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本来のフルートの居場所について考えようとしたら、カリフォルニア・ロールの話になってしまいました(涙)

 フルートの本来の居場所とは、一体どこなんでしょうか?

 “本来の居場所”という言い方が文学的すぎるならば、“フルートのレゾンデートル”と言うか“フルートの本職”とか言う表現でもいいや……って、表現の位相があんまり変わってないか(笑)。

 つまり、フルートって何のために存在するの? って事ですわ。

 フルートは楽器です。音楽を演奏するための楽器です。楽器と言うのは道具だから、その道具を使う人の目的に合っていれば、それでいいんです、十分なんです。

 例えば、メガネは視力を矯正するための道具だから、視力が矯正できれば、それで十分なんです。でも、世の中にはダテメガネと言って、視力の矯正に使われずに、専らファッションアイテムとして使われるためのメガネもあります。

 それはそれでOKです。例え視力の矯正ができなくても、ダテメガネもメガネなんです。

 でもやはり、メガネって、第一義的には視力矯正のためにあるわけで、ダテメガネの存在を容認しつつも、『メガネは視力矯正のための道具』ですって言いたいわけなんです。なぜなら、そこにメガネのレゾンデートルを感じるからです。

 と言うのと同じで、フルートで音楽を奏でるなら、どんな音楽だって別にいいのだけれど、それでも本職と言うか、本来用いるべき音楽ジャンルって奴があって、それがフルートの居場所であり、そこで演奏される事がフルートのレゾンデートルならば、どの音楽ジャンルがフルートの居場所なのかって事です。

 ちょっとばかり、ややこしくてゴメン。

 たぶん、日本で一番、フルートの需要があるのは、吹奏楽じゃないかな? 吹奏楽の現場で活躍しているフルートさんが、たぶん日本のフルーティストさんたちの最大多数派だと思います。だから『(日本での)フルートの居場所は吹奏楽です』と言っても、たぶん間違いじゃないと思います。

 だけど、それじゃあ、あまりにローカルな話でしょ。だって、フルートさんの大多数が吹奏楽をやっている国や地域って、たぶん日本ぐらいじゃないかな(不勉強なので、間違っていたら、優しく教えてくださいネ)。

 これって「お寿司と言えば…カリフォルニア・ロールでしょ!」と言われるのと、同じ事だと私は思います。

 つまり、代表的なお寿司としてカリフォルニア・ロールを挙げられたなら、平均的な寿司好き日本人としては「ちょっと違うでしょ!」と突っ込みたくなるのと同じ事なんですよ。

 やっぱ、平均的で平凡な日本人として考えると、寿司と言えば、いろいろと地方地方にローカルな寿司がある事は知っているけれど、それでもやはり、江戸前風の握り寿司を寿司の代表にあげるのが順当なところでしょ? で、江戸前風握り寿司と言えば、やっぱりマグロ(トロ)が代表選手でしょ? 「お寿司と言えば…マグロの握りだよね」って言いたくなるんです。いや、マグロがサーモンやイクラやイカやタコやコハダやエビやカニや納豆やデンブやキューリでもいいんです。ただ、カリフォルニア・ロールという江戸前風にぎり寿司の選択肢にない物を、寿司の代表としてあげられるのは、違和感バリバリって事なんです。

 でも最近寿司人気が高まったと言うか、定着しつつあるアメリカを始めとするヨーロッパ系の国では、寿司と言うと、握り寿司ではなく巻き寿司が一般的だし、その巻き鮨だって、日本風の海苔でシャリとネタを巻いた巻き寿司ではなく、ライスで具材と海苔を巻いたロールが一般的で、その一般的なロールの代表(?)がカリフォルニア・ロールとその亜流のロール系の寿司であって、アメリカンでヨーロピアンでウエスタンな世界では、ロールこそが寿司なわけです。

 たしかに、あちらじゃあ、寿司と言うと、カリフォルニア・ロールに代表される、ライスで具材を巻いたロールがポピュラーなんだし、それも知っているけれど、でも、一般的で平均的で平凡な日本人である私にとって『シャリでネタを巻く? なに、それ、美味しいの?』の世界です(カリフォルニア・ロールって美味しいんですよ:念のため)。

 「吹奏楽がフルートの居場所です」というのは、あまりに日本的で、ローカルな話すぎるのではないかと、私は思うわけで、それは「寿司と言えば、カリフォルニア・ロールでしょ」と言うのと同じで、実に地域限定で正解な話なんだと思います。

 なので、フルートの居場所が吹奏楽であると、私も半分そう思ってますが、ここはあえて、そっちの話にはフタをしてしまおうと思います(ごめんね)。

 さて、今回の話題の中から、吹奏楽は(申し訳ないけれど)横に置いた場合、フルートの居場所ってどこでしょうか? ピアノとコンビを組んでのソロ演奏? 孤高にソロ演奏? ボサノヴァとかショーロ、あるいはジャズ? いやいや、フルートアンサンブルでしょ?

 …ごめんなさい、わざと遠回りしました。やっぱり、フルートの居場所と言えば…オーケストラですよね。そう、フルートはオーケストラの楽器であって、オーケストラのハーモニーを形作る要素の一つ…と言うのが、フルートの本来的な役割であり、レゾンデートルであって、オーケストラこそがフルートの本来の居場所、なんだと思います。

 でも、オーケストラには、フルーティストって、せいぜい一人いれば十分だし、多くても三人いれば間に合うわけでしょ? アマオケも含めて考えても、日本にはオーケストラなんて、数えられる程度しかないわけで、そうなると、日本で必要とされているフルートさんの人数も、数えられる程度でしかなく、そんな少ない議席は、プロを始めとした専門教育を受けて育った方々で満席と言うか、それでも足りないくらいなんだから、私のような、ロートル初心者フルーティストさんの出る幕じゃないわけです。

 オーケストラのフルートさん…憧れだな。まるで夜空で見上げるプレアデスのような存在だよ。ま、夜空の星には手が届かないなら、届くところで自分なりの楽しみを見つける…のがオジサンの趣味ってモンですね。オーケストラがフルートの居場所なら、私にとってのオーケストラを探すだけの話です。

 それにしても、今回の記事は、脱線9割、本論1割程度の文章ですみません。いやあ、この先、もっと話を膨らますつもりだったんだけれど…書いてて疲れました。今日は、この辺で勘弁勘弁。いずれまた、このネタの続きを書くかもしれませんので、どうかそれまでご容赦ください。

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コメント

  1. operazanokaijinnokaijin より:

    大昔、お猿の居場所は、
    誠に居心地の良いジャングルだったのでしょうが、
    好奇心旺盛なお猿が、ジャングルを飛び出して、
    冒険し、
    進化し、
    人間になった、のでしたっけ?
    ヽ(^。^)ノ

    フルートの居場所として、
    誠に居心地の良いオーケストラ、から、
    モイーズ、ランパル、ニコレ、ゴールウェイが飛び出して、
    冒険し、
    進化し、
    ソロ楽器としてのフルートを確立した、
    なんて論法は、すとん様、いかがでしょうか?
    ヾ(=^▽^=)ノ

  2. すとん より:

    operazanokaijinnokaijinさん

     まあ、ロートル趣味オジサンの生きる道は、ソロ楽器としてのフルートであろうと言うこと、薄々感じていますし、そこに不満はありません。まあ、私の場合、気質的にも、オケよりもソロだろうなあって思ってますので、ソロでもいいんですが……フルートって、フルート名曲って奴が少なすぎると思いませんか?

     大半が、歌曲かピアノ曲かヴァイオリン曲のアレンジです。まるで、派手な姉たちのお古のお下がりを着せられている、腹違いの妹のような感じがして、なんかスッキリしないんだよなあ。

     シューマンやブラームスにフルート曲を書いてほしかった…とまでは言いませんが、ピアノのショパンに匹敵するような作曲家がフルートに現れなかった不運を呪いますよ。

     結局、フルートって、クラシックの王道であるロマン派が弱点なんだよね(残念)。

  3. Lucifer より:

    私はほぼソロ演奏しかしていないんですよね…
    なかなかフルートを必要としてもらえる環境に入る、こと自体が難しい印象です。

    知人の楽団さんがもっと近くならなぁ、と思わずにいられません。

    吹いてるクラシックはほぼピアノのアレンジになっちゃってるのでなんともです–;
    ショパンみたいなフルート専門曲は確かにあるとうれしかったですね(←ショパンの革命がエキエル版の楽譜取り寄せちゃうほど大好きで…弾けませんが…

  4. すとん より:

    Luciferさん

    >なかなかフルートを必要としてもらえる環境に入る、こと自体が難しい印象です。

     …ですね、ほんと、私もそう思います。なかなかそういう環境に身を置くことが難しいですね。

     需要と供給が見事にアンバランスなんでしょうね。この世に笛吹きはたくさんいても、笛吹きを必要とする環境が少なすぎるわけで、そうなればお上手な方たちからクジをひいていく訳ですから、私の頃にはスカしか残っていない訳です。

     ま、極端なスロースターターですからね、文句言いませんし、恨みもしません。

    >吹いてるクラシックはほぼピアノのアレンジになっちゃってるのでなんともです–;

     私はなるべくフルートオリジナル曲を吹くように心がけています。アレンジものを吹く時でも、ヴァイオリン曲を優先し、ピアノ曲は控えめに、歌曲は可能な限り避けています。

     理由は、ピアノ曲はポリフォニー音楽だから楽しいのであって、フルートで吹いてしまうと、魅力半減だと思ってますし、歌曲は…自分で歌えば、それでいいじゃんって思っているからです。

     でも、トラヴィアータとかカルメンとかは、自分では歌えないので、そういう曲はぜひフルートアレンジした曲で吹いてみたいですね。

  5. ひょっとこ より:

    そんなにこれはそれって型に嵌めなくていいんじゃ…
    フルート構造の横笛は世界中にあって、
    (縦のパンパイプ、サンポーニャみたいなのもあるけど。)
    日本でも雅楽、神楽、祭りその他各方面で使ってるし…
    既成概念から解き放たれるところから、
    次の面白いことに進むことも有る。

    別に今の枠の中で極めることが悪いことではないんだけどね。

    おまけ
    Spain by Chick Corea on Jazz panflute performed by Damian Draghici
    http://www.youtube.com/watch?v=NYzonR_4qxk

  6. すとん より:

    ひょっとこさん

     パンフルートの『スペイン』! これ、始めて見る画像ですが、カッコいいですねえ。たしかにこういうのを見ちゃうと「パンフルートの本来の居場所? そんなもん、どーでもいーじゃん。これ、カッコよくね?」とか思っちゃいますね。

     まあ、ひょっとこさんのおっしゃるとおり、型にはめる必要は全くないですね。

     ただ、私って人間は、本質的には堅物なので、すぐに「本来は~」とか「これが王道で~」とか、型にはめて考えたい人なんです。精神の老化現象…かもしれません。

     でも、パンフルートもかっこいいなあ…。

  7. su_zan より:

    ロマン派かあ。どうしても「しぼめる花」になりますねえ。
    ブリアコフさんがブラームスやらはりますが、雨の歌、どんなになるんでしょうか?
    ライネッケはどうですか?

  8. すとん より:

    su_zanさん

     そうね、ロマン派のフルート名曲っていうと、シューベルトの「しぼめる花の主題による序奏と変奏曲」がありましたね。我々、笛吹きには大切なレパートリーですが…一般人はもちろん、クラオタですら知らない、隠れ名曲でございます。…ってか、フルートの曲で、隠れていない名曲なんて、数えるほどだもの(涙)。

     今、アラン・マリオンで「しぼめる花」を聴きながら書いてますが…いいですねえ。

     ブリアコフのブラームスは興味あるなあ…、それ以前に彼のデビューCD買ってないや(汗)。後でポチしておかないと…。ライネッケは…私は好きだけれど、知名度ゼロだもんなあ。

     ショパンに匹敵するほどのフルート音楽の作曲家が現れなかったのが、フルートの不幸なんだよなあ…。ブツブツブツ…。

  9. su_zan より:

    ショパンは苦手なんよね。あの和音進行やらメロディ。
    精神面が複雑なかんじ。~_~;

    マリオン先生かあ。
    ゴールウェイもよかったな。
    マイゼンがあったかなあ。
    フルートどっぷりやから、ライネッケは有名すぎて
    やりたくないのね。笑
    そうかあ、そういうこともあるわけや
    クラリネットやったら、たくさんありましたね。ロマン派。
    フルートのフランスものは、どうですか?

  10. アンダンテ より:

    あぁ憧れのオーケストラ。
    大学生になったときは、オケに門前払い食わされて「フルート同好会」というヤワなサークルで楽しんでいましたが、「四十の手習い(を多少過ぎて)」でバイオリンに転向し、捲土重来!! こっちのほうが、遠回りなようでいてまだしも近道というのが、変な話ですが。

    フルートでオケに入るのは、アマオケといえどやっぱり狭き門ですよね。実は個人的な趣味ですが、ブラバンには興味がないので、フルートを復活させることがあるとすればフルート+ピアノという形式がメインになると思います。それって、かなり曲が狭いよねぇ。

    けど、私はなにしろピアノサークルに出入りしてますから、その場ではフルートというのは「毛色の違った」「レアな」スキルであって、プログラムのにぎやかしとしては重宝されると思うんですよね。これまた変な話ですが。

  11. すとん より:

    su_zanさん

     ショパンは、やっぱり、ピアノ音楽だからいいんですよ。彼はチェロ曲や声楽曲も書いてますが、ピアノ曲ほどではありません。彼はメロディよりもサウンドで攻めるタイプの作曲家なんだろうと思います。だから、おそらく、フルート曲を書いても、大したことなかったろうなあって思います。

     私はむしろ、シューベルトにもっともっとたくさんフルート曲を書いてもらいたかったなあ…って思います。歌を書ける人なら、キレイな旋律をたくさん書けるはずですからね。あと、ブラームスとかシューマンとかにも書いてもらいたかったなあ…。

    >フルートのフランスものは、どうですか?

     いいですね。もはや、救いはそこにしかないです(って、言い過ぎか)。

  12. すとん より:

    アンダンテさん

     そうそう、オケに入ろうと思ったら、弦楽器はいいですね。大抵の団で、常時募集してますから。それに、ヴァイオリンでは技巧的に難しくても、ヴィオラで入団という手もあるしね。オケに入りたいなら、弦楽器がお手軽です。フルートなんて、ほんと、狭き門ってやつですね。

    >フルート+ピアノという形式がメインになると思います。それって、かなり曲が狭いよねぇ。

     そうなんすよ、そこが寂しいところなんですね。

    >私はなにしろピアノサークルに出入りしてますから、

     それ、強味ですね。いや、ほんと、その気になれば、いつでも演奏可能ってのが、ちょっぴりうらやましいです。

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