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最後は声を絞り出します

 声楽のレッスンの続きの続きです。休憩後のレッスンです。休憩中に妻のレッスンを行いました。いやあ、妻は妻で、楽譜が真っ黒系の歌を歌います。コロラトゥーラって大変だな。
 妻のレッスンが一通り終わったところで、今度は妻が休憩を入れます。私は、プッチーニ作曲の「トゥーランドット」の「Non piangere, Liu!/泣くなリューよ!」を歌います。
 この曲は、歌手がうっかり歌うと、誤ったメッセージがピアニストさんに伝わり、結果的に、かなり遅いテンポになってしまって、歌手が地獄を見るというパターンになりやすい曲なんだそうです。その理由は、メロディーの一番最初に出てくる二分音符にあります。
 普通、二分音符って二拍じゃないですか? ですから、二拍のつもりで歌ってしまうとダメなんです。
 歌手なんて、感覚で生きている人が多く、譜面の読みだって甘い人が多いんです。だから、二分音符が書いてあると、すぐに二拍だと思って、二拍で歌って失敗するんです。
 この曲の最初に出てくる二分音符は、実は二拍ではありません。約1.3拍なんです。これが罠であり、落とし穴なんですね。実はこの二分音符は、三連符の中の二分音符なので、二拍の中の2/3の長さなのです。だから、だいたい1.3拍ぐらいなのです。1.3拍と言えば、二拍よりもむしろ一拍に近いくらいの長さなのです。それなのにこれを2拍の感覚で歌えば…そりゃあテンポを遅くされてしまいます。
 ピアニストさんってのは、音楽家としては、かなりのエリートさんで、何事もきちんきちんとしているわけです。歌手がボヤッと「二分音符だから二拍かな?」なんて思っていいても、ピアニストさんは「ここは三連符で、その中の二分音符だから、二拍の2/3の長さだね」と瞬時に判断して、テンポ設定をするわけです。
 ご多分にもれず、私もこの二分音符は、やや長めに歌いがちです。きちんと意識して、むしろ短めに歌わないといけません。
 最後の高いBは「L’alba separa dalla luce l’ombra/暁は光から」同様に、クチの奥をしっかり横に開いてから、息を送り込んで、ノドを縦に引っ張って歌いたいです(涙)。問題は「L’alba separa dalla luce l’ombra/暁は光から」は、音楽がブレイクするので、その間にしっかりと準備する時間がありますが、この曲は音楽が止まらないので、短い時間で焦らずに準備をしなければいけませんが…ついつい焦っちゃうんですよね。で、焦ると、たいてい失敗するわけで、それが悲しいところです。
 私は疲れてしまいましたが、妻は元気を取り戻したので、ドニゼッティの「ランメルモールのルチア」の二重唱「Verranno a te sull’aure/そよ風にのって」になりました。
 まずはイントロ部分です。妻は軽くサクッと歌いますが、私はイントロで、すでにバリエーションがあって、そっちで歌うのが普通なので、楽譜にはない、高いAのロングトーンをかまさないといけません。もちろん、かましますよ。はい、疲れていますが、頑張りました。
 ここさえ頑張れば、後はしばらく妻が一人で歌うので、私はやっと休めます(やれやれ)。
 とにかく、すでにかなり疲れていますので、声をしっかりと支えないと歌えません。音程の平均値がかなり高い曲なので、支えがなくなると、あっと今に音程がフラットしてしまいます。先生がおっしゃるには、声の支えがある時と無い時の差がありすぎるので、本当に気をつけてほしいと言われました。まあ、それは支えが無い時がダメなのではなく、支えがある時が素晴らしいのだと考えいただけたら、私的には感謝でございます。
 あと、曲の後半のバリエーションで高いAを歌った後に、数小節をカットして、すぐに私の歌に入ります(ここも楽譜どおりではなく、バリエーションでもなく、慣習的な歌い方ってヤツで歌います)が、ここでテンポが Piu Allegroにいきなり変わるので、それに追いつくのが大変です。でも、最後の最後の決め所の入り口なので、頑張ります。
 で、最後に高いBを絞り出して、おしまいです。ああ、くたくた。ほんと、声が消耗してしまいます。本番の日は、なるべく声を温存しておかないと、二重唱の最後の高いBは出なくなっちゃいますよ。いやあ、大変。

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コメント

  1. ショウ より:

    お疲れ様です。
    記事に全然関係ないんですが、先生から喉の後ろを開けてからジラーレして声を出すと言われるのですが、このジラーレが分からないです・・
    すとんさんはこのジラーレを意識していますか?
    2011年の旧ブログにジラーレのことについて触れられていましたが・・

  2. すとん より:

    ショウさん
    >すとんさんはこのジラーレを意識していますか?
     意識していますし、毎度毎度先生からよく注意も受けます。
     声を回して出す…というのはオカルト的な感覚的な表現だと思ってますが、これで出来る人は出来るので、表現としては間違っていないと思いますが、分からない人には分からないですよね。
     私は、クチの開き方の形の問題だろうと思ってます。クチを開けと言われると、口先を大きく開きがちですが、声楽ではそれはダメで、大切なのはクチの奥を大きく開く事。このクチの奥を大きく(上下にも前後にも)開く事を“ジラーレ”と呼ぶのではないかと言うのが、2020年現在の私の感覚です。
     とは言え、私的にはクチ開くうんぬんではなく、やはりオカルト的な表現でジラーレを遂行する事が多いですね。私の場合は「オペラ声で歌う」とイメージするとジラーレしやすくなります。オペラ声というのは、今の海外のオペラ歌手ではなく、少し前の日本のオペラ歌手たちに多く見られた発声…声を掘りすぎて発音が曖昧になって日本語も日本語に聞こえないような変な発声…をイメージすると達成しやすいのですが、これは私以外の人が真似ると、本当にちょっと前の日本のオペラ歌手たちのような発声になってしまい、たぶんダメだろうと思ってます。

  3. ショウ より:

    少し前の日本のオペラ歌手たちに多く見られた発声…声を掘りすぎて発音が曖昧になって日本語も日本語に聞こえないような変な発声…をイメージすると達成しやすいのです
    →どちらかというとこもった感じになるんですかね?こちらは先生からとにかく声を前にではなく、後ろに後ろにと指導されます。もちろん実際には息は前に出るんでしょうが、音色としては明るくなる感じですねー
    僕はパヴァロッティが好きなので、パヴァロッティの音源を聴いてもらったところ、やはり相当後ろで、かなり楽に歌ってるはずだよとのことでした。
    先生の言っていることを遂行した結果、こういう声になると明確にイメージできることは大事ですよね!!
    ただ、かなり先生の感覚的なことを基に指導して頂いている部分がかなり多いので、再現するのはさっぱり出来ず、声楽はこの部分が難しいと思う今日この頃でした・・

  4. すとん より:

    ショウさん
    >パヴァロッティの音源を聴いてもらったところ、やはり相当後ろで、かなり楽に歌ってるはずだよとのことでした。
     私もそうだろうと推測しますが、実際のところは、彼の地声との比較になってくると思います。ジラーレした声は、していない声よりも、深みがあり、ふくよかになると思います。ですが、それはあくまでも地声との対比であって、ジラーレしていないからと言って、歌手として通用しないわけではありません。
     マリア・カラスの相手役として知られるディ・ステファノの声は、ジラーレとは縁のない開いた真っ直ぐな声だったそうです。音源を限りでは「そうなの?」とも思いますが、これも地声との比較の話なんだそうです。
     それにジラーレは骨格との関係もあり、白人たちは意識しなくても勝手にジラーレした声になるという話もあります。ですから、日本人が骨格の違いを乗り越えて、白人のような声を出したいと思った時に、ジラーレを強く意識しないといけないのかもしれません。
     クラシック系声楽は彼ら白人たちの民族音楽です。ですから、それらを歌う以上、白人のような声が必要とされるのは必然であり、我々日本人は白人たち以上にジラーレを意識しないと、彼らのような声にはならないのだと思ってます。
    >ただ、かなり先生の感覚的なことを基に指導して頂いている部分がかなり多いので、再現するのはさっぱり出来ず、声楽はこの部分が難しいと思う今日この頃でした・・
     ああ、まあ分かります。歌は楽器と違い、フォームや指使いなど目で見て真似られる部分が少ないので、どうしても感覚的な表現になりがちなんです。そういう意味では、歌は「察する能力」が学ぶ側に必要なのかもしれません。

  5. ショウ より:

    ディ・ステファノの声は、ジラーレとは縁のない開いた真っ直ぐな声だったそうです。音源を限りでは「そうなの?」とも思いますが、これも地声との比較の話なんだそうです。
    >そうなんですか・・これは先生に聞いたわけでもない完全に個人的な意見なのですが、ジラーレすることによって金属的な響き(シンガーズフォルマントでしたっけ?)が生まれるのかなーと思いました・・
    後ろに声を持っていくことで蝶形骨に当たる、金属的な響きが生まれる、万歳みたいな感じなのかなと・・
    そして、改めてステファノ聴くと金属的な響きが入ってるような気もするのでジラーレしてるんじゃなかろうかという気もしております・・ただ、高音がアペルトのままだなんて書かれてるのを見て、何が違うのかと思ったら、なんかステファノの高音って明るすぎる気がするんですよね。(個人的には大好きです(笑))高音の声に暗さがない?みたいに感じるので、コペルトはしていない。コペルトはなんかこう暗さを足す感じなんでしょうね。どうするのかもさっぱり分からないし、そんなことを考えるレベルにないので、まだまだ先の話ですが・・
    なので、個人的にはステファノはジラーレしてるけど、高音でコペルトはしてないみたいな感じなのかなーと思いました!
     それにジラーレは骨格との関係もあり、白人たちは意識しなくても勝手にジラーレした声になるという話もあります。ですから、日本人が骨格の違いを乗り越えて、白人のような声を出したいと思った時に、ジラーレを強く意識しないといけないのかもしれません。
    >これは先生からめちゃくちゃ言われます。
    言われます・・
    ただの歌うことが好きな素人で、多々間違ってることも言ってるかと思いますが個人的にはこう考えています!

  6. ショウ より:

    大分見にくい文章になってしまっていすいません・・

  7. すとん より:

    ショウさん
    “>”はネットでは引用符で、他人の発言は“>”に続けて書いて、自分の意見とは分けます。あと、英語の“to”の働きもあって“>すとん”と書けば“to すとん”となり「すとんさんへ」という意味にもなります。ま、これらもネットスラングの一つです。
     金属的な響きに関しては、ジラーレよりも鼻腔の響きが肝心で、鼻腔に響きを持っていくにはポジションを上げる事と、マスケラで歌うことが大切かな…と思ってますが、じゃあマスケラで歌うって何?と言われると、よく分かりません(笑)。私は歌う時、ほとんどマスケラは意識していないんですね(ボリボリ)。
     ただ、金属的な響きの中からアクートが生まれるようですし、アクートはジラーレした声でないと生まれないとも言いますから、このあたりは何やら密接な関係がありそうです。もっとも、私的にはアクートは頭蓋骨がパッカーンと開いた時に出る声…的な認識を持っています。

  8. ショウ より:

    すとんさん
    すいません”>”の使い方が逆になってしまいました・・
    こちらはジラーレを高音を出す時だけではなく、常に言われるので、こういう考え方になったのかもしれません。
    マスケラは全く言われませんね・・逆に鼻は意識してないのに、鼻声になってるよと言われる時があるくらいです・・
    それを防ぐために鼻の奥も開けてと言われますが、これはさっぱり自分でもどうしていいのか分かりません(笑)全てを理解するのは難しいですけどぼちぼち上手くなっていければ嬉しいんですが・・

  9. すとん より:

    ショウさん
     ジラーレは何も高音発声の時だけでなく、常にやる必要があります。私の書き方がマズかったら、ごめんなさい。
    >鼻声になってるよと言われる時があるくらいです・・
     これ、ちょっと注意かも。
     実は私、昔、キング先生に声楽を習っていた時に「声が鼻声になっているから、声を鼻に入れないように」と言われて、そういう指導を受けて、声を一切鼻に入れないような歌い方になりました。
     で、今のY先生に変わった時に「全く鼻腔の響きが使えていない」と言われて、積極的に声を鼻に入れるようにしました。こう書くと簡単そうですが、実は結構大変な思いをして修正したんですよ。で、現在、以前のように、適度に鼻にも声を入れて歌えるようになり、だいぶ歌う事が楽になり、高音も出るようになりました。
     鼻声って鼻が詰まっていて、声が鼻から抜けない状態を言います。一方、歌声は積極的に声を鼻に入れて、鼻からも声を出す必要があります(もちろん、クチから出てくる声の方が割合的に大なのは当然です)。つまり、鼻が詰まって声が鼻から出ていかないのが鼻声であって、歌声は声を鼻にも入れて、クチからも鼻からも声が出でいるのが基本なのです。
     この辺りの事をキング先生は理解しておらず、結果的に間違った指導を受けて、数年モノの時間を無駄にしてしまった私です。
     鼻の響き(鼻腔の響き)が使えないと、高い響きが鼻に乗りませんし、高音も出ません。ですから、声は積極的に鼻に入れていかないといけません。
     それに普通の人は声を鼻に入れても鼻声にはなりません。鼻声になるのは、口蓋垂を動かして鼻腔への空気の流れを妨げる癖を持っている人(たまにいるそうです)か、鼻に疾患を持っている人か、アレルギー体質で常時カラダが炎症を起こして鼻腔が腫れている人か、風邪や新型コロナに罹患して鼻腔に炎症を起こして鼻腔がふさがっている人です。
     たまにいる「口蓋垂を動かして鼻腔への空気の流れを妨げる癖を持っている人」以外は「鼻声です」と言われたら、発声方法を見直すよりも、まず病院に相談するべきです。
     プロの卵の中には、口蓋垂が長くて、すぐに鼻腔を閉じてしまい、そのため鼻声になりがちで、それを防ぐために口蓋垂を切除してしまう人もいるよと、以前、かかりつけの耳鼻咽喉科医の先生に言われた事があります。で、私もそれをやるべきですか?と恐る恐る尋ねたら、口蓋垂は必要があってそこにあるのだから、無闇矢鱈に切除するのは薦められないと言われました。なんでも口蓋垂を切除すると、風邪をひいた時に重篤になりやすいかもと言われました。もっとも、それ以前に私の口蓋垂は普通サイズ(つまり切除する必要なんて無い)だって言われました。

  10. ショウ より:

    すとんさん
    鼻腔ですか・・
    アレルギー性鼻炎が酷いし残念です。
    指摘された時は、鼻声を出している感覚ではなかったのですが、もしかしたら鼻声になっていたのかもしれませんし、まだ教えるのは早いと判断されたのかもしれません。
    最悪は喉を壊すことなんでしょうが、その点に関しては喉声になってるよなどと教えてもらえるので最悪な発声は避けられるかなと思っております。楽に声出せるならそれに越した事はないと思うので、頭に入れておきたいと思います!

  11. すとん より:

    ショウさん
     アレルギー性鼻炎ですか、お気の毒に。実は私もアレルギー体質です。花粉症は激しいです。アレルギー性鼻炎も以前は患っていました。いつもぐずぐず鼻をすすっていたんです。
     合唱をやっていた時は、まだアレルギー性鼻炎に悩まされていましたが、合唱を始めて、まじめに歌いだしてから、やがてアレルギー性鼻炎の症状から解放されました。なぜそうなったかは分かりません。たまたま運が良かっただけなのかもしれません。でも、体質なんて変わるものです。私は歌うことで体質が変わったのかもしれません。もっとも、私のアレルギー体質そのものは変わりませんが、症状の出方は変わりました。アレルギー性鼻炎の症状が出なくなったあたりから、喘息の症状が出るようになりました。喘息もアレルギー性の病気ですよね。でも、アレルギー性鼻炎は歌うのに支障が出ますが、喘息は歌うのに支障はありません。その代わり、命の危険がありますけれどね(笑)。
     って、ショウさんには何の関係の話を書いてしまいました。ごめんね。
     アレルギー性鼻炎が鼻声の原因なら、病院で相談してみるのが一番だと思いますよ。

  12. ショウ より:

    ショウさん
    鼻炎による鼻詰まりで、夜寝入りにくいし、朝起きたら口が乾いてるし全くですねー
    喘息ですか・・お辛いですね・・一度だけ風邪の延長で咳喘息になりましたが、ほんとにしんどかったです。こんなに喘息ってしんどいんだと驚いたものです。
    アレルギー体質も困ったものですねー・・
    お互い体には気をつけましょう!

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