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ピアノ合わせに行ってきたよ

 10月の地元開催のクラシックコンサートに向けての、本番モードに入ってきました。で、本番まで一カ月ちょっとになったので、そろそろピアノ合わせを始めましょうと言うので、ピアニストさんがやっているピアノ教室(と言っても、ご自宅)に、妻と二人でお邪魔しました。

 閑静な高級住宅街にあるお教室で、閑静すぎて、近所で犬が吠えたら、犬の飼い主さんと一戦を構えちゃうほどに音に神経質な方がご近所にお住まいだそうで、色々とトラブルが絶えないという話を聞きました。ピアノ教室なのに、グランドピアノでレッスンをすると苦情が来ると言うので、最近では電子ピアノでレッスンをしているんだそうです(それってアリ?)。なので(一応、防音処理はしてあるそうですが)レッスン室にあるグランドピアノは物置になってました。おまけに、当日はご主人がご自宅の書斎で論文作成の真っ最中っていう状況で…そんな中で、私は歌っていいの?って感じで、遠慮しいしいのピアノ合わせになりました。

 だって、ご近所さんとかご主人さんの話を聞くと、大きな声を出しちゃマズいかなって考えるわけで、でも私の声は無駄に大きいし…こうなったら、なるべく小さな声で歌うことと、声を出す時間そのものを少なくしましょう、ってわけで、声を出す発声練習も無しで、合わせの時も、なるべく言葉で説明して、実際に声を出すのは、時間的に少なめにしてみたのですが、そういうピアノ合わせって、やっぱ、やりづらかったです。次からは、思い切り声が出せるようなに、別の会場を借りて、ピアノ合わせをする事にしましょう(笑)。

 で、ピアノ合わせをしたわけですが、ピアニストさんは…この日、初めて譜面を見たそうです。つまり“初見”ってわけです。なぜ、随分前に楽譜を渡しておいたのに、事前に練習してなかったの?と尋ねると「伴奏の練習って、メロディが無いから、つまらないのよねえ」とダイナミックな事をおっしゃってました(笑)。

 で、我々の顔を見てから、楽譜を広げて弾き始めたわけだけれど、本当に初見なので、テンポやらなんやら、最初はほぼデタラメだったのですが、ものの五分としないうちに、音楽的にまとまってきて、伴奏ピアノらしくなってきました。ピアニストさん曰く「和音に慣れれば、弾けるのよ」だそうです。…“和音に慣れる”? 言ってることの意味が分かりません。

 少し合わせては休憩入れて、ちょっとやってはまた休憩をして、って感じでユルユルと合わせをしました。色々あって、今回のピアノ合わせは、基本のテンポの確認と、だいたいのメロディの流れを確認するって程度でした。
 
 
 まずは『セレナータ/La Serenata』。この曲は「イントロがイヤな感じ」と言うわけで、イントロを省略して(次までに練習してくるって言ってました)、いきなり歌から合わせてみました。テンポはちょっと遅めで合わせてみましたが、もう少し練習を重ねていくと、いい感じになるんじゃないかなって思いました。1番、2番の、それぞれの最後の4小節の部分は、私が自由なテンポで歌うのですが、そこのところは、もう少しお互いに気を合わせられるように練習をしていきましょうって感じで、大した問題もなく、ひとまずOKです。
 
 
 『優雅な月よ/Vaga luna, che inargenti』は、譜面は簡単なので、演奏自体に特に問題はないのですが、やはり合わせるのが難しいです。1番、2番、それぞれの後半部分が、とにかく全然合いません。歌手とピアニストで、全然思惑が違う…のでしょうね。ここのところをうまく調整していかないと、曲が成立しませんが…それはまた次の機会に合わせる事になりました。それと、やっぱり遠慮しながら歌っているせいか、最後のGの音はすべて撃沈しました(涙)。声量を押さえると、ノドがしまって歌いづらいんですね。
 
 
 妻の歌も当然、合わせました。『L’alba separa dalla luce l’ombra/暁は光りから』は、やはりピアニストさん、苦労してました。ただ、苦労している点が、指が回らないとか、テンポが速くて譜面が黒いとかではなく「なんか和音が不思議…」なんだそうです。そういう先の読めない和音進行が、お気に召さずに苦労していたようです。ちなみに、今回飛ばした『セレナータ』のイントロも同じく、和音が不思議なんだそうです。両方ともトスティの曲ですから、トスティの和音進行って奴が、ピアニストさんを惑わせるのかもしれません。

 この曲は、その“和音が不思議な部分”以外は問題なかったようですが“和音が不思議な部分”はやっぱり不思議だったみたいで、何度か合わせてましたが、伴奏ピアノに歌の旋律が乗っかる事で、和音的に納得が言ったみたいで、最終的には「大丈夫!」と言う事になりました。
 
 
 『O mio babbino caro/私のお父さん』に関しては、歌の合わせもピアノの伴奏も、特に問題はないみたいです。ま、オペラアリアですから。歌曲ほどに、面倒くさい事とかやっかいな事などはなさそうです。“合わせ”としては、たやすいようです。
 
 
 四曲、合わせてみて、やはり歌曲は合わせが難しいのかな?って思いました。トスティは近代歌曲ですから、やはり和音進行も複雑だし、楽譜も黒いです。ベッリーニはロマン派の作曲家ですから、ロマン派特有の何とも言えない繊細な部分、つまりは楽譜に書かれていない部分の解釈というか合わせを綿密にしていかないといけないなあって思いました。

 もちろん、オペラアリアだって、本当は難しいと思うのです。特に伴奏が全然ピアニスティックには書かれていないわけで、ピアノ音楽ばかりやっていた人だと面食らうようですが、ピアニストさんは、あっちこっちで伴奏経験があるようで、こういうピアニスティックではない曲も平気なようです。そういう意味では、オペラアリアの伴奏の方が得意というか、たやすい人なのかもしれません。

 ピアニストさん的にも、歌曲三曲については「もっと簡単だと思っていたけど、案外、難しいじゃない」って言ってました。

 とりあえず、お互いの問題点を知り、基本的なところは押さえられたので、今回のピアノ合わせは良しという事にしておきましょ。で、次のピアノ合わせは…Y先生とも相談して、ピアニスト持ち込みでレッスンに行って、そこで合わせるのがいいんじゃないかって事になりました。やっぱり第三者の耳は必要だし、Y先生に色々とアドヴァイスをしていただくのは、必要だなってわけです。

 本番まで、後一カ月ちょっとだし、ガンバロ。「優雅な月よ」の方は、だいだい暗譜できたので、後は「セレナータ」の暗譜をしないとね。

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コメント

  1. アンダンテ より:

    歌の伴奏は難しいです~
    「素人が楽しむ伴奏の会」はソプラノバージョンとバイオリンバージョンで実施しておりますが、バイオリンのほうが完成度はだいぶ高かった(といっても素人だが)と思います。というか、結局こっちの余裕がないので、伴奏の都合に合わせて歌ってもらうしかなく(おぃ)、すんごい歌いにくかったと思います。

    自分のバイオリンの発表会のときは、伴奏する友人を連れてバイオリンレッスンに行くわけですが、それで先生にアドバイスしてもらうと急にアンサンブルがよくなります。やっぱり、演奏者1+演奏者2とは別に指導者がいればバッチリですよね。これは楽しい体験です…

    ところで、ピアノレッスンでデジピってありえない~どんなにうまい先生でもそれはヤダ。音の問題ってつらいね。

  2. operazanokaijinnokaijin より:

    あなたもピアニスト、というホームページで、
    現役のピアノ講師さんが、ピアノ選びに関して曰く、
    「先生のお宅のピアノがグランドピアノのはずですから。」
    すとん様が伺った先生も、きっと、内心、忸怩たるものがあるでしょうね。
    (/_\;)

  3. フミエ より:

    このピアノの先生、いろんな意味でおおらかと言うか雑と言うか・・・(笑)
    最近のデジピはかなりグランドピアノのタッチに近くなって
    アップライトよりはデジピの方が指の練習にもよい気がしますが
    先生のお宅のレッスンに使う楽器となると話は別ですね
    生楽器の響きや音量や、何より家にグランドが無くても先生のレッスンに行けばグランドピアノが弾ける!!という喜びを生徒さんに味あわせてあげたいですよね
    何か方法が無いものかしら  せっかくグランドがあるのに

    それからどんな理由があろうと、わざわざ合わせに出向いてくれる歌手に対して初見はないでしょっ と思いますが・・・

  4. すとん より:

    アンダンテさん

     歌の伴奏は、なまじ歌で、歌手があれこれしちゃうので、やっぱり難しいんでしょうね。私も、たぶん、フルートよりも歌の時の方が、より歌心を発揮しちゃうと思います。この“歌心”って奴が、厄介の原因なんじゃないかなって思います。

    >それで先生にアドバイスしてもらうと急にアンサンブルがよくなります。

     ですよね~。やっぱり、先生(第三者)がいて、歌手とピアニストの両方の立場から、より良くなるようなアドヴァイスをしてもらう事が大切ですよね。とりあえず、次回の歌のレッスンの時には、ピアニストさん持参でレッスンに行くつもりです。そこで、色々と局面が打開するんじゃないかと期待してます。

  5. すとん より:

    operazanokaijinnokaijinさん

     実はウチも、息子君のピアノの先生選びの時に『グランドピアノを弾かせてもらえる』という条件がありました。ですから、生徒の立場からすると、先生のお宅(と言うか、教室)のピアノって大切な要素だと思います。

    >、きっと、内心、忸怩たるものがあるでしょうね。(/_\;)

     そうですよ、別に好きでデジピでレッスンしているわけじゃないし、お弟子さんたちも、なかなかの凄腕ですしね。グランドで思いっきり弾かせて上げたいと思っていると思います。ただ、そのご近所さんが、本当にイっちゃっているタイプの方なので、リアルに身の危険を感じざるを得ないのですよ。まあ、私なら、即座に引越します(マジでね)。彼女の場合は、まあ、色々とあって簡単に引っ越せないのですね。

     ほんと、ツライ立場なんだろうと思いますよ。

  6. すとん より:

    フミエさん

    >おおらかと言うか雑と言うか…(笑)

     それは正解(爆)。実におおらかで雑な人です。

    >わざわざ合わせに出向いてくれる歌手に対して初見はないでしょっ と思いますが…

     まあ、私もちょっと驚きましたが、これはある程度、仕方のない事なんです。

     と言うのも、まずは、私たちの伴奏は、実は“ノーギャラ”なんですよ。謝礼をしたいと、こちらからは何度も言ってますが、絶対に受け取らないんですね。あくまでも「私は伴奏がしたいので、勝手に伴奏を買って出ただけなので、謝礼はいりません!」っという線を崩しません。なので、ノーギャラ。ノーギャラなので、あまり強い事は言えません。

     それと、かなりの凄腕だし、舞台経験も豊富な方で、実際、初見とは言いながら、かなり難しいき曲でも、おしゃべりしながら五分も練習すれば、そこらの伴奏ピアニストさんよりも、実に上手に演奏しちゃうんです。少なくとも、過去に歌劇団でお世話になったピアニストさんたちよりも、ずっとずっと凄腕なんです。なので、ピアノ合わせ程度なら、初見でも十分OKというレベルのピアニストさんなんです。

     まあ、世の中には色々な人がいるってわけです。少なくとも、私にはもったいないくらいのピアニストさんなんですよ。

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