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これは本当にクラシック声楽曲なのか?

 声楽のレッスンの続きです。

 曲練習に入りました。トスティ作曲の「Marechiare/マレキアーレ」です。

 今回、この曲にはあれこれ苦労しています。

 そもそもナポリ語という慣れない言語である上に、曲のテンポが速くて舌が回らない上に、楽譜を見ながら自宅練習をしていても、何か腑に落ちない箇所があれこれあって、何とも苦労しています。

 ナポリ語に関しては…慣れるしかないので、ある意味、諦めがついています。曲のテンポに関しては、歌い馴れていく事で解決できるでしょう。となると、問題は、楽譜に感じる違和感です。

 今回、私が使っている楽譜に書かれているメロディと、プロの方々が歌っているメロディが、細かい所が結構違うんですね。つまり、耳コピして歌うと、かなり楽譜と違ってしまうという点です。

 これまでの曲でしたら、それはプロの方が変えて歌っていると解釈して、楽譜通りに歌い直せばいいのですし、そうすることが結果的に最善だったわけですが、が、今回の「Marechiare/マレキアーレ」は、半分ポピュラーソングなので、楽譜に忠実な歌い方が必ずしも正解ではないわけですし、実際、楽譜通りに歌うと…つまんないです。かと言って、プロの方のカバーソングを歌うわけでもないので、プロのマネすればいいわけでもないし…というわけで、ほんと、この曲を勉強していけばいくほど「どうしましょう?」と悩んでしまうわけです。

 特に、この曲は楽譜上では、一見、有節歌曲のような作りになっていますが、仔細に検討すればするほど、1番と2番の歌詞の行替えの違い…つまり、フレーズの作りの違いが感じられるし、メロディのハネも歌詞と連動しているので、1番と2番のメロディのハネる位置も自然と変わってくるし…と、この曲を有節歌曲として処理しようとすればするほど、ほんと、困っています。

 なので、レッスンでは、それらをすべてぶちまけて、先生とこの曲の歌い方のすり合わせをしました。具体的に書けば、ポピュラー音楽出身の私が考えている歌い方が、クラシック声楽として、受け入れられるものなのか否か…です。

 まあ、すり合わせの結果、ある程度は「それもアリでしょう」と言ってもらえて、そう歌うことに決まりましたが、それでも「それはナシですね」と言われてしまった部分もあります。

 「Marechiare/マレキアーレ」はナポリ民謡でしょ? 当然、前提として伴奏はピアノではなくギターでしょう。ピアノ伴奏で歌うのと、ギター伴奏で歌うのとでは訳が違うし、ましてや、そのギターを自分で弾きながら歌うという前提でメロディが作られているなら、クラシック声楽的なメロディの歌い方とは、かなり違うと私は思うのです。

 と言うのも、私はギタリストでもあるし、この曲を自分のギターで歌うなら…と考えてしまうと、いやあ、とてもとてもドイツリートを歌う時のように、無心に忠実に楽譜に書かれたようには歌えないのです。

 見れば見るほど「Marechiare/マレキアーレ」の譜面って、概要しか書かれていないと思うのです。

 つまり、楽譜なんてただの目安であって、音楽はその先にあって、それは演奏者たち個人個人に委ねられている…って思ってしまうのです。まあ、これはポピュラーの人の考え方であって、クラシック声楽では、こんなふうには絶対に考えないわけだけれどね。

 それとは全く別問題だけれど、この曲の歌詞のない部分(歌詞が「Ah!」だけになってしまう箇所)の歌い方だけれど、私は海を感じてしまうのですよ。ただし、明るいナポリの港ではなく、荒波の日本海なんだけれど…ね。自然と日本海を思い浮かべてしまい、メロディにこぶしが回ってしまうんだよね。更に言えば、そういう演歌的なノリの歌い方をしたいのだけれど、それは絶対に違うからダメと止められました。まあ、理性ではその通りで、先生のおっしゃる事が大正解だと思うんだけれど、日本人である私が日本の地で歌うのだから、そこはローカライズして歌っちゃダメなのかな?と、ちょっぴりだけ、思わないでもないのですよ。

 私は「Marechiare/マレキアーレ」に、八代亜紀の「舟唄」との共通点を感じてならないのです。

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