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腹式呼吸 って、腹筋とは関係ないよ その1

 どうも言葉の表現とその内容が乖離していると、色々と面倒な誤解が生じるようで…。

 声楽の呼吸は腹式呼吸だとよく言いますし、事実、そうなんですが、では腹式呼吸って言われて、どんなイメージ持ちますか? 胸を膨らます呼吸(胸式呼吸をイメージしているんでしょうね)ではなく、お腹を膨らませる呼吸でしょうか? 布袋腹のように、お腹を膨らませたり、へこませたりして呼吸している人って、たまにいますが、なんかおかしいですよね。おかしいと言っても笑い事ではなく、実は大昔の私は、そのように思ってましたし、実際にやってました。だって『腹式』だもん、お腹を使って呼吸したくなるよね。

 でもね、実際にお腹を膨らませて呼吸してみると分かるけれど、お腹を膨らませても、空気はあんまり体の中に入っていかないんです。つまり、腹式呼吸と言っても、本当は、お腹を膨らませ行う呼吸ではないのです。

 キング先生はよく呼吸の練習の時「お腹は軽く引いたまま、なるべく動かさないで!」とおっしゃることからも、腹式呼吸はお腹を膨らませる呼吸方法ではない事は分かるでしょう。

 では、いったい、どこに空気をいれるかと言うと、実は腰。キング先生はよく「背中」って言うけれど、それは中級者以上の話であって、初心者は背中よりも腰をイメージした方が分かりやすいと思う。

 (やや背中側の)腰に手をあてて下さい。そして息を吸う。腰が膨らむのが分かったら、腹式呼吸できてます。場所が分かりづらければ、お辞儀をする時に曲がる部分です。そこが膨らめばOKです。つまり腹式呼吸とは、お腹で息を吸うのではなく、腰で息を吸う呼吸のことです。お分かりでしょうか?

 『腰で息を吸う』という表現がが分かりづらければ『胴回り全体が膨らんで息を吸う』と言うと分かるでしょうか? つまりは胴体全体が外側に広がることで、その上にある胸が下方向に広がって息が入っていくのでしょう。もっとも『胴回り全体』と言ったからとて、本当に胴回り全体で考えるとやはり間違い。胴回り全体だけれど、やはりメインは背中側の胴回りであることは、やっぱりチェックして欲しいです。

 これができると「息を吸う」のではなく「息が入ってくる」感覚になります。腰をガバっと張ると息がスウッと入ってくるのです。

 まあ、声楽や合唱を実際にやっている人は、お腹をふくらませても息が入っていかないのは、経験的に分かっているし、案外無意識に腰に息を入れてたりするから「腹式呼吸=腰が膨らむ」はだいたいOK。

 ちなみに、腰に息を入れると、本当にたくさん息が入ります。私は昨年、人間ドックで肺活量を測定する時に、これをやったら、軽く5リットルをオーバーして、技師さんをびっくりさせました。

 で、腰を膨らませて息を吸ったら、吐く時も腰を膨らませたまま吐けるように努力する。できるだけ腰をへこませないように(キング先生の表現だと、背中をつぶさないように)歌っていけるとグッドなんだな。

 今日は息の吸い方の話でした。息の吐き方については、来週あたり一緒に考えてゆきましょう。

コメント

  1. あんだんて より:

    はじめまして!
    私も声楽を習っているので、ときどき拝見させてもらっています。呼吸は、一番ムツカシイようにも思います。私はブレスが浅いようです。少しは腰に入っていますが、息切れ、よくします。
    私は30代で女声合唱、仕事が多忙になったため合唱を止めて40代後半から声楽、二年前からピアノを始めました。最初に人前で歌ったのはオンブラマイフでした。
    すとんさんが、以前に喘息のことを書かれていたので質問です。小発作でも、タンがからんでいる状態だと、声がかすれたり割れたりしませんか?
    私は、発声の途中でよくそうなります。暖かいお茶を飲んだり、咳をしてタンを出さないと、クリアな声がでてくれません。発表会など本番ではまだそうなったことはないのですが。なにかの拍子に元にもどることもあります。
    ちなみに、予防薬として、吸入ステロイドはフルタイトを使用していますが、今は点滴を受けるほどの大発作は起こらなくなりました。
    歌を歌うには、喘息はハンデですね。
    なにか良い方法があれば、教えてください。

  2. すとん より:

    >あんだんてさん

     ちなみに今もタンが絡んでます(笑)。確かにタンが絡んでいると、声、割れやすいですよね。

     私の場合、体質的なものもあるのでしょう。タンは喘息に限らず、ちょっと喉が腫れるだけでもよく絡むので、ムコソルバン(タン切り剤)はよく処方されます。

     良い方法ですか…そうですね…、参考になるかは分かりませんが、私は意識して、水分を常人よりも多めに摂取するように、心がけています。ホント、普段でも四六時中、水ばかり飲んでいるライフスタイルです。発作が起きている時は、一度に2リットルを日に何回も飲みます。もちろん、オシッコもたくさん出ますが、出しては飲み、出しては飲みしてます(尾籠な話でごめんなさい)

     なぜなら私の場合、水分摂取の間隔が空いてしまうと目に見えてタンが固くなり、切りづらくなってしまうからです。

     健康な時でも、1時間もたたずに水飲んでます。外出している時は、道を歩きながら、給水してます。だから、水筒やペットボトルは必需品です。

     あとは…、咳はなるべくしないように、どうしても咳払いが必要な時でも、なるべく優しくするように、心がけています。乱暴に咳をすると、喉を痛めますので。発作のせいで、咳き込んでしまった時は、心の中で「あちゃー」って言ってます(笑)。

     私の場合、吸入剤は、何種類か試しましたが、どれも声がかすれてしまうので、使いません。専らテオロング(気管支拡張剤、飲み薬、ちょっと前はメインの治療薬でしたね)一本槍です。

     病状は人それぞれなので、まずはホームドクターと相談でしょう。私は水飲みがいいのですが、あんだんてさんにもいいかは分かりませんので…。

     おっしゃるとおり、歌を歌うのに喘息はハンデだと思いますが、人それぞれ弱点はあるもので、私は喘息ですが、楽譜を読める程度の視力と、音楽CDを楽しめる程度の聴力と、検査技師を驚かせるほどの肺活量があるので、それで良しとしてます(笑)。自分に足りないものを数えるより、できるものを数えた方が、精神衛生上、よろしいでしょ。

  3. Cecilia より:

    正しい腹式呼吸ができてないのでは・・・と時々不安になります。
    おそらく問題点はいっぱいあるでしょうね。

  4. すとん より:

    >Ceciliaさん

     たかが呼吸、されど呼吸ですね。

     次回書くつもりですが、私は腹式呼吸のうち「吸」の部分は自分なりにOK出してますが、「呼」の部分に迷いがあります。たぶん、先生から見れば、「呼」も「吸」もダメ出しされるかもしれませんが。

     歌は呼吸に始まって、呼吸で極めるとも言います。腹式呼吸は、歌の人にとって、永遠の課題なんでしょうね。

     いやあ、たかが呼吸が、こんなに難しいとは思いませんでした。

  5. あんだんて より:

    さつそく、アドバイスありがとうございました
    主治医に相談するのがいいですね
    水分補給、私は少し苦しくなると暖かい紅茶がいいようです。
    咳の仕方も注意しようと思います。
    思い切り咳をしていました! 
    春先の寒暖の差に弱く、喘息ぽかったし、今週末の発表会を前にちょっとナーバスになっていまいました。自分にできることに目を向けて、好きな音楽ですから、楽しみたいですね。

  6. すとん より:

    >あんだんてさん

     暖かいものが飲めるのですね、うらやましいです。私は別に猫舌と言うほどではありませんが、暖かいものはちょっと苦手かな…。お茶も冷ましてから飲む人だし(ちょっと他人から嫌われる?)。もっとも冷たいものもちょっと苦手。室温の飲み物がベストな人です。ああ、金かからねー。

     タンを切る時、いきなり勢い良く咳をするのではなく、軽く低音でハミングしてから浅い咳払いで取ると、喉に多少は優しいと思います。

     今週末が発表会ですか、それは色々と心配ですよね。頑張ってください。

  7. YOSHIE より:

    ここまで来ました(爆・・・ストーカーチックにならない様、気をつけます)。とある方は歌の時、体が膨らむ様を《樽が‥》と(味噌樽ではなく“黒髭危機一髪”の方様な樽)。触らせてくれて、肺が膨らむより、肋骨が膨らむ感じでした。

  8. すとん より:

    >YOSHIEさん

     ええと、別にストーカーになってくださっても全然平気ですよ。もちろん、実生活では困りますが(爆)、ネットの上なら、私は「ああ、熱心なファンの方だなあ…」って思うだけです。

     ご存じかもしれませんが、ブラウザの右上の方にオレンジ色のRSSのアイコンを押していただけると、左側のプルメニューの「お気に入り」の中の「フィード」というタブの中に登録されて、最新の記事がアップされると分かるような仕組みになってます。あ、IEでの話です。別のブラウザをご利用の時は、類似のアイコンを押していただけるか、このブログの右上の「RSSを表示する」から登録されても(たぶん)同じ事になると思います。こうしておくと、最新記事も読み落とさずにグーです。ちょっと宣伝モードでした。

     呼吸の問題は奥深いですよね。そうそう、肋骨は膨らむんですよ。訓練された人だと、それこそグワーーーーって感じに広がります。すごいです。

     肋骨には二カ所関節があって、そこが動いて、胸が開いて肋骨が膨らむのですが、肋骨の膨らみにはやはり限界があるので、メインは腰に置いた方が結果は良いみたいですよ。

  9. ピーマン より:

    こんにちはヾ(=^▽^=)ノ
    いつも拝見さしていただいてます♪

    確かに腰に入れるのをイメージすると声の出がいい気がします♪

    でもお腹を動かさないように意識しちゃうと腹筋に力が入ってしまうのですが、これは駄目ですよね?
    いきなりの質問すいません;;

  10. すとん より:

    >ピーマンさん、いらっしゃいませ

     カラダは一人一人違うので、これがダメとか、これが正しいとかって、実際に歌っている姿を見て、声を聞いてみないと判断できないんだと思います。なので…

    >でもお腹を動かさないように意識しちゃうと腹筋に力が入ってしまうのですが、これは駄目ですよね?

     腹筋が脱力というのは、私の場合ありません。かと言って、始終カッチカッチになるほどの力も入りません。腹筋は、軽く力を入れて、体内側に引いておくのが、私のデフォルトの姿勢です。

     そこから歌いながら、主に音程によって腹筋(カラダの正面側だけでなく体側側も)に力が入り、高音部を歌う時は、かなり力が入っていると思います。ただ、力が入る方向が「筋肉が固まる」方向ではなく「雑巾を絞るように、胴体を絞り上げる」方向に力が入っていきます。もちろん、胴体が絞り上げられれば、内臓は背中側に逃げていきますので、背中がドンドン膨らんでいきます。

     なので、腹式呼吸とか言って、お腹をふくらませて歌うのは、物理的に無理になり、結果的に、背中で呼吸をするはめになるんです。

     こんな感じですが、これはあくまで私の感覚なので、ピーマンさんに通用するか分かりませんが、まあ、参考の一つにしてみてください。

  11. ピーマン より:

    ありがとうございます!
    物凄い分かりやすかったです♪

    それで吸うときも吐くときも背中を膨らますってことだったんですね♪

    激しく感謝です(●´∀`●)☆

  12. すとん より:

    >ピーマンさん、どういたしまして。

     結局、歌う時って、背中を激しく使うみたいです。ですから、背筋が弱いと歌いきれないみたいです。私の所属しているアマチュア歌劇団でも、背筋はバッチリ鍛えますデス、はい。

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