声楽のレッスンに行ってきました。最近はもう、色々と忙しいので、レッスンに行く前から、ヘトヘトな私です。ですから、今回も発声は、一見、無気力に見えるほどに力の入らない声で歌ってきました。一応、脱力した声で歌っていたつもり(言い訳!)でしたが、途中で先生に「響き!」と注意されました。力みのない声と小さくて貧弱な声は違うのです。なかなかに難しいですね。
でも、声って、力一杯歌っても、力を抜いて歌っても、結果があんまり変わらないなら、力を抜いて歌った方が、なんぼも“お得”というものです。最近の私は、そんな境地です。力を抜きすぎてヘナヘナにならないように気をつけることさえ忘れなければ、OKなんだろうと思います。
で、コンコーネです。今回は10番でした。注意点は二つ。一つは、十六分音符をもっと鋭く歌うこと。とにかく十六分音符が甘すぎて、箇所によっては、ほとんど八分音符に聞こえるそうなので、もっと鋭い十六分音符で歌うことが大切です。
二つ目、18小節目の「F-(ブレス)-D」というところのDの音がちゃんと取れていなくて、その後の音がガタガタになってました。ここは音取りのやり直しです。
この二カ所だけに注意して、次回もう一度です。それと、次回は11番もやります。きちんと譜読みしておかないと。
「Il poveretto/哀れな男」は、なんと本日仕上げだったそうです。「ええ! そんな話は聞いてないよ~」と言うのは、私の言い分ですが、先生は「だって、次の曲、上げたでしょう」と言うことです。…ディスコミュニケーションって奴だな…。
とにかく、仕上げのつもりはなかったので、まだこの曲、80パーセントの出来ですぜ(涙)。
とにかく、暗譜で歌って録音してみましょう(ゲゲッ!)と言うわけで、ひとまず歌ってみました。アップした未完成バージョンをtake1とするなら、こっちはtake2という奴です。とにかく、歌詞がまだ完全にはカラダに入っていない自覚があるので、歌詞を飛ばさないように必死な思いで歌いました。自分としては、なんとか歌詞を飛ばさずに歌えたし、それなりに感情も入れて歌えたので、歌い終わった時には「結構イケルじゃん」って感じでしたが…先生は「take3を取ろうね…」というお言葉だし、妻は「声が抜けていないよねえ…」と、なんか不評でした。
120パーセントの力で、頑張ったんだけどねえ…。
先生がおっしゃるには、まだpとfの差があまりない感じなので、もっとpを語るように歌えと言われます。そのためには、ジェスチャーを付けて歌うのもいいだろうと言うことで、さっそくpの部分では両手の掌を下にむけたまま前に出すというジェスチャー(押さえて押さえて…とか、お静かに~…というジェスチャーですね)をつけることになり、しばらく自主練。
私が自主練をしている間に、先生は「Addio!」のピアノ練習。「Addio!」を聞きながら「Il Poveretto」を暗譜しなおして、フリまで暗記するのって、結構難行でした(汗)。
しばらくしたところで、またまた録音。今度はtake3という奴です。
…自分的には、かなり不満足な歌唱でした。と言うのも、ジェスチャーに気を取られて、気が散って、なんか感情がうまく歌に入らないし、歌詞は数カ所飛ぶし(発音がゴニョゴニョしている部分は、歌詞が飛んでます)、色々と不満な出来でした。あれあれあれ~って感じで歌っているので、最後の頃は、自暴自棄というか「こりゃ、ダメだ」という気持ちになっていました。そういう気持ちがあったせいか、最後で、またまた声の処理に失敗しております。ふう(涙)。
しかし……先生や妻のウケはよかったです。アレレ?って感じです。歌っている本人は不満足な歌唱なのですが、他人受けはなかなか良かったみたいです。つまりは、自己評価と他人評価が違うわけで、録音を聞いてみたら、確かにtake2よりもtake3の方が出来がいいんです。なぜでしょうね?
歌手は、自分の感覚で歌の出来を判断をしちゃいけませんね。と言うわけで、今回はこのtake3を最後にアップしておきますので、よかったら聞いてみてください。
「Il poveretto/哀れな男」は、これで仕上げなので、次は新曲の「Addio!/さようなら」です。
一週間前に曲が決まって、それから楽譜を練習用にコピーして(ちゃんと楽譜は購入してあるけれど、そっちに書き込みたくないので、コピーをして、そっちに色々と書き込んでます)、音楽用語を調べ、歌詞を訳し、譜読みをして音取りをして…一週間で間に合うわけがないじゃん! おまけに私、風邪をひいて、レッスンの時には言わなかったけれど、時間を見つけては寝込んでいたわけだし…。
ま、とりあえず、歌ってみましたが、ボロボロ。それはそれは、見事なくらいにダメでした。さすがに先生もアップしろとは言いませんでした。はい、次のレッスンまでには、もう少し歌えるようにしておきます。
特に後半の、まるでポピュラー音楽のようにリズムが難しくなる箇所は、形にすらなっていませんでした。リズム読みを丁寧に、決して崩さずに、きちんと譜面どおりに練習してくるように言われました。頑張ります。
それにしても、前回のレッスンから、発声が変わった私ですが、なんかいい感じです。声が楽に出るし、よく響きます。「Addio!/さようなら」の最高音のAsもスラっと出てしまったし…。先生がおっしゃるとおり、たぶん、私、今が発声のターニングポイントにいるんだろうと思います。ちょうど、階段をグンと登っている最中なんだと思う。
その発声関係で、先生からアドヴァイスがありました。それは「なるべく、ブレスはしないでね」という事です。歌うときに、なるべくブレスを減らす。回数を減らすのはもちろんだけれど、一回のブレスで吸う息の量もなるべく減らす。息はとにかく(気持ちの上では)なるべく吸わずに吐くだけにする。
そんな事を言われても、不安ですよね。歌っていて息が足りなくなるでしょ。高音を出す時にも息をたっぷり使いたいでしょ。だから、ブレスの時は、短時間で多量の息を思いっきり吸いたいですよね。でも、これは、全部禁止。息はなるべく吸わない。ちょっとだけ吸って、後は歌うだけにする。
やってみましたよ。そしたら…案外歌えるんですね。それどころか、ブレスしない方が楽に歌えました。
そう言えば、レーシングカーって、燃料を満タンにはしないんですよね。次のピットインまで走れるだけの必要最低限の燃料しか入れないでレースに臨むそうです。そして、レース中のピットインの回数もできるだけ少なくしておきたい。それと通じるところがあるのでしょうか?
レーシングカーは分かりませんが、歌に関して言える事は、私はカラダが大きいです(笑)。タッパもありますが、胸がぶ厚い。ほぼゴリラくらいあります(大笑)。つまり、何もしなくても、体内に多量の空気が常にあります。だから、歌うときは、この普通に体内にある空気を使って歌えばいいだけで、深呼吸をして、無理やり空気を取り込む必要はないのだそうです。空気をたくさん吸えば、逆に空気が吐ききれなくなって苦しくなって、空気には溺れるし、かえって息は短くなるし、カラダが肺でパンパンになって、体内の共鳴腔も狭くなるので、響きや音量的にも不利になります。だから、無理せず、体内にはなるべく空気を入れないで、あるだけの空気で歌い、余裕ができたカラダの共鳴腔を目一杯広げて歌えばいいのです。
これは、誰にでもできる事ではなく、ガタイの大きなテノールに許された特権だそうです。ですから、使わなきゃソンソンってところです。
しかし、ノドの力を抜いて、息も吸わずに歌えたら、ほんと、歌うのが楽になって、いいよねえ。
さて、では「Il poveretto/哀れな男」のtake3をアップしますが、今回は、歌詞と訳詩も付けます。訳はもちろん、すとん訳です。では、よろしくね。
Il poveretto/哀れな男
Passegger, che al dolce aspetto
優しそうな、道行く御方Par che serbi un gentil cor,
親切な心を持っていらっしゃる、そこのあなた、Porgi un soldo al poveretto
哀れな乞食にお恵みをche da man digiuno e ancor, digiuno e ancor.
ずっと何も食べていないのです。ハラペコなんです。
Fin da quando era figliuolo sono atato militar.
私は、若い時は兵士でした。E pugnando pel mio suolo ho trascorso e terra e mar;
我が祖国を守るため、陸でも海でも戦ってきました。
Ma or che il tempo su me pesa,
しかし時間は私に重くのしかかりOr che forza piu non ho,
今では何の力も持っていません。Fin la terra che ho difesa,
国は私を守ってくれません。La mia patria m’oblio.
愛する我が祖国は私を忘れてしまったのです。
Passegger, che al dolce aspetto
優しそうな、道行く御方Par che serbi un gentil cor,
親切な心を持っていらっしゃる、そこのあなた、Porgi un soldo al poveretto
哀れな乞食にお恵みをche da man digiuno e ancor, digiuno e ancor.
ずっと何も食べていないのです。ハラペコなんです。un soldo, un soldo.
お金を、お金を恵んでください。
音源は、こちらです。なるべく、寛容な心で聞いてください。
コメント
前より、うんと自由に歌っておられるので、聴いてて、気持ち良いですよ!
高い所で気張らずに、抜かすと高音も直ると思うのですが。
先生のピアノ、間違いが多いから歌いにくそう…
(先生、みてらしたらごめんなさい。)
>おぷーさん
高いところ、気張っているでしょ(汗)。どうにも高音恐怖症というか、トラウマのようなものがあって、たかがFなんですが、ちょっとビビってます。発声練習ではAはもちろん、BやHも調子が良ければ出しちゃうのに、歌になると、急に天井が低くなる私です。
特にFはチェンジの箇所という事もあって、フレーズの流れ方では、すごく歌いづらいです。このPoverettoのフレーズは、そのイヤなフレーズの流れ方をしてます。練習していても「たいして高くないけれど、どうにもうまくいかないんだよねえ…」とブツブツ言いながら練習してました。
まあ、もっとも、この録音の時は、ちょっと投げ出しちゃった部分もあるのだけれど、もし投げ出さなかったからと言って、ちゃんと歌えていたかどうかは、実は微妙です。
いずれにせよ、高音の出せないテノールというのは、存在価値がないので、少しずつ、トラウマを克服して、すんなり高音が出せるようにしたいと願ってます。
>先生のピアノ、間違いが多いから歌いにくそう…
ははは…、先生はしっかり見てますよ。ま、先生はピアニストではないですから。いや、むしろ、レッスンではピアノを弾いてくださらない声楽教師もいる中、いつも頑張ってピアノを弾いてくださるので、ありがたいです。
先生の名誉のために、ちょっとだけ書いておくと、先生はピアノを弾いている時も、ピアノには集中していません。私の歌の方に集中していて、あれこれチェックしながらピアノを弾いているので、ピアノ伴奏は二の次三の次という姿勢で弾かれています(そこは声楽教師の弾くピアノと言うわけで、本職のピアニストさんとは違うところですね)。
確かにたまにミスタッチがありますが、あれって、怪我の功名でしょうが、いいレッスンになっているんですよ。ピアノを聞いてピアノに支配されて歌っていると、ピアノのミスに歌が引っ張られてしまいますが、歌は歌として独立し、音程も自分で作りながら歌っていると、ピアノがどんなに荒れても、ちゃんと歌えるわけで、そういう練習になります。少なくとも以前の私は、ピアノに引っ張られて歌っていたので、ピアノが崩れると歌も崩れて、大変な事になってましたが、今は自分をしっかりと保って歌うようにしていますので、多少の事では動じなくなりました。
聴かせていただきました。
改善点は多いと思いますが、演技が入ったところがぐっと迫ってくる感じで良かったと思います。
声ののりも良い感じだと思いますよ。
ちょっと力んだだけでピッチが変わってしまうというのは私も悩みなのですが、どうしたらよいのでしょうね。
ピッチのことばかり考えていたら面白みのない演奏になりそうですし。
あ、そういえばブログに書く予定はないですが、これから月一程度でしばらくの間臨時の声楽レッスンがあります。(グループ)
講師の先生は私が求めていたタイプかも。(声質とかジャンルとか)
キング先生、声楽の先生にしてはとても弾けるほうですよね。
>Ceciliaさん
改善点はたくさん無いとね。改善点がたくさんあると言うのは、まだまだ良い歌が歌えるようになれる可能性がたくさんあるというわけなので、将来が楽しみです。頑張るぞ。それに今、色々と上達している最中なので、歌っていて、とても楽しいですよ。
確かに、力むとピッチもリズムも狂ってしまいます。これの対策は…力まないこと。これに尽きますが、問題は、頭で分かっていても実行できない事かな? 力まずに歌うって、難しいですよ。でも、頭でも分からない人よりは、だいぶマシと自分をなぐさめてます。
ピッチの事ばかりを考えてはいけませんが、やはりピッチは大切です。最近、そう思うようになりました。
そうそう、レッスンを受けるんですか。たとえ月一でも、たとえグループでも、受けると変わると思いますよ。声楽は独学が特に難しいジャンルだと思います。だから、何はともあれ、レッスンを受けられるようになるのは大切だと思います。がんばれ~。
>キング先生、声楽の先生にしてはとても弾けるほうですよね
と言うか、声楽教師には「本当に音大出ているの?」って尋ねたくなるくらい、ピアノが壊滅的な人が多いですからね。そういう意味では、キング先生はなかなかの腕前だと思いますが、当然、ピアニストさんとは比較になりません。ただ、歌伴奏としては、歌手の生態をよく知ってますから、歌いやすい伴奏をしてくださいます。
いくら上手くても、歌わないピアニストさんの伴奏って、実に歌いづらいものですからね。
そうそう、世の中には色々なパターンがあって、息子君のピアノの先生は、実は声楽科卒業で一時期は歌手としてご活躍していたそうですが、色々とご事情があって、最近は歌を封印してピアノ教師で頑張ってらっしゃいます。そういう、歌もピアノも、という二刀流の方もいらっしゃるんですね。
私はちゃんとした演奏を聞いたことがないのですが、おそらく歌伴させたら、無敵だと思いますよ。ただ、ダメ出しもキツそうだなあ…。
>声楽教師には「本当に音大出ているの?」って尋ねたくなるくらい、ピアノが壊滅的な人が多いですからね。
ピアノ科出身だからと言ってバリバリ弾けるというわけでもないんだなあと最近あらためて感じています。
私もそうですが楽譜がないと焦る人が多いですね。(あれば初見はできたとしても。)
簡単な歌の伴奏がその場で作れない人は結構多いです。一般的にはピアノ科出身ならこれくらいはできるだろうと思うのですが、案外できないものです。(ピアノ科の人でもこうなのだからと安心してしまう私ですが。)
それからたとえ伴奏がある程度弾けたとしても、どうも歌いにくかったりするというのも事実です。たとえ技術的につたなくても歌いやすい伴奏をしてくれる人もいますよね。
ところで受講予定のレッスンですが、7回あって一回二時間。体の使い方~呼吸のコントロール、音域拡張、口の中の空間や口の形、美しい音色の作り方、旋律の歌い方・・・が内容です。(全部は書きませんでしたが。)
発表会もあってCDにしてもらえるそうですが、共通の課題(コンコーネ)以外に合唱曲があり、希望者はソロを選択できます。
友人と参加しますが二人で今からわくわくしています。
>Ceciliaさん
歌に限らず、伴奏ってのは、難しいんだと思いますよ。
ピアニストさんって、基本的にソリストだと思います。一人で音楽を考えて、一人で演奏をして、一人で完結させちゃうわけで、そういう意味では、ひとり上手な方が揃っているわけです。だからこそ、アンサンブルの練習をしたり、体験を積み重ねてこなかった人は、伴奏一般が苦手だと思います。
伴奏なのに、歌とのバランスとか、ブレスの都合とか考えずに、バリバリ弾きまくるピアニストさんと出会った事があります。「もう少し、歌に合わせてよ~」とお願いしたら「私はきちんと楽譜どおりに弾いているんだから、あなたの方こそ、ちゃんと歌いなさい」と言われた事があります。聞く耳持たないって感じでした。
それはクラシック系の音楽の話ね。あと、歌伴奏だと、ポピュラーソングの伴奏というものあって、これも結構やっかいみたいです。
合わせモノの経験があっても、ポピュラーソングはクラシック系の音楽とは、ルールがだいぶ違いますから、苦労されているピアニストさんはたくさんいるみたいです。
五線譜に翻訳された楽譜があれば、多少はニュアンスが変わることはあっても、まだなんとかなるみたい(でも、やっぱり歌いづらいです)ですが、「楽譜はありません」とか「メロディ譜しかありません」とか「コード進行表しかないけど…」なんて事になると、お手上げって方は多いです。
電子オルガン(エレクトーンとかドリマトーンって奴ね)とか、ジャズピアノやロックバンドをやっていた人ならともかく、普通にピアノを勉強しただけでは、ポピュラーソングに太刀打ちするのは無理なんじゃないかな?
ところで、Ceciliaさんのレッスン、全7回の割には、盛りだくさんみたいですね。Ceciliaさんならついていかれるだろうけれど、本当の初心者さんだと、消化不良を起こしちゃいそうですね。
発表会があるというのは、魅力ですね。Ceciliaさんは、合唱で行くの? それともソロで行くの? 両方やっちゃうってのはできないのかな?
私はソロを希望していますが合唱もやってみたいです。
でも詳細ははじまらないとわからないです。
発表会は素敵なホールで伴奏者がいて、CDも作ってくれるそうです。
受講料も超お得ですが、発表会費も込みですね。
もっとも遅い時間な上、私にとって非常に遠い場所です。
月1程度なので家族に協力してもらって・・・という感じですね。
>Ceciliaさん
そうですか、時間と場所が不便なんですか? でもリーズナブルな参加費で、受講内容も魅力的で、素敵なホールで発表会付きなら、ぜひ行きたいですね。レッスンの時間が、Ceciliaさんにとって、充実した時となりますように、お祈りいたします。