先日“二期会研究会駅伝コンサート”というのを見てきました。なんでも、二期会内にある様々な研究会の発表会(ま、学校の文化祭のステージのようなものを想像すると、だいたい合っています)を立て続けに連続して行う…だから“駅伝コンサート”という名称なんだなって思いました。
場所は、渋谷区文化総合センター大和田にある、さくらホールで、渋谷駅の直ぐそばにこれだけの立派なホールが出来た事に驚きました。渋谷の再開発バンザイ!って感じです。
久しぶりにやってきた渋谷という街は、私が学生時代、毎週末、仲間たちと繰り出しては遊び場にしていた街でしたが、あの頃と比べるべくも無いほどに変貌しておりました。いやあ、こんな渋谷なんて知らないよ。
それはともかく、二期会内には12の研究会があって、今回はそのうちの9研究会によるコンサートだそうです。いやあ、立派なコンサートで、とても勉強になりました。研究会ごとにレベルの違いがあって、中には「これならアマチュアの声楽発表会の方がマシじゃん」と思える研究会がなかったわけではないけれど、ほとんどの研究会は「さすが、プロ歌手の研究会だ!」というレベルでした。
二期会の研究会だから、二期会の会員な方しか入れないんですよね。確か二期会の会員さんって…二期会に入るには、ちゃんとした音楽大学を卒業して、入会に際して師匠や諸先輩の推薦が必要で、なおかつ、会員であり続けるためには毎年高額な会費を支払い続ける必要があるわけで、趣味の人やセミプロの人が籍を置ける団体ではなかった…と思っています。でもね…客前で演奏しない方が良いレベルの人を出してしまうと、そこが悪目立ちして、全体の印象が悪くなってしまうのも事実なんだよね。とても良いコンサートを見たはずなのに、残念な歌ばかりが印象に残ってしまって「プロと言えども、たいした事ないな」と思ってしまうのは、たぶん残念な事です。
普段見ているプロ歌手の方々が、実はピンキリのピンの方ばかりで、キリの方は我々趣味のアマチュアレベルと同じかそれ以下である事は、考えてみれば当然だよね。音大のピアノ科を卒業しても、ロクにピアノを弾けないピアニストさんをたくさん知っていますが、音大の声楽科を卒業して二期会に所属していても、ロクに声の無い歌手もいるわけですね。
プロ歌手に抱いていた、憧れが、ちょっぴり飛んでしまいました。プロにも色々なレベルがあるわけです。まあ、私の所属する業界にも、色々な人が、それこそピンキリでいるわけで、それと同じって話ですね。
それはさておき、コンサートの感想です。
『白馬亭』というオペレッタは、実に楽しそうです。さっそくDVDを購入…と思ったけれど、日本語字幕付きのDVDはかつてはあったようですが、現在では廃盤のようでした。ちょっと残念。
猪本隆という作曲家については全く知りませんでしたが、彼の作品「アフリカの子」は、日本歌曲にしては、とても聞きやすい曲でした。『語り歌曲』というジャンルの曲のようですが、今までの日本歌曲とはなんか違っていて、彼の作品をもっと聞きたいと思いました。
ロシアやそれに連なるモノは、今、日本をはじめ、世界中から嫌われている中、ロシア歌曲やロシアオペラの研究会が堂々と発表していたのは(その態度に関して)私は好感を持ちました。でも、みんながみんな、歓迎して受け入れてくれるわけではないでしょうし、隣のビルではウクライナの平和集会をやっていたりして、時節がら「ロシア系のものは…微妙だよなあ」と思わないでもなかったです。
でもでも、ロシアの歌って…なんかいいよね。戦争の事は横に置いたとしても、あの国の政治体制とか価値観とか文化とか大嫌いな私ですが、ロシアのメロディには心ひかれました。単独で“ロシア音楽コンサート”とかだったら、絶対に行かない私ですからこそ、こういう駅伝コンサートという、ある種のアラカルトコンサートの有り難みを感じました。
そして、フランス歌曲って…ほんと、シャレオツで良いよね。ああ、フランス語は全くできないけれど、歌ってみたい。日本語訳でもいいから歌ってみたいと熱望しちゃいました。
この駅伝コンサート、来年もチャンスがあったら、是非行きたいと思いました。
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コメント
お引っ越し、お疲れ様でした。
連日暑いですが、無理なさいませんように。
フランス歌曲、私も毎日ドビュッシーの楽譜眺めながらため息ついてます。音域広いし、ピアノとの連携難しそうで、今は遊びでも手が出せません。
一番好きなのは、中世の不良詩人ヴィヨンの詩になる「母の望みにより聖母に捧ぐ」ですが、これは明らかにバリトン向けですごく低い。自分じゃ無理ですが、suzayとかdieskauなどで聞くとうっとりします。
フランスものがいいのは、大人にならないと味がでないことで、年甲斐もなく色気たっぷりに年よりが歌っても、表現力があれば粋に聞かせられるか、と。時間はまだありますよね。
万人向けに歌いやすいのは、メロディは誰もが知っているサティの「je te veux」辺りかと思います。実言うと歌詞の内容が××な想像を掻き立てるものなので、tvで小学生のピアノのレッスンに使われてたりすると、おいおい、いいのかよ、ですが。
これ、時々ハイティーンの息子の部屋の前で歌って、「ヘヘヘ、わかんねーだろー」と心の中で笑ってます。他人が見たら随分変な光景でしょうが楽しいです。
如月青さん
コメントありがと。これで読者の方がコメントを付けられる事が確認できました。これって自分じゃあ確認できないんですよね、ほんと感謝です。
さて、確かにフランスものは、偏見かもしれませんが“大人感”が必要な曲が多いですね。あと、フランス語そのものが難しいのも問題です。たぶん、ドイツ語の比じゃなく難しそうですね。スペルを見ても、どう発音するのか、未だによく分かりません。ウチの先生は、発音記号が書かれている楽譜を持ってきたらレッスンしてもいいよ…みたいな事を言ってます。それくらい歌詞の読みが難しいって話でしょうね。ちなみに、ウチではカタカナはご法度です。(カタカナで良けれは、なんとか出来るんだけれどなあ…)。
一応、フォーレの発音記号付きの楽譜は持っているのですが、どのタイミングでレッスンに持っていくべきか…まだ悩んでいます。まだドイツ語の歌もロクに歌えていないのに、フランス語に手を伸ばすのは…やっぱり無謀だろうなあって思っているわけです。
>歌詞の読みが難しい
英語に比べればはるかにラクですよ。
読み方については、ドイツ語やイタリア語ほどではありませんが、かなり規則的なので、辞書や初歩の教則本で十分覚えられるレベルです。
母音は16とか言われますが、ほぼ日本語と同じ5に収束されるので、カタカナでも大丈夫。
とはいえ、私も学生時代「j」の発音ができなくてnativeの先生に責め立てられ、発音の教室に通った苦い思い出があります。英語やドイツ語では日本語の「ザ」行と同じで良いのですが、フランス語では舌を立てて上あごにつかないようにする、というコツがなかなか呑み込めなかった(日本語で言うと「シュ」を濁らせた感じ)。
外国語の発音については、「自分が発音できなければ聞くこともできない」というサピアのルールを尊重して、聞くだけでなく、口の中の動きを図なり説明なりに合わせて真似することが大事、と実感しました。
如月青さん
英語はねえ…中学生の時から何年もかけて勉強していて、大学入試でも使った言葉で、外国語だけれど外国語じゃないくらいに勉強したわけで、そこは、イタリア語にしてもドイツ語にしても、ましてやフランス語にしても、歌うためだけに勉強しているわけだから、それらと英語では勉強の深さとか身に付き方とかが全然違うわけで、比較対象にはしちゃいけないと思ってます。
確かに英語は難しい言語だけれど、身に付いちゃっているわけだから、難しさのレベルが違うと思います。
実は私、フランス語は、NHKのテレビのフランス語講座を1年間、結構真面目に視聴したけれど、それでもやはりちんぷんかんぷんなのですよ。ドイツ語やイタリア語は、語学本を読んで、それで何とか歌っているのですが、フランス語は全くそれでは通用しないのです。いやあ、難しい。
>外国語の発音については、「自分が発音できなければ聞くこともできない」
確かにその通りだろうけれど、私は逆に考えています。きちんと聞き分けられなければ、とても発音する事はできない…とね。英語で言えば、LとRとか、BとVとか、ZとThとかの発音の違いが聞き分けられない人は、きちんと発音をし分ける事はできない。だから大切な事は、浴びるほどネイティブの発音を聴いて、耳を作る事…だと思ってます。