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声楽四年生になったんだから、ポジションをしっかりキープしたまま歌いましょう

 声楽のレッスンに行ってきました。

 今回のレッスンは、先生の「何かお悩みがあるようですね」のひとことから始まりました。はい、先週のブログ記事(こちら)についてでございます。そこで、あの記事に応答するかのようなレッスンが始まりました。

 まず歌う時に、ポジションが変わるとどうなるか、変えないとどうなるかの例を、先生が見せてくださいました。ポジションが変わると、ずばり音色が変わりますが、同時に声質と音域も変わります。つまり、高いポジションで歌うと、テノールの声と音域になり、中程のポジションで歌うとバリトンの声と音域になりました。おそらく、低いポジションならバスの声と音域になるでしょう(さすがに、バスの見本は無しでした)。

 先生はかなり器用な人なので、歌いながらポジション変更ができる人ですが、それは本来はするべき事ではないし、学習者である生徒がマネをする事ではありません。ポジションについては、その人にとって、一番良い声のでるポジションというのがあるのだから、まずはそのポジションを知り、それを守った歌い方をするところから始めないといけません。

 先生がおっしゃるには、私の欠点は、欲張る事と考えすぎる事なんだそうです。

 歌にしても、音域を欲張りすぎているから、音程によってポジションが動いてしまうそうなのです。まずは、自分のポジションを『ここ!』と決めたら、そこから微動だにせずに、そのポジションをきちん守って歌っていきましょうと言う事です。当然、ポジションを動かさなければ、自ずと使える音域にも限界が生じます。そこで今までは、ポジションを移動して出せない音を出していたわけですが、それは止めにして、最初に決めた自分のポジションのままでは歌えない音は、いっそ、捨ててしまうくらいの潔さが必要だと言われました。

 まずは1オクターブ半の音域を確保する事から始めましょうと言われました。上は高いAsが安定して出せれば、今は御の字ということなので、そこから1オクターブ半下というと、低いEくらいかな? つまり私の場合は、五線の一番下の音は捨てる、もちろん、それ以下の音も捨てて歌うくらいがいいという事なんです。もちろん、高い方もAsより上は、今のところは、望まない。無理に出さない。そういう事が大切なんだそうです。

 低い音や高い音を無理して出していると、ポジションが崩れるし、何よりも声が響かなくなるそうです。…そう言えば、デル・モナコがどこかでそんな事を言っていた記事を読んだことがあるなあ。「例え練習であっても、テノールは低い声を出すべきではない」だったかな?

 その音域だと、毎日歌っている讃美歌の歌唱に差し支えが出る(と言うか、歌える曲が無くなる:汗)けれど、まあ、今しばらくは、讃美歌も音を捨てながら歌う事にしましょう。

 大切な事はポジションを守ること。それはつまり、私の場合は、常に頭声で歌い続けることでもあります。だから絶対に、声を胸に落としてはいけないし、胸に落ちてしまう音は歌わないのが、今の段階では必要なことなのです。

 そう言えば、キング先生の元で歌の勉強を始めて、3年が過ぎ、4年目に突入します。ようやく頭声も出てくるようになり、自分本来の声で歌が歌えるようになりつつあります。

 私の声種はテノールですが、どうやら声質的にはレッジェーロのようです。レッジェーロからせいぜいリリコくらいまでの声で、つまり『細くて軽くて高くて若々しい声』というわけです。という事は“ヒーロー”ではなく“王子様”の声って事ですね。今までは、私は自分の声は、太くて強い声と(半分は願望なんですが)思っていましたが、それは本来の声ではなく、先生の元で正しい声の出し方を学ぶにつれ、本来の声が出てくるようになり、それがどうやら、レッジェーロだったようです。そう言えば、青年の頃などは、電話で話すとよく女性に間違えられたっけかな。そんな自分の高い声がイヤで、普段は頑張って低い声で話していた事を思い出しました。細くて甲高い声が、私の本来の声だったんですよ。

 と言うわけで、細い声の人は細い声の人なりに歌わないといけません。自分の声がレッジェーロであることを意識して、特に高いところは細く感じる声で歌った方が結果が良いと言われました。高いBより上は悲鳴に感じるくらい細い声で歌っても大丈夫だと言われました。自分では悲鳴のように感じて歌っても、自分で聞こえる声と観客が聞く声は別物なので、自分が感じているほどにはか細くならないので、安心して細い声で歌っちゃえーって事なんですよ。

 さて、そのポジションの取り方なんだけれど、発声練習の時に、高い音から始めて、下に広げていくように歌っていくのが良いでしょうと言われました。なので、自宅の発声練習も、まずは、高いFisあたりを発声して、そこでポジションを決めたら、そこから1オクターブ程度の発声を下降音形で始めて、出だしの音を次々に高くしていって、最後はAsあたりまで上がればいいんじゃないかなあと思ってます。その際に、声の出発点を『頭の上の奥』から始められるように、ハミングでしっかり確認することが大切でしょうね。

 考えすぎに関しては…つまり、考えすぎなんだそうです(笑)。あれこれ悩まないで、ドンドン歌っていくのがテノールなんだから「とにかく歌え!」ということです。「バカになって、声をひけらかして、毎日毎日歌っていく」事が大切なんですよ。

 さて、ポジションに関する、お悩みごとが解決したところで、次は聴音の話になりました。

 聴音そのものはやりませんが、聴音のやり方を教わりました。聴音初級講座?のようなものですね。それはつまり『大づかみに音楽を把握するコツ』です。確かに音楽は正確に解釈することは大切ですが、大づかみに理解することも大切で、マクロとミクロの二つの視点が必要という話です。私たちアマチュアシンガーは、ついついミクロの目で細かく音楽を見てしまいがちですが、それでは「木を見て森を見ず」になってしまいがちです。きちんと「木を見ながら、同時に森としても見る」癖をつけることは大切です。

 コンコーネは3番。それも最初の8小節分だけ。いやあ、たった8小節ですが、やらなきゃいけない事、山積み。「ポジションは常に高めに取って歌う」「歌う音と捨てる音をはっきりと分けて歌う」「スラーはスラーとして歌う」「ブレスは指定されているところできちんと取って、指定されていないところでは絶対に取らない」「音符の長さ、休符の長さはもっと正確に」「クレッシェンドもデクレッシェンドも、やっている事が分かるようにやる」です。つまり、楽譜に書かれている事は全部きちんとやる。なぜなら「練習曲は正確にやらないと意味がない」からだそうです。ごもっとも。

 二重唱は、音がしっかり取れている事を確認。次回のレッスンまでに暗譜と言われました。暗譜ができてないと、何の指導もできないそうなので、早く暗譜をしましょうねという事です。ま、オペラだし、確かに譜面にかじりついているうちは何もできませんね。

 この伯爵とスザンナの二重唱が終わったら、次はまた別の、モーツァルトの二重唱をやりますと言われました。ただし、次はソプラノとテノールの二重唱なんだそうです。今回は、ソプラノの勉強のための二重唱ですし、私はバリトンパートを歌っているので、比較的、楽ができますが、次はテノールパートを歌うので、私もしっかりやらないと、ダメでしょうね。高い音がバンバン出てきそう…。ガンバ>自分。先生は「ポジションさえ、しっかり守れれば大丈夫」とおっしゃるけれど、ちと不安です。でも、どんな曲だろ? この前、購入した音楽之友社版の「オペラ重唱曲集」には、モーツァルトでソプラノとテノールの曲は載ってないものなあ。なんだろ? 楽しみ。

コメント

  1. Cecilia より:

    私はリリコ・レッジェーロですが、軽い声だとスピントとかドラマティコに憧れますよね。
    私は悩まずにどんどん歌える部屋がほしい~。
    モーツァルトでソプラノとテノールの曲ってドンナ・アンナとドン・オッターヴィオかなあ??

  2. Cecilia より:

    追記

    いや、パミーナとモノスタトスだったりして・・・。

  3. すとん より:

    >Ceciliaさん

     モーツァルトだと、ろくなテノール役がないので、とっさに二重唱も思い浮かびませんが…有名な二重唱と言うと、やっぱり“ドンナ・アンナとドン・オッターヴィオ”の二重唱ですかね。“パミーナとモノスタトス”でも面白そうだから、いいや。他にも“パミーナとタミーノ”の二重唱ってなかったかな? あと、コシにも二重唱がありそうな気がしますが…今、手元に資料が何もないので、全然分かりません(笑)。

     フィガロにはまずないだろうな。

  4. Cecilia より:

    パミーナとタミーノの二重唱ってあったと思いますがたいしたことないのです。
    むしろパパゲーノとパミーナのほうがおもしろいです。
    モーツァルトって案外テノールが活躍しないですよね。
    バリトンの知人はプッチーニはバリトンが主役になれないと嘆いていましたが、だからモーツァルトのほうが好きだとも言っていました。

  5. すとん より:

    >Ceciliaさん

     そうなんですよ、モーツァルトってテナーが活躍しないんですよ。パパゲーノはいいんだけれど、一応バリトンだし。

     やっぱり、ソプラノとテナーの二重唱というと、「椿姫」に珠玉の二重唱がたくさんありますよね。「乾杯の歌」とか「パリを離れて」とかいいよね~。あと、ドイツ語になってしまうけれど「メリー・ウィドウ・ワルツ」なんて大好きです。

  6. Cecilia より:

    「乾杯の歌」・・・いまだにまともに歌ったことないです。
    ヴィオレッタのアリアは”Addio~”なら遊び程度で歌ったのですが、派手なほうはなかなか歌えません。
    すごいですよね。
    だってヴィオレッタ役の人はあのアリアだけ歌うわけではないのですもの。
    「パリを離れて」は昔姉が使っていた高校の音楽の教科書で見ました。
    鑑賞用でしたが、楽譜があったので私はよく歌いました。
    「メリー・ウィドウ・ワルツ」もオペレッタとかオペラを知らない頃にピアノ用の楽譜を買いました。
    何となく良さげだったので・・・。

  7. すとん より:

    >Ceciliaさん

     「椿姫」は名曲ぞろいですね、ソプラノさんには見せ場の多い(つまり、負担が多い)曲だとも思います。捨て曲のない、すばらしいオペラだと思います。

     「パリを離れて」は確かに音楽の教科書に載っていました(今はどうなんだろ?)。大昔、私も“遊びで”この曲をよく歌いました。歌っていて、教科書に載っている他の曲とは、やはり毛色が違っていて、なんか不思議な感じがしました。イタリアオペラの曲が教科書に載っているという事自体が、変則的な事なんだろうなあと今は思いますが、当時は、その異質さを、不思議な思いで見ているだけでした。

     そうそう、「メリー・ウィドウ・ワルツ」はオペレッタの曲なんですよね、だったら、原語に縛られずに、日本語で歌っちゃうのもアリかな? ……ドイツ語はやっぱり苦手です(イタリア語が得意というわけではありませんが:苦)。

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