スポンサーリンク

私の発声練習[2008年2月現在]

 昨日の記事のコメント欄で、Ceciliaさんに「すとんさんはおうちではどのような発声練習をなさっていますか?」と尋ねられました。長文必至の内容だったので、コメント欄に書くことを躊躇した結果、本日の記事となりました。とは言え、別に昨日の記事と、関係のある話ではありません、あしからず。

 発声練習は、その時に抱えている課題などで変わりますので、とりあえず、2008年2月現在、私が自宅練習で行っている発声練習について書いてみたいと思います。

 あの時は、あんな練習をしていたんだなあ…と、将来、楽しく振り返るための記録として書きます。また、発声練習のバリエーションに行き詰まっている独学者の方々の参考になれば、うれしいなあとも思ってます。

 では、書きます。

 私の現在、発声練習を5段階に分けて行ってます。

1)立ち姿、背中の使い方の確認、ハミングで声を軽く通す

 体がまっすぐになるように立ち方を確認します。普段の背中は、人体として極めて自然な、ゆるやかにS字を描くように立ちますが、歌うときは別。ずばりIの字です。体を一本のまっすぐな筒と捕らえ、棒のようにまっすぐに立てる様に意識します。とりわけ、背中を使いやすい様に足元から、少しずつまっすぐになるように確認しながら、立ちます。

 立ったら、手を腹や腰に当てて、かるく呼吸して、背中がきちんと使えているか確認します。少なくとも、腰付近がきちんと膨らめばOKにしてます。

 で、ハミングをして、のどや頭の中を開けます。

2)自分に必要な音域(つまりテノールの音域)を全般に渡って発声する

 軽くAの音を発声してみます。Aの音とは、中央Cのすぐ下のラですね。男声的には「五線の中のラ」になります。私には絶対音感がないので、この音を楽器を使わずに正しい音程で出すことができる様に練習してます。

 声を出す前に、きちんと自分の中でイメージしてから、軽く発声。すぐさまキーボードで音高を確認。これを毎日やってます。やっているうちに、段々音が当たる様になってきたから、不思議。当然、絶対音感は身につきませんが、筋肉の感覚で覚えているようです。

 この音が中心音になります。私の音域のど真ん中の音です。

 このAの音から下のE♭までの音を1グループとして、レガートでゆっくりと半音ずつ「アー」と歌いながら、下がってゆきます。

 できるだけ遠くにいる人に向かって歌っていく感じで発声していきます。呼吸はもちろん、口の中や頭の中をきちんと開いたままで歌えるように注意します。自分の体の中から聞こえる音は軽く無視(笑)して、筋肉の感覚や、壁から反射して返って来る声を聞くようにします。

 E♭まで行ったら、ブレスをして、同様にE♭からAまでレガートで下がりながら、ゆっくりと歌ってゆく。Aまで来たらブレスをして、さらにAからE♭まで下がる。ここが私の一番下の音。もちろんE♭どころか、F♯あたりから、段々音ではなく、単なる振動になってしまうのだけれど、かまわずE♭まで降りる。

 このあたりは、もちろん中~低音の発声練習なのだけれど、同時に喉のマッサージも兼ねてます。このあたりを歌うことで、だいぶ痰が取れます。

 へ音五線の下にはみ出るE♭から、ゆっくりと、レガートで、途中ブレスを入れながら、ト音五線の一番上のE♭(男声的には、HiCの上のE♭)まで、3オクターブほど上がってゆきます。

 もちろん、途中にチェンジの箇所があって、うまく出せなかったりしますが、その辺は頑張って、なるべく声がひっくり返ったり、ファルセットにならないように気をつけながら、音程重視で高いE♭までゆきます。

 とにかく、上昇音型では、喉がしまらないよう、響きが薄くならないように、気をつけながら、ゆっくりとレガートで発声してゆきます。

 高いE♭まで行ったら、ゆっくりとレガートで最初のAまで降りていきます。

 本来のテノールの音域は、C~Cの2オクターヴだけれど、その音域を余裕を持って歌えるようになるために、テノールの音域よりも少し広めの音域で発声練習するように心がけています。

3)チェンジ周辺部を集中的に練習する

 私のチェンジ箇所はF#~A♭なので、そこを含む前後の音を丁寧にさらう。

 一音一音、丁寧に発声してみたり、E♭からCまでを上昇音型で、またAからCまでを下降音型で、半音ずつ、または長音階で発声してみる。また、当該音をロングトーンで発声してみたり、様々なことをやる。

 当然、体に強い負担がかかるので、休み休みやる。この休んでいる時間で、ブログの記事を書いたりしています。

4)中音域をコールユーブンゲンを使って発声する

 歌でよく使う中音域を、コールユーブンゲンを使って、無伴奏で歌う。正しく発声できていれば、正しい音程で歌えるけれど、どこか間違っていると、音がズレてしまうので、発声の調子を見るのに便利。合わせて、読譜の練習にもなるし…。

5)最後にまとめ

 まとめとして、、東敦子著「ベルカント・ヴォカリッツィ」(すでに絶版です)のヴォカリッツィNo.1とNo.2(初心者向けの課題)をやって、喉を整えて、発声練習のまとめにしてます。

 最近は、こんな感じです。チェンジの克服が現在の課題なので、そこを中心にやってます。なかなかカツーンとした、テノール声が出ないのが悩みです。

 ここまでの練習で、自宅練習のほとんどが費やされます。残った時間は、先生から課題としていただいている「オンブラ・マイ・フ」を歌って終わりです。

 以前は、アエイオウの母音の練習をしたり、各子音の練習をしたり、ドレミファソファミレド~や、ドミソミド~や、ドレミファソラシド~の音形を、半音ずつ上がったり下がったりしたものもやりました。鼻をつまみながら歌ったこともありますよ。

 そうそう、「奇跡のボイストレーニングBOOK」や「高い声を手に入れる奇跡のハイトーンボイストレーニング」などの弓場メソッドの本も、発声練習に取り入れていた時期もありました。

 何しろ、その時々に抱えている課題によって、発声練習の内容も変えるようにしています。同じことばかりやっていると、飽きてしまいますからね。

 というわけで、現在のところの発声練習メニューは、こんな感じです。おそらく一カ月後のメニューは、また違った感じになっていると思います。

 以上、自分の記録のために書きましたが、参考になりましたでしょうか?>全国の声楽独学者の皆様方。発声練習では、くれぐれも無理をしてはいけませんよ。喉をつぶしたり、体を壊してしまっては、元も子もありませんからね。

コメント

  1. ひと休み より:

    はじめまして。にほんブログ村のトラコミュ声楽からきました。
    「合唱人が声楽を勉強する際に支払う代価について その1 その2」「私の発声練習」を興味深く読ませていただきました。
    合唱と独唱については、全く同感です。
    私は、ソプラノか、メゾソプラノなのか、自分でよくわかりません。要するに、声のチェンジ域がよくわかりません。ピアノの真ん中のドより上のH♭のあたりとその上のF♯かな?と思っています。
    ただ、高音の方が、響き、息の当たり具合がわかりやすいので発声練習のときに、声(音)と空気(吐く息)をあてるツボを探し、みつかるかどうかが、その日成果が上がるかどうかの分かれ目になっています。

  2. 松尾篤興 より:

    To Ston
    この一連の記事「さあ、高い音で歌おう、前、中、後編、私の発声練習」を大変興味深く読みました。
    資料として必要なものですので、コピーを取らせて取らせて頂きましたが、この文章を表に出す場合、必ず貴兄の御承諾を頂きに参りますので何卒宜しくお願い申し上げます。
    松尾篤興

  3. すとん より:

    >ひと休みさん、はじめまして。

     にほんブログ村からお越しいただき、感謝です。

     自分のチェンジの箇所って、なかなか分かりづらいと思います。実は私も、今よりもっと初心だった頃は、チェンジの箇所が分かりませんでした、あるいは勘違いしていました。

     と言うのも、自分の発声が安定していないと、チェンジの箇所が日々変わってしまうように感じるからです。

     声種にしても、チェンジの箇所にしても、やはり、声の分かる人に聞いてもらって判断してもらうのが一番ですね。

  4. すとん より:

    >松尾さん

     コピーは(もちろん)ご自由に。表に出す時も、改竄したり、悪用するわけでなければ、基本的に使ってくださって結構です。ブログに書いたことは、基本的に出版物と同じように、公になっているものですから、引用の範囲であれば、何の問題もないと思います。

     引用の範囲を越える場合は(形式的になるでしょうが)お知らせくださるとありがたいです。お知らせいただけると、私はうれしくうれしくて、天にも昇る気になるでしょうから。

  5. もり より:

    昨日のCaciliaさんのコメントを読んで、私も是非伺ってみたい、と思ってました。早速記事になっていたので、とても興味深く拝見しました。

    ところで、この発声練習、やはり毎日欠かさず続けておられるんですか(思いっきり素人な質問ですみません)?時間にして、どのくらい費やしてますか?

    今週の月曜日くらいから、風邪のせいかそれとも無駄に歌いすぎて喉が荒れてしまったのか、高音がかすれて出にくい状態で、ここ数日は歌わないように気をつけてます。かなり辛いです(歌わないでいることが)。こういう時、すとんさんならどうされますか?
    私は、ハミングと喉をあけて「あえいうえおあお」と軽く声を出す練習だけを、全部で5分くらいだけやってみたりしてます。

  6. すとん より:

    >もりさん

     発声練習は、基本的に毎日ですが、日々の生活を優先してますので、仕事が忙しくて時間が取れない時や、家族のイベントがある時は、あっさりとお休みにしてます。

     時間は…2時間程度ですが、そのうちの半分くらいの時間は、ブログをやってますので、正味は40~60分くらいでしょうか? とは言え、体の調子が悪かったり、気分が乗らなければ、10分程度でやめてしまうこともあります。

     風邪の時は(仕事に差し支えると困るので)治療を優先し、体を休める事を第一にしていますので、結果的に歌の練習は休みになってしまいます。キング先生からは、少しくらいの風邪なら、歌った方が治りが早いと言われていますが、もうオジサンなので、休養第一の方針は崩しません。

     病気の時は上記のとおりですが、病気でもないのに、声の調子が悪い時は、発声練習をします。丁寧に発声して、声を本調子に戻します。どうしても、戻らなければ、あっさり休みます。

     歌いたいのに、病気や喉の調子が悪くて歌えない時は、たしかにつらいですね。そういう時は、呼吸やハミングの練習に励みます。呼吸とかハミングとかの練習って、実は大切なのです。しかし、普段は声を出したいので、ついついさぼりがちです。だからこそ、声が出ない時は、声を出さずに済む、呼吸やハミングの練習に集中しています。

     こんな感じです(笑)。

  7. Cecilia より:

    貴重な記事をありがとうございます!
    毎日きちんと練習なさっているのですね。
    私は家での発声練習はかなりいい加減。
    やる時は先生のところでのレッスン(過去の)を思い出しながらやるのですが、大体はヴォイトレ的レッスンのソプラノの先生の方法に従ってやっています。
    これに関してはそのうち記事を書きますのでその時はリンクさせてくださいね。

    又コメントに来ると思います。

  8. すとん より:

    >Ceciliaさん
     いやいや、そんなにきちんとではないです。もちろん、やる時は、割ときちんとやっているかもしれませんが、やらない日が結構あるんですよ。

     例えば、今日などは、ラ・フォル・ジュルネのチケット争奪の後、来週の門下学習会の楽譜を大量印刷&製本をやってまして、先程帰宅したところです。もちろん、歌ってません。案外、こんな感じです。

     最初は、平日はきちんと練習して、週末は休もうかなあという感じだったのですが、平日でも忙しい日があったりするので、週7日のうち、4~5日程度、練習できればいいなあという、アバウトな感じでやってます。

     我が師であるキング先生は、元旦以外の毎日、3時間の発声練習がノルマだそうで(無論、歌曲やオペラ、ピアノなどの練習とか含まれないそうです)、弟子としては、そんな師匠を見習いたいと思ってますが、なかなか、なかなかです。

  9. ひと休み より:

    今晩は。
    コメントのお返事ありがとうございます。
    松尾さんのブログを読んだり、また、いままで2~3人の先生にレッスンをうけたことがありましたが、それによると、自分は、ソプラノのようです。
    しかし、プロの声楽家でさえ、アルトだった先生が、20年後には、メゾソプラノだったりするので・・・・。
    自分は、メゾソプラノなのかソプラノなのかどうなのかな~とおもうのです。結局は、どこらへん(音域)が声にあっているかということなんでしょうか。
    メゾであろうと、ソプラノであろうと、響きをツボにあて、息で響きをふくらませて歌いたいと、おもいます。

  10. すとん より:

    >ひと休みさん
     ひと休みさんはソプラノですか。それはレパートリーが広いですねえ。うらやましいです。
     肝心なことは、自分の一番美しい声で歌うことであって、パートは何なのかは、後からついて来るものだと思ってます。ま、合唱をやっていると、そうとばかり言えないところが、厳しくもありますが…。
     趣味で歌うなら楽しさが一番だと思ってます。私も日々、楽しさを追求しています。どうか、ひと休みさんも楽しく歌って毎日を過ごせますように、お祈りします。

タイトルとURLをコピーしました