発声練習とは、歌う前の準備運動でしょうか? 確かにそんな側面はありますし、実際、アマチュア合唱団が練習前に行っている発声練習などは、その程度の意味合いしかないと思います。
まあ、それはそれで大切な事です。歌も運動という側面がありますから、準備運動無しでいきなり歌いだしたら、呼吸筋をはじめ、あっちこっち痛めてしまいます。準備運動は大切です。
とは言え、本来の発声練習というのは、筋トレを目的として行っているのだと、私は考えています。
筋トレです。どこの筋肉を鍛えているのかと言えば、呼吸筋であって、呼吸筋を鍛えるためのトレーニングが発声練習なのだと理解しています。要は歌うための声を鍛えるため、歌うための声を作るために、発声練習を行うのです。
呼吸筋を鍛えて、声を鍛えます。声を鍛えて、声域を広げ、声に深みを加え、声に響きを加えます。そして、最終的には声量を増やしていきます。
だから発声練習では、無理はしないが、色々とギリギリを狙ってトレーニングを行う必要があります。と言うのも、筋肉ってやつは、追い込まれる事で増えていきます。たからギリギリまで追い込む必要があるのです。
さて、ここで気をつけないといけない事として、声帯は筋肉だけれど、筋肉だけではなく、その上に粘膜が存在しているという事です。筋肉は鍛えれば鍛えるほど強くなっていくわけだけれど、粘膜は鍛えられないものだし、使いすぎると壊れてしまうものだという事です。
だから声帯には無理を掛けられないし、追い込んでもいけません。声帯は意外と弱いのです。
声帯に関しては、声帯周辺の筋肉を鍛えつつも、粘膜を守らないといけないのです。だから、発声練習ってやつは、いわゆる普通の筋トレとは違って、注意深く行わないといけないのです。
無理は決して行っていはいけないのです。
この世には、ハスキー・ヴォイスというのかありますが、あの声は、はっきり言ってしまえは、声帯が壊れて音声障害となってしまった声なのです。ハスキー・ヴォイスの正体は、声帯の粘膜部分が部分的に壊れて変形してしまったため、きちんと声帯が閉じられなくなり、振動がうまくいかなくなって、かすれるようになってしまった声なのです。
ハスキー・ヴォイスは不可逆性の障害なので、一度ハスキー・ヴォイスになってしまったら、もう元のクリアな声には戻りません。なので、ハスキーな声にならないように、気をつけて発声練習をしないといけないのです。
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コメント
こんばんは。
>筋トレ
ご存知かとおもいますが、フルート業界ではタンギングなしでFuFuと腹筋・横隔膜を使う練習があります。
某氏はモーツアルトのフルート協奏曲をタンギングなしでFuFuでさらっていたとか。
こちらはとてもできず、レッスンに持っていけません。
失礼しました。
tetsuさん
私はもちろん、フルート協奏曲等の難曲を吹けるほどの腕前はありませんが、大抵の曲は、タンギングではなく、FuFuと腹筋・横隔膜を使うやり方で吹いていました。なぜって? その方が楽だし自然だからです。声楽をやっているので、呼吸筋は鍛えているので(それでも声楽基準では弱々なのですが)フルート演奏程度ならば無問題だったのです。
先生からは、タンギングを使わなくても構わないけれど、タンギングを使わないのと、タンギングが出来ないのは違うから…と言われて、一時期、集中的にタンギングの練習をさせられていた事は、いい思い出です。