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終わりがくれば悩みも消える…発表会 その4

 一曲目をボロボロにしてしまった私は、ある意味、落ち着きました。今日はまともに歌えない。ならば「歌えないなりにうまくやらなきゃ…」って覚悟を決めました。

 レハール作曲の「Dein ist mein ganzes Herz/君は我が心のすべて」は、体調万全でも、ヘトヘトになってしまうくらいの曲です、当然、本日の私にきちんと歌えるわけがありません。ですから、今回は安全第一で歌う事にしました。いつもは高音を駆使したカデンツァを歌う私ですが、今回ばかりは、安全のためにカデンツァを歌わずに、楽譜通りに歌ってみました。いやあ、実につまらない。でも、今の私には、それすら贅沢な感じです。

 しかし、レハールを歌っていた時は、ベッリーニ以上に、カラダが閉じていたと思います。比較的簡単なベッリーニで失敗してしまったために、心が折れていたのかもしれません。ほんと、声が出ません。高音箇所はダメですが、せめて中音低音の箇所だけでもきちんと歌いましょうと決めました。それがきちんとできたかな?

 とにかく、悪夢のような時は過ぎ去り、ソロ曲は終わりました。もう、逃げ帰りたくなりました…が帰るわけにはいきません。二重唱がありますからね。

 とにかく自分のステージを終えると、楽屋に引っ込まずに、妻の待つホールに向いました。休憩後の第2部まで出番のない私なので、他の方々のステージを見物したわけです。

 それにしても皆さん、実にそつなく歌ってますね。それに上手。歌のカタチを壊しちゃったのは、私ぐらいです。ううむ、実に身の置き所がないです。

 第一部が終わると、そのまま全員舞台上に集合して“集合写真”の撮影です。歌がダメなら、せめて写真だけでも存在感出さないと…と思って、隅っこでおとなしく写りました(へへ)。

 写真撮影が終わると、急いで着替えです。第二部の私たちの出番は、やっぱり比較的早い順番ですからね。

 私の前の二つのステージは、Y先生が生徒さんと一緒に二重唱を歌っていました。歌をスピーカーで聞いていた感じでは、なかなか良い感じに聞こえました。生徒さんはともかく、先生はあれこれと演技をしながら歌っていたそうです。ああ、残念。先生のステージを見たかったなあ。

 そんな感じで、私たちの番になりました。登場の挨拶は無しで、板付きの状態で歌い始めました。

 何の不安もありません。流れるように歌かクチから出てきます。演技の方も、いい感じでネモリーノが降りてきたので、私は何にも煩わされずに舞台を務めました。

 夢中で歌って、歌い終わったところで、思いっきりの拍手と「ブラボー!」の掛け声をいただきました。うむ、今回の発表会で「ブラボー!」が出たのは(自慢だけれど)私たちの、この二重唱だけでした。

 実際問題として、声の調子はよくありませんでしたが、演技に没頭して動いていると、それに伴って声って出るものなんですね。なにしろ、私は憑依型の俳優ですから(笑)。演じ始めると、我が無くなりますから、そこが良い方に転がったんでしょうね。先生からも「すとんさんは、ただ立って歌っているよりも、演技をしながら歌った方が、絶対いいね」と言われました。たぶん…ほめ言葉だよね。

 ミスがなかったわけじゃないです。音楽的には大きな失敗もしてますが、ステージとしては、今回の二重唱は、大成功だったんじゃないかな? 自画自賛ですが、とても良い二重唱ができたと思います。Nさんも喜んでくれたようで、発表会に参加できて、よかったなあ。

 ちなみに、この二重唱の音源は某動画サイト[あなたテレビ]にアップしてあります。でもね、そのアドレスを教えちゃダメよと約束しているので、ここには書きません(ごめんね)。でもまあ、探せば見つかるかもしれません(笑)。

 とにかく、これで私の発表会での出番は終わったわけです。大きく息を吐いて、着替えて、再び妻の待つ客席に向かった私でした。

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コメント

  1. 椎茸 より:

    お疲れさまでした![E:happy01]
    不本意なことが多かったようですが、ニ重唱は素敵な演奏になったようで、よかったですね。
    またがんばってくださいね!

  2. すとん より:

    椎茸さん

     人生と言うか、世の中と言うのは、たいてい、自分にはつらいものです。今回も、そうだっただけの話です。

     しかし、今回の発表会こそは、きちんと出来るって思ってたのになあ。実に残念です。

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