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眼の前が真っ白になりました

 声楽のレッスンの続きの続きの続きとなります。
 高音A(A4)を頑張って発声している私です。音程の正確さは、まだまだで、明らかに低い時もあれば、うまくハマっている時もあります。
 今までの私の常用音域は、現実的には高音A♭が限界でしたから、今回のAはある意味、限界突破であり、音域の拡張であります。それにチャレンジしているのも不思議な気分になりますが、それだけ上達しているのだと思うと、嬉しくもあります。
 今までも高音を発声する時に、うすうす感じていた事はあります。それは高音を出した直後に、楽譜を見失ったり、自分を見失ったりしがちで、高音を発声するというのは、かなりカラダに負荷をかけているなあと思っていました。
 今回、高音Aにチャレンジしているわけですが、Aをきちんと出せた時は、視力と聴力が無くなる事に気が付きました。具体的に言えば、眼の前が真っ白になり、何も聞こえなくなります。自分を見失しなうどころの騒ぎじゃありません。意識が吹っ飛びます。一瞬なので、何とか立っていられますが、これがもう少し続くなら倒れてしまうかもしれません。
 そんな話を先生にしたところ、先生はにこやかに「それはテノール、あるあるなので、心配しなくてもいいです」と言われました。
 そうか、世間のテノールはみんな高音を発声する時は、自分を見失ったり、視力聴力が切れたり、意識を消失したりしているわけだな。まあ、それくらい脳の働きを高音発声に注いでいかないと、テノールの高音は発声できないってわけだね。
 うむ、つまり、テノールの高音は人間業じゃないって事だな。実に納得。
 でも、生命体としては、かなりヤバい事やっているんだなあと、改めて思いました。で、こんな事をやり続けていれば、そりゃあ頭のネジの1つや2つ、吹っ飛んでいても当然だな、とも思いました。
 こうしてテノールが作られていくわけで、私もテノールの世界に足を踏み込めたのなら、それはとてもうれしい事です。傍から見れば、気違い沙汰なんだろうけれど…ね。

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コメント

  1. オペラ座の怪人の怪人 より:

    大昔、中学生の頃、
    音楽の先生が言っていました、
    プロ歌手(特に、ソプラノ、テノール)の中には、
    高音で一種の「恍惚感」に喜びを感じている歌手がいて、
    そういう時は、脳内で、なんとかかんとかが分泌されている、とか。
    まあ、あんまり脳に良いものではなさそうですが。
    (これは、私の、単なる感想。)
    麻薬・覚せい剤の類も、
    脳が「気持ちいい」んでしょうけど、
    脳に良くないような気がしますなあ。
    あと、全く違うけど、
    ボクシングって、
    脳震盪を前提にしているスポーツで、
    脳に良くないような気がしますなあ。
    ヾ(・◇・)ノ ヽ( ̄▽ ̄)ノ ヽ(・∀・)ノ
    (-A-) (-A-) (-A-) ← ざっくぅ
    おしまい

  2. すとん より:

    オペラ座の怪人の怪人さん
     ボクシングに限らず、すべての格闘技は脳を始めとするカラダの各所に良くないと思います。まあ、格闘技って、そもそもが殺人術だからね。他人はもちろん、攻撃している自分にもダメージはあるものよ(経験者は語る)。
    >高音で一種の「恍惚感」に喜びを感じている歌手がいて、
    >そういう時は、脳内で、なんとかかんとかが分泌されている、とか
     それは容易に想像できますが、おそらく今回の私の場合は、そんなに高尚なモノではなくて、単なる“感覚遮断”だと思います。「夢中になると周りが見えなくなる」の延長線上にある、一種のカラダの防衛反応でしょうね。
     あと、考えられるとすると瞬間的な“酸欠”または“貧血”かな? たとえ瞬間的であっても“酸欠”とか“貧血”とかは怖いですよ。いきなりバタリと倒れますからね。うむ、倒れた経験があるので分かるんですよ。酸欠、貧血、なめたらあかんぜよ。

  3. おぷー より:

    そうか、テノールの高音は、ソプラノの高音とは違うのですね。
    ソプラノの高音はあくまで、コントロールの範囲内なので、高音の次にいきなり低音が出てもチャッとスイッチできちゃうんですが、テノールはそうではないのですね、きっと。

  4. すとん より:

    おぷーさん
     そう、物の本によると、現代のテノールの高音発声は、19世紀のヴェリズモ・オペラの台頭時に作られた、テノール独自の発声方法のようです。一方、現代のソプラノの高音発声は、古のカストラートの技術が取り入れられていますが、テノールはむしろカストラートとは反対方向のベクトルに進化した…と聞いています。だから、技術的にはかなり違うみたいです。
     つまり、ファルセットを上手に取り込んで発声していくのがソプラノの発声なら、ファルセットを拒絶して発声していくのがオペラテノールの発声のようです。ちなみに、海外はどうかは知りませんが、日本の市民合唱あたりのテノールは、ファルセットを取り込む…と言うか、ファルセットと併用して高音を発声していくので、合唱テノールとオペラテノールの高音発声も、根本的に違うのです。
     なので、合唱テノールの人が「Hi-C? 楽々じゃん」とか発言しているのを聞くと「お前らとは根本的な発声方法が違うんだよ!」と、心の中でブチ切れる私です。たぶん私だけでなく、オペラを歌っているテノールは、みんなブチ切れると思うよ。「こちとら、命削って、高音を発声してんだよ!」ってね。

  5. 如月青 より:

    >合唱テノール
    合唱でもちゃんと勉強している人は、ファルセットが禁じ手だということを知っていると思います。高校時代、テノールの後輩に、高音がよく出ていると褒めたら、「実はファルセットで出してるんです。僕実はハイバリじゃないかと思います。」と恥ずかしそうにしていました。
    女声の場合、クラシックでは基本的に地声を使ってはいけないということです。change Voice(地声と裏声の転換点)は出来る限り低いのが望ましい、とのこと。
    私は元来地声と裏声の区別があいまいな人間で、話していると「歌ってるんじゃない」と言われ。歌っていると「裏声度が低い」と言われます。
    話し声(地声)と歌う声(裏声)の使い分けができる人がうらやましいです。

  6. すとん より:

    如月青さん
    >合唱でもちゃんと勉強している人は、ファルセットが禁じ手だということを知っていると思います。
     そうです。そうなんです。ただ、少なくともウチの近隣の複数合唱団(結構メンバーが共通しているので、団体名は違っていても、内実は似たような感じなのです)では、テノールが実声で高音を歌うのを禁止していたりします。具体的に書くと“、高いミより上はファルセットで歌う”という取り決めをしているんですよ。
     厳密にはこれは不正解なんだと思いますが、でもそういう指示が出る理由も私は理解できるんです。
     と言うのも、現実問題、たとえテノールというパートに属していても、ミより高い音を実声で発声できる人は少数だし、たとえ発声しても、音程が微妙になる事が多いからです。あと、テノールがその音域を実声で発声すると、他のパートとの音量バランスが崩れる(大抵の市民合唱団の音量は少なめなのです)し、高音を実声で歌わせて良いことなんて、あまり無いのです。
     しかしファルセットを使用する事で、安定した音程で、かなりの高音まで使えるようになるし、音色も揃えられるし、音量もセーブできるので、団の存続と、曲の完成度を増し、レパートリーを増やす意味もあって、ファルセット歌いを奨励(ってか義務?)されるのです。
     そもそも、ミ程度でファルセットが使えるって、元々の声がテノールではないわけで(テノールがファルセットに声を切り替えるのは、上手な人でも、せいぜいファ♯~ソからだし、私(ファルセットを使わないけれど)みたいにファルセットが下手な人の場合でも声が無意識に裏返ってしまうのはソ♯とかラとかからです。
     それもあってでしょうか、ミュージカルのテノールパートって、高音がラ止まりなのは、声が裏返ってしまう(つまりファルセットになってしまう)の防ぐ意味もあるんだと思います。

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