発展途上国とか先進国でもスラム周辺とか、つまり貧しい人々がたくさんいる場所では、スポーツと言えば、まずサッカーなんだそうです。決して、野球とかゴルフとかでは無いそうで、貧しい地域ではサッカーが盛んなんだそうです。
理由は…サッカーはボール一つあれば、他の道具がいらず、大勢が遊べるから…なんだそうです。おまけにサッカーボールと来たら、かなり大きいから無くなる事もまず無いし、バスケットボールやバレーボールのように、よく跳ねるボールでなくてもいいので、極端な話、ボロ布を丸めてまとめたようなものをボール代わりに使っても全然かまわないのだそうです。
さらに、正式な試合となれば話は別だろうけれど、遊び程度なら、コートの大きさもゴールの大きさもいいかげんでいいし、人数もアバウトでいいし、ユニフォームだっていらないし、空き地にラインを書いて、ボールを持って、みんなで集まれば、それでOKなんだから、ほんと、金がかからないわけです。
そこへ行くと、野球ならバットにボールにグローブが必要だし、ボールはすぐに無くなるから予備が必要だね。ゴルフならクラブとボール(予備含む)と…ゴルフ場が必要だね。他のスポーツでも、ネットが必要だったり、よく弾む良いボールが必要だったり、ラケットなどの専用の道具が必要だったり、専用の競技場が必要だったり…ね。乗馬なんか、馬を飼っていないとできないんだよね。ほんと、お金がかかります。
つまりスポーツには、お金がかかるスポーツとかからないスポーツがあるわけです。
そこへ行くと音楽は…基本的にお金がかかるものばかりです。まず、楽器が必要でしょ? で、その楽器というのがピンきりだけれど、そこそこ高価だったりします。ポピュラー音楽に使う楽器は、それでも常識的な価格でおさまっていますが、クラシック音楽で使う楽器は、基本的に非常識な値段なのがほとんどです。
総銀フルートが一本100万円? グランドピアノが1台150万円? ヴァイオリンが時価??? 絶対に奇怪しいでしょ?
でも高いからと言って、楽器無しというわけにはいきません。まあ、初心者用に廉価な楽器、例えばフルートなら洋銀フルートが、ピアノなら電子ピアノが、ヴァイオリンでも安い輸入楽器セットがあったりしますし、それで最初は十分かもしれないけれど、腕が上達すれば、すぐにそれらの楽器じゃ物足りなくなって高価な楽器に買い換えたくなるわけで、最初はなんとかなっても、やがてそれなりのお金がかかるようになるわけです。
結局のところ、なかなか貧乏人では音楽を学ぶのは、とりわけクラシック系の音楽を学ぶのは、難しいです。
安くて良い楽器があればいいのだけれど、楽器の世界って、きちんと市場が確立しているので、楽器の値段と楽器のグレードはキレイに関連しています。楽器を見極める力がない人はともかく、ある程度真面目に音楽をやっていれば、良い楽器と悪い楽器の区別がつけられるようになるわけだし、そうなった時に、良い楽器(=高価な楽器)を入手できないのは、とてもとても悲しい事です。
そんな事は、皆さん薄々知っているわけです。だから、例えばヴァイオリンなら、ヴァイオリンを自分が始めるにしても、子どもに習わせるにしても、数年おきに楽器を買い換える必要がある事を頭の片隅にインプットして、経済的な負担がかかる事を覚悟してから手を伸ばすわけです。つまり、音楽を始めるには、経済的な覚悟が必要だって事ね。覚悟が出来ないなら、演奏を諦めて、鑑賞の方に身を置くしかないのです。
さて、金持ちしか音楽は学べないのかと言えば、実はそんな事はありません。
音楽に、お金がかかる一番の理由(と思われているの)は、楽器の購入とそのメンテナンスなんですね。だから、そこをパスできれば、それなりにお金をかけずに音楽を学べるわけです。
つまり、楽器を使うからお金がかかるんだから、楽器を使わなければいいんです。
楽器を使わない…そうです、歌です。歌えばいいんですよ。声帯はすべての人間に標準装備されていますから、改めて購入する必要はないんです。「ヴァイオリンはお金がかかる~」と嘆いたり「安い楽器でも大丈夫」とホラを吹くくらいなら、ヴァイオリンでなく、歌を始めればいいんですよ。
もちろん、才能の有無はありますから、生まれた時から素晴らしい歌が歌える人もいるけれど、練習に練習重ねて、やっとなんとか歌えるようになる人もいます。でも、歌えない人って(脳や耳に障害がない限り)いません。苦労はするかもしれないし、たいして上手くはなれないかもしれませんが、どんな人でも最終的には歌えるようになります。少なくとも、趣味として楽しめる程度には歌えるようになります。
お金もかからないし、努力さえすれば誰でもソコソコには上達するのが、歌なんです。だったら「音楽やりたいけれど、お金がない」とか「お金がかかるので音楽できない」と言っている人たちは、ぜひぜひ歌をやってみてください。
お手軽なところではカラオケがあります。もう少し本気を入れるなら、バンドのヴォーカリストを目指してもいいでしょう。私のようにガチなクラシック音楽が好きなら、オペラとかリートなどのクラシック声楽もいいでしょうし、肩肘張らずに、ポピュラーとクラシックの中間あたりをお望みだったり、一人で歌うのは恥ずかしいと思われるなら、合唱をやってみるのもアリです。
案外、歌う場所ってあるもんです。
でも(あえて言うけれど)日本の、とりわけ男性にとって、音楽って楽器演奏なんだよね、決して歌じゃないんです。バンドなんかでも、メンバーのほとんどは男性なのに、ヴォーカルだけは女の子ってのはよくあるパターンです。「日本男子と言うのは歌わないもの」という取り決めでもあるんじゃないかというくらい、男性にとって、音楽とは楽器演奏の事であって、決して歌ではないのです。
でも、それってどうなんだろうね。楽器もいいけれど、歌も楽しいよ。楽器には楽器の楽しみがあり、歌には歌の楽しみがあると思います。これは笛と歌の両方をやっている私だから感じることかもしれないけれど、どちらもそれぞれに違っているけれど、それぞれに楽しいです。
だから、経済的な理由で音楽を躊躇しているなら、ぜひぜひ歌をやってほしいと思うんです。特に日本男子は、歌うべきです。食べず嫌いならぬ“歌わず嫌い”はダメだと思いますよ。
「少年よ、お金に余裕がないなら、歌を歌いなさい!」
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コメント
私、お金のかからない話、大好きなんです。
楽器でもお金がかからない楽器はたくさんありますよ~。
サッカーがボール一個と広場があればできるのと同じく、そこらに落ちてた棒っきれ一本と、そこらに落ちてた木の板っきれ一枚、または穴のあいたブリキのバケツでもいいんですが、それでリズムが作れます。それに人の声の「歌」とか簡易管楽器もどきのメロディーとか、もっと簡単なら、葉っぱ一枚かで草笛が吹ける人がいればもう立派に民族音楽のできあがり~です。
結局、そういう素朴さ(チープさ)に飽き足りない人たちが、サッカーの場合は立派なボールを作り、サッカーゴールを造り、ユニフォームや靴をつくってサッカーをお金が飛び交う産業にしていったのでしょうね。
音楽も、楽器産業のおかげで立派な楽器が手に入りやすくて助かりますが、身体一つを楽器として声で歌う「歌唱」は、とても純粋な音楽だと思います。
歌って、ほんとにいいですよねえ。どんな楽器でも基本は歌心、といいますよね。私も歌は大好きですがトシのせいかおかげか、声帯が縮んでしまって、ひどい声になってしまいましたが、また歌ってみたいです。
だりあさん
ボピュラー音楽はだいぶ安価に楽しめますが、民族音楽(民族楽器)だと、さらにお安く楽しめるでしょうね。
クラシック系の楽器が高価なのは、いちはやく産業化されたからでしょうね。ただ、産業化される事で、広く普及するという効果もあるので、一概に否定はできません。
例えば、中学校や高校を見てもらえば分かります。楽器は産業化されているので、吹奏楽は、多くの楽器で盛んだし、それに関連する団体は実に金回りが良いのですが、産業化されていない合唱の方は先細りも甚だしいし、団体の方も金欠らしいです。
歌は、安価に楽しめるのですが、商売としての旨味がないので、誰も支えてくれないんですね(寂しいです)。
>歌って、ほんとにいいですよねえ。どんな楽器でも基本は歌心、といいますよね。
マスタークラスを見ると、どんな楽器の先生も生徒に「歌いなさい」と言います。あちらでは、歌えない人は楽器を学ぶのが難しそうです…が、日本では歌えない楽器の人ってたくさんいますよね。そこも我彼の違いなんだろうなあって思います。
こんばんは。
> どんな楽器の先生も生徒に「歌いなさい」と言います。
元師匠のレッスンで、当時さらっていたエチュードに歌詞をつけて歌って、といわれて立ち往生してしまいました。
どのような日本語の歌詞をつけるのか、こっ恥ずかしさが先にあって、マジ固まってしまいました。元師匠のホント貴重なレッスンでしたが、逆に腰が引けてしまったキッカケのひとつかもしれません。
失礼しました。
tetsuさん
たしかに『歌詞をつけて…』は、ハードルが高いような気がします。私もヴォカリーズで歌うのなら、全然平気ですが、歌詞を即興でつけてとなると、いくぶん身構えてしまいます。いや、tetsuさん同様に固まってしまうかもしれません。
でも、子ども向けのピアノのレッスンだと『曲の状況を考えて、場面が思い浮かぶように、メロディに歌詞をつけて歌う』というのがあります。あれは子どもだからできるワザであって、オトナには厳しいですね。