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ピアノ合わせに行ってきた

 ピアノ合わせとは“伴奏合わせ”とも言って、要は本番に向けて、伴奏してくれるピアニストさんとの打ち合わせ…と言うか、実際に本番ピアニストさんのピアノで歌ってみて、互いに色々と調整する機会です。難しい曲とか大曲とかをやる時は、かなり綿密に合わせないとうまくいかないのだけれど、私らアマチュアの発表会程度だと、テンポを確認したりとか、助けてほしいところを言ってみるとか…まあそんな感じです。
 以前は、練習の時から、本番でピアノを弾いてくれる自分たち用のピアニストさんをお願いしてレッスンを受けていたので、特にピアノ合わせはしていなかったのですが、コロナ禍の昨今は、発表会で自分たちのピアニストさんをお願いして伴奏してもらうのが難しくなったので、前回の発表会から、先生が用意してくださった公式ピアニストさんに伴奏をお願いしていますので、そのためのピアノ合わせが必要となったわけです。
 で、ピアノ合わせです。本番で歌う順で合わせてみましょうという事で、最初は「Amarilli/アマリッリ」です。
 この曲はイントロがありませんので、そこは打ち合わせが必要です。Y先生からは和音を弾いてもらうか、出だしの音を弾いてもらうか、どちらにするか?と尋ねられたけれど、別にどちらでも良かった私が答えあぐねていると、じゃあ両方にしましょうって感じで、和音を弾いてもらってから出だしの音を弾いてもらうことにしました。
 なんか、出来ない子みたいですが、実際、出来ない子なので、まあいいんです。
 曲のテンポは…私が歌いだしたテンポに合わせてもらいました。これもイントロが無いからできる事です(汗)。で、歌い始めたら、私は自分のことで精一杯なので、歌い始めたら、とにかく“歌にピアノを合わせてもらう”感じでお願いました。
 正直な話、この曲は自分との戦いなのです。選曲した時は、この曲がこんなに大変になるとは夢にも思っていなかったのです。大変、大変…なのです。今の私にとっては、とにかく声を使わないようにして歌う曲で、歌って気持ちよくなる事を避けて、色々な欲に対して我慢し続けて歌う曲なのです。
 なるべく声を使わない。なるべくノドを鳴らさない。しかししっかり声は支える。息はしっかり吸ってきちんと吐き出す。声を息に乗せて遠くに飛ばして歌う。
 ひたすら発声の事を考えて歌います。表現に気が行ったら、私の場合は負けです。良い声を出そうと欲をかいたら負けです。とにかく、ストイックに発声の事だけを考えて、良い意味で機械的に歌うのです。そうしないと、今の私ではこの曲は最後まで歌いきれません。声が無くなるか、腹筋が疲れ切って動かなくなります。かなり厳しいのです。
 なので、ピアノに構っている余裕はありません。基本はインテンポで歌うのですが、それでも発声を優先して、かなり自由に歌わざる得ない箇所もあります。もう、そういうところはピアノに付いてきてもらうだけです。
 ひとまず、一回目は最後まで歌い切りました。二回目は…さすがにパスです。短時間で二回繰り返して歌えるほど、この曲は楽じゃないです。先生がおっしゃるには、この曲は私の声には重くて、まだこの重い曲を歌えるほどの力量ではないようですが…でもこの曲を歌いたいのだから仕方がないのです。
 次は二重唱です。ヘンデルの「As steals the morn upon the night/暁が夜に忍び込み」です。テンポを練習の時よりもやや早めに設定しました。お陰様で歌っている時に、息切れする事が無くなりました。ところどころでテンポを緩めてもらってますので、音楽に追われて歌の準備が間に合わないという事もなく、結構いい感じで歌えました。さすがはプロのピアニストさんです。かゆいところに手が届く伴奏です。
 歌そのものは…我々ですから(笑)、まあ、こんなモンでしょう。
 Y先生からの注意は、下降フレーズだとフレーズ終わりで声が墜落しがちなので、しっかりと声を持ちこたえるように言われました。確かにそんな感じはしていました。あと、ところどころ(まだ)釣られてソプラノのフレーズを歌ってしまうところがあるので、注意されました(汗)。三度下を歌えばいいのに、少しでも高い音を(無意識に)歌いたくなってしまうのです。反省反省。ちなみに、ソロの箇所で、音程がヤバいところは、全部ピアニストさんに助けてもらいました。
 最後はドニゼッティの「Quanto e bella/なんと彼女は美しい」です。テンポは一般的なテンポで歌いましたが、私の歌はかなりテンポが揺れるし、あっちこっちでお休みをたくさん取ります。普通のピアニストさんだと、事前にどこでどれくらいの休憩を取って歌うのかを指示しておかないとうまくいかない事もありますが、今回は特に指示をしなくてもピアノが付いてきてくれるので、とても助かりました。伴奏に慣れていないピアニストさんだと、揺れる箇所や休む箇所を事前に指示していたとしても、実際にはそれらをいちいち確認しないといけないのですが、歌っている中でそれらを感じ取ってもらえると、その分、歌に集中できて助かります。何しろこちらは自分の事で手一杯ですからね。
 Y先生からは、フレーズの出だしで「どっこいしょ」って感じで歌わないように言われました。もっと軽々と歌えればいいのですが…ね。
 というわけで、ピアノ合わせ…と言うか、ピアニストさんの歌合せが終わりました。大変ご面倒おかけしますが、よろしくお願いします。

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コメント

  1. オペラ座の怪人の怪人 より:

    私の家人(有名では「ない」音大卒)も、
    昨日、お歌レッスンの発表会の、ピアノ合わせでした。
    曰く、あまり伴奏慣れしていないピアニストだったそうで、
    結構、合わせづらかった、とか。
    家人は、音大で、ピアノ専攻ではなかったけど、
    まあ、結構、ピアノは一生懸命やっていたそうで、
    曰く、私の先生は、指導している学生に対して、
    ピアノ伴奏はすごく勉強になるから、しっかりやりな、と。
    しかし、ピアノの先生も色々、
    伴奏なんかをやるよりも、自分のソロ(独奏)の練習に時間を使うべし!
    とおっしゃる先生もいた(いる)とか。
    まあ、色々ですなあ。
    我らが吉田雅夫さんが、急遽、モーツァルトフルート協奏曲をやることになって、
    外国人指揮者と急遽打ち合わせ。
    ところが、その指揮者さん、よ~く分かっていて、
    曰く、俺はウィーンであらゆる協奏曲のピアノ伴奏(のアルバイト?)をやった。
    俺ほど、協奏曲が分かっている指揮者はいないだろう。
    てなエピソードが、吉田さんのご著書に書いてありました。
    ところで、冒頭に書いたお歌レッスンの先生は、
    東京芸大の院まで出ていて、博士号も取っていて、
    イタリア留学までやっているけど、
    でも、決まったポジション(教授とか、常勤講師とか、○○歌劇団とか)には
    就けていないそうで、
    「音楽の友」のインタビューを受ける機会もなく、
    非常勤講師の職とアマチュアの指導で糊口をしのいでいるらしく、
    ほんと、プロの世界も大変ですなあ。
    ( ̄▽ ̄;)  ( ̄~ ̄;)  ( ̄□ ̄;)!!
    (-A-) (-A-) (-A-) ← ざっくぅ
    おしまい

  2. 如月青 より:

    ピアノ合わせ、お疲れ様です。
    こちらも29日が発表会で、レッスンはあと一回しかないので、ちょっと怖いです。
    ドイツ語の発音を古いほうから新しいほうに直すのに手間取って、最後まで歌わせてもらえるか不安です。
    ピアノ合わせ、事前にしてもらえるのは羨ましいです。こちらはリハーサルの時だけなので。「Auf Wasser zu singen」は出入りに気をつければなんとかなりそうですが、「Baches Wiegenlied」はピアノとハモるところが3か所あって、つられそうで心配。歌のほうが3度上ですが、ピアノのほうが早く出るので、むしろ聞かないほうがいいかも、というところです。
    >なるべく声を使わない。なるべくノドを鳴らさない。しかししっかり声は支える。息はしっかり吸ってきちんと吐き出す。声を息に乗せて遠くに飛ばして歌う。
    これはどの曲でも基本ですね。私もレッスンの度に言われるのですが、なかなかコツがつかめません。
    「ノドぼとけの位置をうごかさない(舌根を下げる)」のがカギだと思いますが、息を吸った直後のノドの状態を保てば、腹筋から副鼻腔までの息の流れがまっすぐになり、力任せに息を押し上げなくてよくなるので、腹筋の負担も減るようです。
    下手するとノドの付け根に力がかかってしまいますが、これは上あごを挙げて力点をずらず。真上というより、斜め前という感じで副鼻腔への通り道を意識すると結構うまくいきます。
    いつも、とはいきませんが、↑ができるとh2くらいまで割と楽に出せるので楽しいです。ただ、自分の場合、生来ノーテンキな声がますますケーハクになったように感じます。
    ドニゼッティを歌うにはよいかも、ですね。

  3. すとん より:

    オペラ座の怪人の怪人さん
     ピアニストさんは、ソリスト志向の人と、アンサンブル志向の人の二種類の人がいると思います。歌とかフルートとかの伴奏には、アンサンブル志向の人でないと厳しいですよね。以前、ソリスト志向の人に伴奏を頼んだ時は…いやあ、全く寄り添ってもらえずに、まるでピアノの下僕のような扱いを受けて難儀しました。やはり伴奏ピアニストさんはアンサンブル志向でないとダメっす。
     指揮者さんは究極のアンサンブル志向の人だし、ピアノが上手な人も多いので、伴奏をしてもらえるなら、ある意味、専業のピアニストさんよりも良いかもしれません。指揮者の知り合いはいますが、ギャラを考えると、怖くて頼めません(汗)。指揮者って単価が高いんだよね。
     音楽家の中には、演奏活動を重視するために、あえて決まったポジションにつかず、学校もせいぜい非常勤講師止まりにして活動している人は大勢いますが、怪人さんのお知り合いの先生は…そういうタイプなのかな? じゃないのかな?って感じですね。アマチュアの指導もやり方次第では、大口の安定した稼ぎ先になりますが、どうなんでしょうね。プロの世界も厳しいですから…。

  4. すとん より:

    如月青さん
     ピアニストさんに関しては、私は恵まれていると思います。普段は、レッスンも一緒に付き合ってくれるピアニストさんに伴奏をお願いできますし、今回のような公式ピアニストさんにお願いする時でも、最低でも本番前に2回と、リハーサル(ってかゲネプロ)の時にもう1回合わせてもらえますので、かなりピアニストさんに寄り添ってもらえるし助けてもらえます。で、その公式ピアニストさんは、某有名音大の大学教授さんで、各種コンクールなどでも審査をされるほどの人なのですが、そういう人に伴奏してもらえるというのも、Y先生のコネの力(Y先生は本当に顔が広くてコネが強い人なんです)なので、本当に感謝しています。
     なので、結果の出来不出来は、決してピアノのせいにはできない私なのでした(汗)。

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