スポンサーリンク

強い声と怒鳴り声は、根本的に違う

 強い声と怒鳴り声は違います。また、大きな声と怒鳴り声も違います。また、言葉では「違う」と言いつつも、実のところ、どう違うのか、よく分かっていない人もいます。
 私なんかは、もっとひどいタイプの人でした。何しろ、今思えば、歌声と怒鳴り声の区別がついていなかったような気がします。
 怒鳴り声。非音楽的な音声です。その人が本来美しく出せる最大音量を超えて、大きな声を出そうとして、結果としてノイズを多く含んだ、割れてしまった声です。いわゆる“過入力”ってヤツです。力を入れてガチガチになった声帯に必要以上の量の息を送り込んで作った雑音多めの声ってヤツですね。
 とにかく、力を込めて発声するし、音量も大きいし、疲労も激しいです。でもその分、不思議な充実感は得られます。
 昔々の私は、歌うとなると、大きな声を出そうとして、怒鳴っていたような気がします。とにかく子どもの頃から学校で「元気に大きな声で歌いましょう」という指導を受けていましたからねえ(汗)。実際のところ、歌っているつもりで、怒鳴ってしまっただけなんですが…ねえ。当時はまだ、ちゃんとした発声の仕方を知らなかったんだから、仕方ありません。
 怒鳴り声はノイジーな声ですから、合唱の中にいても、キレイにハモれませんし、合唱の美しさをぶち壊します。声としては異質ですから、悪目立ちするし…ね。声の消耗は激しく、怒鳴り声では一曲まともに歌えません(そりゃそうだ)。
 本人は怒鳴っている自覚がないのだから、周囲(特に指導者)が注意しなければ直りませんが、不幸にもそれを指摘してくれる指導者と出会いませんでした。不幸でした。
 高い声を出すには、息を速い速度でノドに吹き込んでいかないといけません。それがやり方が分かっていないと、怒鳴り声になってしまいがちです。実際、怒鳴り声って、地声よりも、ちょっぴり声が高くなっているし…ね(笑)。
 そもそも(古典的な)邦楽の発声って、ノドにガチガチに力を入れて唸るノイジーな発声が良しとされています。ノイジーな発声を好む人だと、ついつい怒鳴って歌ってしまうのかもしれません。洋楽でもブルースとかソウルなどは、ハスキー・ヴォイスというノイジーな声を好むでしょ? ハスキー・ヴォイスの使い手の中には、ほぼほぼ怒鳴っている人もいるし、クラシック声楽以外の世界では、怒鳴り声も良しとされていたりはします。
 日本人は、DNA的に怒鳴り声を良しとしてしまう人々なのかもしれませんが、少なくともクラシック声楽の世界では、怒鳴り声はアウトです。もし周囲に怒鳴り声で歌っている人がいたら、それとなく教えてあげると良いかもしれません。だってきっと、本人は怒鳴っている自覚が無いと思うんです。

↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。

にほんブログ村 クラシックブログ 声楽へ

にほんブログ村

コメント

タイトルとURLをコピーしました