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24Kのフルートを吹けば、誰でも美しい音楽を奏でられるのか?

 先日、ひょっとこさんから薦められた、シャロン・ベザリーの「モーツァルト:フルート協奏曲全集」のCDを聞いてみました。ベザリー氏の演奏が上手なのは当たり前として、思わず得したかな?と思ったのは、そのフルートの音色が文句のつけようもないほど美しいものだった事でした(ただし、美しいのだけれど、私の好みの美しさとは、その方向がちょっと違った事は書き添えておきます)。

 これだけ美しい音色なのだから、どんなフルートを使っているのかという興味、湧きませんか? 私はフツフツと湧きますよ。で、調べてみたところ、あっけなく分かりました。このベザリー氏は、実は、ムラマツ24Kを使うフルーティストとして、有名な方なんです。

 24K…つまり“純金”ですよ(追記:24Kであっても、楽器用の24Kは純金ではないそうです。コメント欄のセンニンさんのご発言を参照してください)。特注品だそうですから、はっきりとは分かりませんが、軽く1000万円以上はするフルートです。ね、興味シンシンでしょ。

 実は私、24Kのフルートって試奏した事があるんですよ。いや、ムラマツの総銀、9K、14K、18K、24Kと並べて、順番に試奏して比べたことがあるんですよ。その時の印象とベザリー氏の演奏とが全然違うので、ビックリしました。

 もちろん、フルートの音って、聞く人の好みというのもありますが、私にとっては、14Kが一番(金っぽい音という意味で)いい音に感じられました。9Kはまだかなりシルバーっぽい音色で、ゴールドフルートとしては、ちょっと物足りない感じがします。18Kは音の密度が高すぎるかなって感じでした。24Kは、正直、音がどうしようもないくらい野暮ったくて“使い物にならないなあ”と思いました。

 でも、ベザリー氏の演奏を聞くと“使い物にはならない”のは、フルートでなく、奏者の方だった(つまり、私)という事がよく分かります。メーカーさんとフルートに謝りたい気分です。吹ける人が吹くと、24Kのフルートも、これだけキレイに鳴るんです。

 こんなキレイな音色のフルートを聞いてしまうと、自分で24Kを試奏した経験がなければ「金は純度が上がるほど良い音がする」なんて誤解をしてしまいそうなくらい、ベザリー氏の音色は独特な美しさがありますね。でも、プロが吹けばキレイに鳴る24Kフルートですが、そんちょそこらの人が吹くと、野暮ったい音しか出ないのが、24Kフルートだと思います。

 ベザリーの氏の演奏は、YouTUBEに転がっていたので、以下に張っておきます。この演奏でも、やはり24Kフルートを使っていますね。

 ベザリー氏は24Kフルートと相性がすごくいいのでしょうね。プロとして、24Kフルートで音楽をするというのは、一つのウリとして良いのですが、逆いうと、超高級フルートと相性がいいというのも、財布的には厳しいですね。彼女は24Kフルートの代金をペイするだけの稼ぎがあるのかしら? いくらレコーディングアーチストとは言え、クラシック系ミュージシャンの収入なんて、たかがしれているはずだからね。

コメント

  1. はっチャン より:

    オハーです。
    自分はクラシック系でないので、ゴールドフルートよりPTPあたりが欲しいです。100万円チョットかな?。それより、シルバーソニックのテナーが欲しい!。80万~110万くらいですか。メーカーにもよります。(笑)
    それよりも腕を磨かないとだめですかね~!。(汗)
    ガンバです。

  2. すとん より:

    >はっチャンさん

     おお、PTPですか。このモデルは実はクラシック系の方も大勢使ってらっしゃいますよ。あの“腰の強い”独特の音が愛されているんだと思います。ただ、見かけが銀と同じなので「私はPTPユーザーです」と言わない限り、バレないだけで、その潜在ユーザー数はどうしてどうして、立派なものだと私は思ってます。

     プラチナの無垢はお値段もそうですが、奏者を著しく選ぶそうなので(無垢のプラチナフルートは試奏したことがないの伝聞ですが)、案外PTPあたりが、プラチナ風味が絶妙で愛されるのかもしれません。

     私が思うに、PTPユーザーは、奥ゆかしい人が多いのではないかと思ってます。だってね、高価なフルートを使っているのに、その高価な事が他人に分かりづらい…つまり自慢しずらい、自慢する気がない…わけで、そういう人って、私にはそういう部分がないので、いいなあと思います。

     私は…PTPを買う資金があったら…アルタスALを買うかも。ALって、ルイロットのレプリカというかマッシュアップですからね。ヴィンテージフルートには興味があるものの、モダンフルートの機能性が捨てがたい私には、なかなかのチョイスなんですよ、ALは。

     ま、先立つものが無ければ、何の話にもならないのですが…ね。

  3. センニン より:

    プラチナメッキは傷が非常につきにくいのでいつでもピカピカです。それが良くて買った人を一人知っています。

    ベザリーさんはこの CD のレーベル “BIS” の社長夫人です。もう一本でも総プラチナでも買えるはずです。

     ところで楽器に使われる 24k は純金(pure gold)ではありません。0.1% ほどチタンが混ぜられています。
     金のインゴットを触ってみれば分かりますが、純金では柔らか過ぎて楽器を作る事はできません。いや、作る事はできても楽器として使う事は実際には無理です。
     24k と純金は別物です。

  4. すとん より:

    >センニンさん

     そうなんですか、ベザリーさんは、レーベルの社長夫人さんなんですか? お金持ちさんと言うべきか、超強力なパトロンさんのいるフルーティストさんなんですね。ならば、24Kフルートくらい、使いたければ使うわけだ。うん、納得。それにしても、BISという会社は、社長夫人がフルーティストなら、ちょっと注目していてもいいレーベルかもしれませんね。フルート系のラインナップが充実しているかしら?

     さて、楽器用の24Kにはチタンが入っている事は知りませんでした。教えていただき感謝です。確かに金は柔らかいですかねえ…。銀もいいかげん柔らかい金属ですが、金はそれに輪をかけたくらい柔らかいのですから、確かにチタンくらいを混ぜるくらいでちょうど良いのかもしれませんね。

  5. とと より:

    18kの時計もってますが、電池交換するたびに、傷がふえてます(あはは。。;
    むちゃやわらかくって、きずだらけです・・

  6. 河童 より:

    純金は柔らかい(噛んで凹む)ので、演奏中に曲がってしまうでしょうね!!
    ところで映像をみて思ったのですが、組み立てたフルートを持ち運ぶ時の適切な持ち方はどうなんでしょう?
    映像の中ではネックを鷲掴みがちょっとで、あとは管体のキー部分を鷲掴みしていました。

    季節性のウイルスにやられて2日ほどダウンしました。
    そしたら・・・まともに音が出ない!!! 2年間後戻りしたくらいに・・・どん底

  7. すとん より:

    >ととさん

     金は確かに柔らかいですよね。傷もつけば凹みもする。でも、金色なので、あんまり傷は気にならない(私は…ね)。装飾品のための金属であって、実用品のための金属ではないだろうと思ってます。

     こんな柔らかい金属だから、木材の代わりに、木管楽器に使われているんだとは思いますが、あんまり柔らかいので、取り扱いは難しいそうですよね。ゴールドのユーザーの方は、とても気を使われていらっしゃるのだと思います。

  8. すとん より:

    >河童さん

     季節性のインフルですか? それはとても大変でしたね。どうか、お体をお大事にしてください。

     持ち方…確かにラフですね。素材が柔らかい柔らかい24Kですから、心配しちゃいます。でも、その後ですぐに演奏できているのだから、たぶん、あれでも問題ないんでしょう。でも、マネはしない方が良いと思います。

    >純金は柔らかい(噛んで凹む)ので、演奏中に曲がってしまうでしょうね!!

     24Kでなく、14Kあたりでもかなり柔らかいそうですよ。ちょっとぶつけただけで、おおきく凹むそうです。ゴールドは音は密度が高くて良いけれど、取り扱いは簡単ではなさそうです。

     私が思うに管体は多少柔らかくても何とか使えるでしょうが、メカ部分が柔らかい素材でできていると、すぐに調整が必要になりますし、故障も増えるので、実用的ではないような気がしますが…ゴールドフルートユーザーの方には、そういう風に手がかかるのもかわいく感じるのかもしれませんが。

  9. 神音(かのん) より:

    アクセサリーの24kも、純金とは違ったような。
    純金のものもあるかもしれませんが、加工の都合上割ってあったような気がしますが。0.01%までは割ってよかったと記憶してます。

    私の元の先生は、ムラマツのPTPでした。銀より少し重い色というのかな、あれ?銀?と思っていたら違った!けど、遠くからではわかりませんよね…ぴーんとした緊張感のある音の先生でした。PTPは頭部管だけ銀の楽器につけてふいたことありますが、コントロールが繊細そうでした。むろん、メッキですが。

  10. すとん より:

    神音さん

     そうですか、アクセサリの24Kも純金ではないのですか。そう考えると、純金って、貴重なんだな~。

     PTPは基本はやはり総銀フルートの音ですが、単なる総銀とは一味違う音色が、良いところだと思います。コントロール、難しいですか。そうなんだ。

  11. 河童 より:

    CD(SACD)を手に入れて聞きました。
    個人的に、この音色は嫌いです。
    さらに、われらが高木綾子のモーツァルトの方が表情が豊かです。

    今日はようやくまともな音が出始めました。なんとか1年分回復した感じです。
    わかったこと、パールの○○○は吹くポイントがやや狭い(いままで使っていたのと比べてです)。

  12. すとん より:

    >河童さん

     なんか申し訳ないような気になります…。ベザリー氏の音は、かなりムラマツっぽい音がすると思いますので、ムラマツサウンドが苦手な人にはちょっと…という感じがします。

     高木氏はヘルムート・ハンミッヒでしたよね。私も個人的にはムラマツの音よりもヘルムート・ハンミッツの音の方が好みですが、そこは善し悪しではなく好き嫌いの世界の話になってしまいますね。

     この両者の違いですが、国産フルートとドイツフルートの違いもありますし、ゴールドとシルバーの違いもあるでしょうし、モダン楽器とヴィンテージ楽器の違いもあります。そう考えてみると、ベザリー氏と高木氏が使っている楽器って、かなり性格の異なるものですね。

    >パールの○○○は吹くポイントがやや狭い

     音色を重視してつくられたフルートは、良い音が鳴るポイントが狭く(つまり、吹くのが難しい)、音量にもハンデがあると聞きます。パールの○○○はきっと、そっち系のベクトルの楽器なんだと思いますよ。

     難しい楽器ほど、攻略する喜びがあるんじゃないですか?

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