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歌い出しは丁寧に[音源付き]

 声楽のレッスンの続きです。とにかく、自分に素直な声で歌うように言われた私でした。

 まずは、ガスパリーニ作曲「Caro laccio/いとしい絆よ」です。この曲は今回のレッスンでで終わりになったので、ブログの方には記念として、私がレッスンの冒頭に歌った音源をアップしておきましょう(笑)。

 なぜレッスン最後の仕上げの一曲ではなく、レッスン冒頭の「さあ、これからダメ出ししますよ~」の歌をアップするのかと言うと…全曲通して歌うのは最初だけだったからです。

 今回に限らず、通常のレッスンでは、まず最初に一曲通して歌って、色々とダメ出しをしたり課題を見つけたりしながら部分的に直しながら歌っていく…というレッスンスタイルなので、通して歌うのは最初だけなのです。まあ最後にもう一回通して歌っても良いのでしょうが、なにしろレッスン時間がもったいないので、最後にもう一回通す時間があったら、さっさと次の曲のレッスンに移りたい…ってところなんでしょうね。なので、アップするのは、ダメ出しをされる前の歌唱です、申し訳ない。

 なので、歌の出来としては色々とヒドイですが、そこは温かい目で見てやってください。

 ええと、今回から MP3TUBE というサービスを使って動画を作成してみました。これは、MP3音声ファイルがあれば、実に簡単にYouTubeにアップできる動画形式に変換してくれるウェブサービスでなかなかお手軽で便利です。まあ、動画部分が全くもって味気ないのですが、そこはご勘弁ください。

 それと、音源の最後がブチっと切れているのは、そこで先生が伴奏を止めて、ダメ出しに入ったからで、別に変換サービスのミスではありません(念のため)。

 聞けば分かりますが、この曲は私には低い曲なので、思いっきりポジションを下げて楽に歌っています。まずはそこがダメで、例え音域的に低い曲であっても、楽をせずに、しっかり響きを多めに、ポジションは高めに軽い声で歌う事が大切だと言われました。

 また、あっちこっちミスってますが、特にブレスをした後の第一声って奴が、ことごとくヘマっています。なので、この後、徹底的にブレス後のフレーズの歌いだしの練習をしました。

 私がブレス後の歌い出しにヘマる理由は…息の支えが弱いからです。息の支えが弱くて、ついつい息が出すぎてしまって、それがうまく声にならずに、乱暴に発音されてしまうのが原因なんです。だから、歌い出しは特に気をつけて丁寧に歌わないといけないのです。

 高音の発声もまだまだですが、ならば中低音はOKなのかと言えば、この曲で聞けるように、中低音もまだまだだったりします。高音の場合はカラダが出来上がっていない事とテクニック不足がまだまだの原因ですが、中低音に関して言えば、やるべき事をきちんとやっていないとか、集中力不足とか、そういう良くない事(ざっくり言えば、中低音をナメている?)が中低音の際には見られるわけで、手を抜いているわけではないけれど、結果として手を抜いた歌唱になってしまっています。上ばかりを見ていて、足元をすくわれているって事がよく分かります。ああ…。

 とにかく、この曲はこれでお終いとなりました。ご苦労さまでした。

 次は、グルック作曲「O del mio dolce ardor/ああ私のやさしい熱情が」です。こちらではフレーズの出だしを丁寧にするのは当然、しっかりクチのカタチをオに決めてから歌い出すように言われました。

 しかし、私も上達したなあって思いました。と言うのも、この曲をレッスンしていただいてる時に、先生のピアノがなぜかドンドン転調してしまって、違う調で伴奏しているにも関わらず、私はしっかりと転調せずに、ピアノにつられずに歌っているものなあ…。以前なら、ピアノが転調したら、それにつられて転調して歌ってしまっただろうに、ピアノは聞いても聞かないで歌っているというのがよく分かります。ピアノはピアノ、歌は歌という事ができるようになってきたわけです。

 しかし、ピアノと歌が違う調だと、ほんと、歌っていても気持ち悪いですが、後で録音を聞いてみると、実に不思議な現代音楽っぽく聞こえます(笑)。

 この曲の中盤あたりの“le piu liete”の部分の、Fisの歌い方を注意されました。先生曰く「すとんさんは、確かに軽いテノールではないから、バリトンぽい歌い方もありだけれど、今はレッスンだから、なるべくテノールっぽい発声方法で歌ってください」と言われました。具体的に言えば「Fisでは声を曲げないでください」って事です。

 声は曲げた方が曲げないよりも迫力もあるし、聞いていて説得力があるのだそうです。その代わり、一度声を曲げてしまうと、その高さの音(厳密に言えば、もう1音上まで)が限界になってしまうのだそうです。Fisで声を曲げるのはバリトンの歌い方であって、テノールなら、この程度の音は声を曲げずに楽々とまっすぐなままでも十分歌えるのだから、今はこの箇所で声を曲げずに歌ってほしいとの事です。

 実は私、声を曲げるとか曲げないとか、全然気にしないで歌ってました。おそらく、この箇所がこの曲の最高音なので、格好つけて、無意識に曲げて歌っただけの話です。ですから、この次からは曲げずに歌ってみました。いやあ、実際、Fisなら声を曲げずに歌えますから。

 私の場合、Gisまでは声を曲げずに出せます。しかしAではかなり厳しいので、Aではしっかり声を曲げた方が良いのでしょうし、Gisまでは声を曲げずに歌えるようにした方が良いのですが…私の場合、Aで声を曲げる事ができません(涙)。だから、Aを失敗するんだよなあ…。

 Fisでは曲げない。Aでは曲げる。これができるようにしないとね。

 またこの曲に限らないけれど、音程が移動する時、特に跳躍する時に、私はどうも声のポジションを変えて、それに対応しているフシがあります。フシがあると言うか、なかば自覚症状があるのですが、ポジションを変える事で音程を変えて歌っているのです。このやり方だと、低音はより低音らしく、高音はより高音らしい声で歌えるのですが、こういう歌い方はクラシカルな発声法では×なので、そろそろ音程の取り方をクラシカルな取り方に変えていきましょうと言われました。

 ではクラシカルな音程の取り方とは…ポジションを変えずに、同一ポジションの中で出せる音の高低の幅を広げて音程を取って歌っていくやり方なんだそうです。

 具体的に言えば、ポジションとは声の音色とか響きとかそういう類のものです。つまり、同じ音色、同じ響きのままで、音程だけを変えて歌っていくのがクラシカルな歌い方なんです。

 実は歌い方としては、私がやってしまっているポジションを移動しながら、つまり音程ごとに声を変えて歌っていくやり方の方が簡単だし、ポピュラーソングなどではそういう歌い方も大いにアリなんだそうです。でも、クラシックの世界では、声のポジションを変えずに歌うのが常識なので、そのための訓練をしないといけないのです。それは難しい事なのですが、そろそろそういう事に取り組む段階になったという事らしいです。

 ポジションを変えずに歌うとは…言葉で書くと難しいのですが、上行音形ではドンドン上アゴを開いていき、下降音形ではドンドン舌根を下げていき、さらに一度上げたり下げたりしたら、そこから戻さずに歌い続けるような感じの歌い方です…と書くと、たぶん間違っているよなあ…。

 Y先生がおっしゃるには「音程的に幅の広い声で歌うようにしてください」って事です。

 とにかく「ああ私のやさしい熱情が」は、幅の広い声で歌うためには良い課題曲なので、もうしばらくはこの曲を歌っていきましょうということになりました。

 さて、いよいよ、プッチーニ作曲「トスカ」より 「Recondita armonia/妙なる調和」です。まずは歌ってみました。当然、高いBは撃沈しました(笑)。

 先生曰く「Bはまだ出し方を教えていないので、出なくて当然です。今はひとまず(本当はダメなやり方だけれど)Aを押して出してください」との事です。つまり、この曲におけるBはオマケのようなモノらしいです。それよりも『押せばBが出るA』を出す事が目的なんだそうです。どういう事かと言うと、Aが最高音の曲だとAを出すのに汲々として失敗しがちなので、そこはあえてBが最高音の曲を与え、Bが最高音なら、Aごときに気を使ってられないので、Aは自動的に無意識に出さざるを得ないので、そういう“高音を自動的に無意識的に出す”事を覚えてほしいのだそうです。つまりBはAを出すためのオトリのようなもので、今回のターゲットではないそうです。今回のターゲットはあくまでもAで、それも余裕のあるAを出すことが狙いなんだそうです。

 Aを出す事に不安のある私です。不安があるので、ついつい押してしまうのだけれど、押してしまうから撃沈する…そうです。いくら不安があっても、絶対に高音は押さない事。押さなければ、声って撃沈しないモノなんだそうです。 え? そうだったの? そんな事、習わなかったよ。

 不安なら、押さずに曲げる…のだそうです。押さないのも難しいですが、曲げるのも難しいです。なにしろ余裕が全くないですからね(汗)。

 この曲は冒頭、歌に入るタイミングが私には難しいので、そこを何度も練習しました。ピアノのテンポのユレを聞きながら入るのが、一番入りやすいかな。

 しかし「妙なる調和」は高いね。他の二曲とは、全然違います。さすがはテノールアリアです。おまけに難しいときたもんだ(笑)。しかし「高い高い」とか「難しい~(涙)」とか思っていると、カラダが緊張してうまく歌えなくなるので、高いとか難しいとかを意識せずに、気楽に歌えるようになれば、きっとうまく歌えるようになるはずです。

 「すとんさんは、別に出し方を考えなくても、発声練習ではBを出しているから、この曲はきっと歌えますよ」と先生は軽くおっしゃってますが、そうであって欲しいと思ってます。

 正月は「妙なる調和」とがっぷり四つだな。

蛇足 奇しくもクリスマスの日に音源付きの記事をアップしたけれど、別にクリスマスプレゼントのつもりなんか、ないんだからね(笑)。ってか、これがプレゼントだとしたら、かなりのイヤガラセだよなあ…。

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コメント

  1. まきりん より:

    クリスマスおめでとう!
    別にクリスチャンではないのだけれど(^^;)

    久々にすとんさんの歌声を聞きました。
    声楽の事はまるっきりわからないのだけれど、
    忙しい中、頑張って練習されているのだなあ、と思うと私も励みになります。
    蛇足でくすっとしてしまいました。
    未来のすとんさんへのクリスマスプレゼントですね。
    きっと未来のすとんさんは、今がんばっているすとんさんを
    懐かしく思うことでしょう(^o^)
    今度はフルートの曲もアップしてくださいね。

    奥様のお怪我の具合はいかがでしょうか?
    あと少し頑張ったら冬休みですね。
    師走乗り切りましょうね~(^^)/

  2. すとん より:

    まきりんさん

     妻は、とりあえず、車椅子も杖も無しの装具のみとなりました。まあ、順調に回復しているようです。

     フルートも何とかアップしたいなあと思い続けてますが、なにしろ最初から最後までノンストップで吹いている音源が皆無でございまして…。レッスンででも何ででも、最初から最後まで失敗しても音楽が止まらずに演奏する事が今だに出来ず、必ずミスブローで音楽が止まるか、先生のダメ出しが入るという状況なんです。

     歌も下手だけれど、笛はもっと下手なのかもしれません(汗)。

  3. だりあ より:

    フルートとハの関係について、ありがとうございました。歌でも笛でも、口の中も歯も歯並びも、すべて楽器の一部ですものね、大切にしたいなあと思いました。入れ歯なんてまっぴらです。毎日すみからすみまで、ピカピカ歯磨きをがんばりたいと思います。
    すとんさんの今回の音源、聴かせていただきました、以前にくらべたらとてもやわらかくのびやかに発声していらっしゃるなあと思いました。
    それで、ちょっと感じたことなんですが、やっぱり支え・・・、っていうか、音程を下から支えて持ち上げる力がもうちょっとグイッとそばやさんが片手の上で岡持を支えるような力が上に向かって働くと、肝心なところでの声のピッチが安定させられるのではないかなあ・・・・と、思いながら聴かせていただきましたがいかがでしょうか。

  4. すとん より:

    だりあさん

     ご指摘の“支えの不足”ですが、正解だと思います。

     私自身、支えの不足は分かっていて、気にはしているのですが、ついつい歌う時に忘れてしまいます。支え無しで歌ってしまうのは、私の悪い癖です。

     欠点は常に長所の隣にあります。

     私はかなりノドが強いので「いとしい絆よ」程度の歌だと、支えがなくても(そこそこ)歌えちゃうんですよ。普通の人なら、この曲でも、かなり息を支えないと歌えないのが普通なのですが、そういう点では私はかなり恵まれているわけです。

     でも、この曲が支え無しで歌えるとしても、あくまでも“そこそこ”だし、これよりも難しい曲になると、全くお手上げになるわけです。そうなってから支えても遅いわけで、歌の時は常にきちんと支えないとダメ…なんですよ。ああ、分かっているのに忘れてしまってやらない、本当にダメな私です。

     さらに言えば、普段、息を支えないから、未だに体幹が弱くて、ちゃんと息が支えられないんです。ふう、悪循環にもほどがあるね。

     「分かっているなら、ちゃんとやれ!」と常に自分に言い聞かせているのですが、同時に自分に甘いのも自分だったりします(涙)。

  5. だりあ より:

    すとんさん、私は管楽器の息の支えの感覚を、両足の親指から土踏まずへの線上に乗る感じでとっています。
    すとんさんはスポーツに堪能でいらっしゃるから無意識に足の親指から頭のてっぺんまで一本スジが通った姿勢はお手の物と思いますが、歌や管楽器のときは歌うこと吹くことに半分意識がとられて、そうなさっていらっしゃらないのでは、と思いました。それで底が抜けちゃうときがあるのかも、かもしれません。お会いしたこともないのに勝手な想像ですが、経験からなんとなく推測しました。
    私は、過去五年ほど前からなのですが、支えの足りなさをなんとかせねば先がない、と思い知り、かなーり意識的に道を歩くときも赤信号で俟つ時も、キッチンに立つ時も掃除機をかけるときも、繰り返し繰り返し脳の片隅で足の親指に指令を出していました。それでやっと、フルートの息の支えの足りなさをかなり克服できた過去があります。そのとき、つくづく、全身の筋肉は連動している、おなかは足先につながってるんだなあと思いました。スポーツオンチな私が必死でトレーニングしたのはこのときだけでした[E:happy02]。

  6. すとん より:

    だりあさん

     姿勢は大問題ですね。

     以前はきちんと姿勢を作って歌っていたのですが、それでは音楽が停滞してしまうとY先生に言われて以来、それは止めて、割とカラダを緩めて歌っています。まあ、それが最近の流行りでもあるのですが、だからと言って緩め過ぎは良くないのです。固めすぎで注意されて、今度は緩めすぎに悩んでいます。なかなかいい感じにはならないのです(涙)。

     どこを緩め、どこを緊張させるのか、あれこれと試行錯誤をしている最中なのですが、おっしゃるとおり、歌や演奏になると、それらを忘れてしまう悪癖もあったりします。ほんと、しょーもないよねー(涙)。

     少しずつ、少しずつ、良い姿勢を癖づけていきたいと思ってます。

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