付き合っていくのも、なんかレッスン代の無駄のような気がするんだよね。
まあ、グループレッスンを頭から否定はしないけれど、商売抜きで考えた場合、とりわけ音楽関係の習い事の場合は、最初から個人レッスンをチョイスするのが、良いのではないかしらと、オジサンは思います。実際、私が習っていた声楽の先生は、最初はグループレッスンしかやっていなかったので、仕方なかったのですが、途中から個人レッスンを始めてくれたので、私はすぐに個人レッスンに変わりました。やはり、個人レッスンはグループレッスンとは色々と違ったものでした。
でも、個人レッスンって、孤独だし、寂しいし、時々「自分はこれでいいのかな?」とか不安になったりするんだよね。つまり、モチベーションの維持が大変なんですね。だから、習い事の先生は、そこのところのフォローが上手な先生がいいですね。
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コメント
声楽を始めようと思った時にグループレッスンの存在を知らなかったです。というか今ほどなかったのだと思います。
今年東京の師匠をお呼びして声楽仲間でのグループレッスンを実現させました。
師匠が近場にいらっしゃった時に少し足を伸ばしていただきました。
全員で発声、そのあと一人ひとりのレッスンがそれぞれ20分ずつ。
コストをかけないために伴奏の先生をお呼びせず私が伴奏をしたのですが、はっきり言って声楽の練習より大変でした。
だって自分以外の5人分の練習しなければならなかったし・・・。
皆様のレッスンも大変勉強になり、ピアノの練習もできたし、実現させてよかったけれど、自分のためなら東京までレッスンに行く方が楽です。
まあこのレッスンの後メンバーの一人が東京で用があるのにかこつけて師匠のレッスンを受けに行ったので、師匠の素晴らしさを知ってもらうのには良かったと思います。
ということでこの記事のグループレッスンとはちょっと違うけれど、最近の私の話題でした。
また実現できれば良いのですが、いろいろな意味で大変でしたので、次は「皆で東京にレッスンを受けに行きましょう。」のほうが良いかも?(マイクロバスツアー?笑)
Ceciliaさん
発声練習だけみんなでして、あとは20分ずつの個人レッスンって…それって、音大の授業形式のレッスンじゃないですか? それはたぶん“グループレッスン”って言わないと思うよ(汗)。
6人で一人の先生をお呼びして、割り勘でレッスン代モロモロを賄うって…おもしろい発想ですね。私の知人で似たような事をやっている人がいますが、その方法って、意外な大物歌手さんに師事できたりして手法としてはおもしろいと思います。
私もある程度技術が固まったら、そういうやり方のレッスンにしてもいいかなって思います。でも、その前に、私の場合は、きちんと基礎を作らないといけませんが。
>自分のためなら東京までレッスンに行く方が楽です。
情けは人のためならず…ですよ。
歌ではなくフルートなのですか、私の知り合い・・、というか友人と知り合いの中間くらいの方で、市の主催する「フルートを吹いてみよう」的な文化イベントから入られた方がいます。その方は、講座終了後も、二年ほどその時の受講生仲間とグループを作って講師の先生にレッスンを受けてられました。が、お仲間がだんだん進歩にばらつきが出てきて、彼女は遅い組に入ってしまって、焦りのようなものが見えて気の毒でした。
なので、私の先生の個人レッスンに変わったら?、とおすすめしました。
個人レッスンにつかれて後、姿勢からはじまって持ち方発音、一から見直して、今堂々たる音色でフルートを楽しんでられます。
楽しくお付き合いしてられたグループレッスンのお仲間と離れて個人レッスンに、とお勧めするのは、もしうまくいかなかったら勧めた私の責任も伴うし、とても迷ったのですが思い切ってお勧めしてよかったと思います。
月三回、二時間ずつのグループレッスンより、月二回の三十分ずつの個人レッスンのほうがずっと正しく進歩できるんだなあ、とつくづく思いましたよ。グループに参加する楽しさをとるか、個人の演奏技術の上達をめざすか、の違いで、どちらもありだとは思いますが。
だりあさん
だりあさんのご友人の話は、まさにグループレッスンの良い面と悪い面の両方が出てしまった話だと思います。
グループレッスンは友達もできて楽しいですね。でも進歩は人それぞれです。たまたまご友人は遅い組になってしまいましたが、早い組なら良かったのかと言うと、おそらくそれも違うと思います。早い人には早い人なりのイラつきとか「もっと先に進みたい」などの欲も生まれるでしょうが、そうはならないじれったさのようなものがあったと思います。
真剣に学ぶなら、グループレッスンよりも個人レッスンの方が良いと思います。でも、みんながみんな、真剣に学びたいわけじゃないんですね。学ぶ動機はひとそれぞれです。技術向上だけが目的ではないですからね。親睦だって立派な目的です。技術向上と親睦の両立ができればいいのですが、現実はなかなか難しいですね。
特に、初心者レベルを卒業してしまうと、個人レッスンしかなくなってしまうんですよね。だから、キャリアはあっても、わざと上達をしない人って、グループレッスンに行くと、いるんですね(マジです)。