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素人笛吹きはヴィブラートにこだわり、素人テノールはアクートにこだわる

 なんか、後ろから刺されそうな気もするけれど、正直、私はそんな気がするんですよ。

 アマチュアフルーティストは、ヴィブラートが出来る出来ないに、やたらとこだわるし、アマチュアのテノール歌手は、なんかアクートにこだわりたがります。少なくとも、ネットに巣食っている人たちは、押しなべてそんな感じです。

 別にこだわる事自体は悪いことではないし、出来ないよりは出来る方が良いに決まっているし、私自身は両方ともマトモに出来ない人なので、出来る人を、単純に、尊敬します。

 まあ、もっとも私の場合、両方とも“出来ない”というよりは“やらない”とか“目指さない”ってのが、私の本音だったりします。なので、ちょっと冷めているんですよ。だから、これらを闇雲に目指している人を傍目で見ていると、正直「他にやるべき事があるんじゃないの」って感じになってしまいます(ごめんなさい)。

 まあ、負け惜しみとも、負け犬の遠吠えとも、受け取ってもらっても、全然構わないのだけれど、私の正直な気持ちは、そんな感じなのです。

 と言うのも…。

 フルートのヴィブラートに関して言うと、まあ私もフルート初心者だから、当初はヴィブラートに対する憧れのようなモノがあり、ぜひ私も出来るようなりたいものだと思った事があります。で、ある日、H先生に「私もヴィブラートの練習を始めたいです」って言った事があります。

 そうしたらH先生曰く「私はヴィブラートなんて教えたことないよ。教えなくても、上達すれば自然とヴィブラートなんて出来るようになる」んだそうです。つまり、ある一定以上のレベルに達すれば、ヴィブラートは特別に習わずとも出来るようになるわけで、それをわざわざ練習して習得するというのは、まだそのレベルに達していないのだから、あまり意味はないよ…ってわけです。

 なので私に対しても「ヴィブラートは教えないよ。でも必ず出来るようになるから、焦っちゃダメだよ」と言ってくださいます。まあ、私は自分の先生を信じるしかないわけで、だからネットなどで懸命にヴィブラートの練習をしている事をアップしている人を見ると、色々とまあ複雑な気分にはなります(やっぱりヴィブラートは出来ないよりも出来る方が良いに決まってますからね)。

 今の私はヴィブラートを身につけるよりも、きれいな音でまっすぐに吹くことを求められています。これが現在の私の優先課題なのであり、今やるべき課題なのです。

 アクートも似たような感じです。Y先生曰く「まずは高いAまでは普通に歌える事。これが大切。それが出来てから、Aよりも高い音の発声を学びましょう」とおっしゃっています。一つずつ一つずつ階段を登っていきましょうって感じです。

 私もテノールですから、中低音を横においても、高い音を出したいです。ピヤーっとHi-Cなんて出してみたいです。それがアクートと呼ばれる発声法ならば、ぜひ体得したいものです。これは本音です。実際、今だって、そういう気持ちがかなり強いですし、以前はそういう歌の学び方をしていました。

 でも、今はY先生の指導に従って、まずは中低音で確実に歌える事を目指しています。中低音で確実に歌うのって、実はやるべき事が多くて難しいです。中低音って、歌っていても地味なんだけれど、曲の大半は中低音で書かれているわけで、高音なんて、一曲に一つか二つしかないわけで、その一つか二つしかない高音に全力を注いで、その他をなおざりにするのか、あるいは、たった一つか二つしかない高音を、たとえ失敗したとしても、残りに全力を注いで良い歌を歌うのか…という選択をせざるを得ない状況ならば、かつての私は前者を選んだと思いますが、今の私は後者を選びます。

 高音を失敗するだけなら、私はアマチュア歌手ですから「ごめん」で済ませちゃいます(世の中はテノールに甘いし…ね)が、歌全体を失敗したら、そりゃあ“音痴”でしかないものね。さすがに音痴はパスです。

 そう思うと、アクートを目指して学習するよりも、今は基礎である中低音を固めたいと思うし、その中低音の延長にある高音で歌いたいから、高い声で歌うようになったとして、それがアクートであろうがなかろうが、必要条件を満たしていれば、たぶん、気にしないのではないかって、今は思います。

 要は、アクートという特殊技法であるかどうかよりも、歌として必要十分な声で歌えればいいやって感じです。まあ、私は音楽ファンだし、オペラヲタクだけれど、発声オタクではないので、そういった技巧面には惹かれないだけのかもしれません。

 それでもやっぱり、本音で言えば、アクートで歌えるものなら歌ってみたいし、それでハナタカになってみたいものです。ただどうやら、私はまだアクートという特殊技法を身につけるよりも前に、身につけなきゃいけない基礎的技法が山ほどあるわけで、そちらを優先しなきゃいけない…という現実もあります。

 ってわけで、なんだかんだと言っても、フルートのヴィブラートや声楽のアクートに憧れている私です。憧れているけれど、こだわりは…無いですね。まあ、そんな私です。

 出来る範囲で全力を尽くす…が、私のモットーなんだな。何しろ、私にとって、音楽は趣味であって、道楽じゃあないから、そんなに一生懸命にはなれないのですよん。

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コメント

  1. tetsu より:

    こんばんは。

    > アマチュアフルーティストは、ヴィブラートが出来る出来ないに、やたらとこだわるし

    ヴィブラートにこだわったつもりはないし、レッスンで教わったこともありません。
    でも憧れた時期は確かにあって、Fu/Fuとカウントしながら自分でさらった時期もありました。
    こちらは意識してヴィブラートかけるタイプです。無意識ではかかりません。どこで何回かけるかまたは真っ直ぐ吹くか譜面に書いていたこともあります。弦楽器ではかけるところとかけないところは端から見ててもわかりやすいです。
    某アマオケでは真っ直ぐに吹くように吹くようにしています。かけるとただでさえ怪しい音程がもっと怪しくなってしまうので。
    ブラ1のドソロみたいなところは好き勝手に吹いてしまいますが。

    失礼しました。

  2. すとん より:

    tetsuさん

     楽器は、歌と違って、意識的にヴィブラートをかけないとかからないと思います。だから、美しいヴィブラートをかけられるように、日々鍛錬が必要なんだろうと思いますが…まあ、私にはまだまだ縁の無い話です。いやあ、それにしても、美しいヴィブラートには憧れますよ。

     逆に歌は勝手にヴィブラートがかかりますから、ヴィブラートを掛けずに歌う方が難しいです。

  3. Nat より:

    歌うようにふけば、自然にかかるようになりますよ(*^-^)

    ビブラートは音程をごまかしやすいので便利なんですが、基本はきちんとストレートにふけることが前提で、その上で、ですよね。

  4. すとん より:

    Natさん

     まあ、そうなんだろうと思います。で、H先生が私に、今はヴィブラートのかかった音ではなく、まっすぐな音(かつ、美しい音)で吹くことを求めているのも、先生なりの目標があるんだろうと思います。

     まあ、やがて私も上達すると、自然とヴィブラートのかかった音で演奏するようになるのでしょう。その日を楽しみに、今は地味にまっすぐに吹いていきたいと思います。

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