スポンサーリンク

声はもっと薄く出しましょう

 声楽のレッスンの続きの続きです。
 4番「So ihr mich von ganzem Herzen suchet/心をつくして求めれば」です。先生から「とにかく、もっと薄い声で歌いましょう」と言われました。私が今歌っている声は、私の持ち声に対して厚すぎる声のようなのです。声が厚すぎると声帯に負担がかかり、早く声が消耗してしまうそうです。
 一方、声は薄ければ薄いほど、声帯への負担が軽くなります。体調が本調子でない時などは、本来の声よりも薄い声で歌うと良いそうだし、薄めの声で歌っているうちに声が温まってきたら、本来の厚さの声で歌うのもアリなんだそうです。
 確かにキャリアの長い歌手の声を聞いていると、若い時は薄くて軽い声で歌い、年齢を重ねるごとに厚くて重い声になっていきます。つまり未完成のうちは薄い声で歌い、完成し充実してきたら厚い声で歌う…ってわけです。私は年齢だけなら、大ベテランなので厚い声で歌えるはずですが、キャリア的にはペーぺーなので、やっぱりまだまだ薄くて軽い声で歌っていかないといけないようなのです。
 ううむ、心情的に難しい。何しろ、私が理想としているテノールの声は、ドミンゴであったり、デル・モナコであったり、重たくて厚ぼったい声だからね。いくら自分の声とは違うと分かっていても、憧れは憧れだし、無意識に真似しちゃうよね。だから、薄い声で歌うというのは、私にとって、理想の声からかけ離れた声で歌う…という事なので、心情的にとてもとても難しいのだけれど、私もオトナなので、そこは飲み込んで薄い声で歌いたいと思ってます(棒読み)。
 薄い声ならば、弱い腹圧でも十分に歌えるわけで、私は厚めの声を出しているにも関わらず、それに必要な腹圧が足りないので、あっちこっちトラブっているわけです。で、私の場合、声楽は道楽なので“やりたいようにやる”が大原則なので、厚めの声に負けないように、ひとまず腹圧を強くしよう!という方向でやってはいるのだけれど、腹圧は今のままで、声の方を薄くしよう!という方向性もあるわけで、その両面からのアプローチを考えてもよかろうって話なのです。
 …ってか、いくらやっても腹圧が強くならないのなら、腹圧を鍛えるよりも、声を薄くする事を考えるべきだろうとも言えないわけでもないわけで…個人的には煮え切らない部分はあるにせよ、現実的、あるいは功利的には、声は可能な限り薄めでいかなきゃダメだろうと思ってます。
 それにコンディションが悪い時(例えば、昨年の発表会だね、ああ黒歴史だ)なんかは、薄い声で歌い慣れていれば、それなりに対処できていたわけで、薄い声で歌うテクニックを身に着けておくのは、私の場合、必須事項とも言えるわけです。
 ふう。
 フレーズの最後まで、しっかりと腹筋を使って歌わないと、音程が失速していくよ…と言われました。ああ、腹筋腹筋。
 「エリア」の39番「Dann werden die Gerechten leuchten/その時正しい者は」です。これも4番同様、息でもっとしっかり声を支えましょうとの注意を受けました。息の支えが弱いと、どうしてもノドに負担がかかってしまうし、ノドの負担が増えれば、声がメキメキと減ってしまう。だから、声を減らさないためにも、しっかりと声を息で支えなければいけない。そして、自分の息の支えで足りるだけの厚さ(薄さ)の声で歌わないといけない…との事です。自分の息の支えで支えられないような厚い声で歌う事は、ひとまず回避しましょうって事です。
 やっぱりこの曲でも、声を薄く出すことがポイントになるんだろうなあ。
 それにしても、キング先生のところで歌っていた時は、すぐに声が無くなっていたのだけれど、あれって喉声で歌っていたからなんだよなあ…と今なら分かります。キング先生は喉声に関しては、全然注意しなかったどころか、喉声で良しとしていた感じなんだよなあ。それ以前に、腹式呼吸は教えてくれたけれど、それと発声をつなげる事は教えてくれなかったから、Y先生のところに来てから、呼吸と声を連動させるのに苦労したわけです。
 先生の良し悪しとか自分との相性とかって、なかなか自分では分からないものだね。あの頃はキング先生が自分にとって最高の先生だと信じていたんだからサ。まあ、人生、遠回りもあるわけです。少なくとも、行き止まりに当たったり、崖から落ちたりせずに、今の先生と出会えたのだから、私は先生には恵まれている方なのかもしれないけれど…ね。

↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。

にほんブログ村 クラシックブログ 声楽へ

にほんブログ村

コメント

  1. ショウ より:

    こんにちは
    僕も油断すると喉を使い過ぎてしまい、ちょっと高い音にいくと、声帯が厚すぎてきつくなります。
    ですが、音が高くなるにつれ、無理矢理厚い声帯のまま出そうとしなければ、声帯は薄くなっていくと思います。
    また、自分の声を録音した時に、ちゃんと声帯が薄くなっている時、ある程度高い(僕はD4、E4ぐらい)ところの声が綺麗な聞こえるような気がしました(自分では笑)。しかもE4とか金属的な音が入りやすい!僕は金属的な声が好きなので(笑)
    なので、今はちゃんと声帯が薄くなっているE4の高さの状態で低い音も歌うように心がけています。
    すとんさんも声帯が厚くなり過ぎてしまうようでしたら、自分が綺麗だなと感じる音の高さの声帯の薄さを基準に、最初から声を出してみたらいかがでしょうか?
    声帯の薄さ(声の軽さと同義?)の基準を自分の中で持っておくと、やりやすいのかなーとその点思っています。

  2. ショウ より:

    あー記事読み返すとすとんさん重たい声が好きなんですね、僕の意見はあんまり参考にならないですね(汗)

  3. すとん より:

    ショウさん
     確かに私の好みは「分厚くて高い声」なんです。だから、ついつい無意識に目指してしまうのでしょうが、でも私の声は、ちっとも分厚く無いんです。どちらかと言えば軽くて薄いようです。自分ではあまり認めたくないのですが、先生がおっしゃるのだろから、たぶんそうなんだと思います。
     最近、そんな自分の声を少しずつ受け入れつつある私です。ですから、ショウさんのアドヴァイスは、私の心に突き刺さりました。やっぱり、そうしないとダメなんだろうなあ…ってね。
     今の私は、理想と現実のすり合わせ中とも言えます。

タイトルとURLをコピーしました