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勇気ある撤退をします

 声楽のレッスンの続きです。
 曲の練習に入りました。まずはシューベルトの「美しき水車小屋の娘」着 6番「Der Neugierige/知りたがる男」です。
 練習に先立って、この曲集の歌をすべて学び終えたら、ソロコンサートを開いて、全曲を通しで歌いましょう…みたいな事を先生から言われてしまいました。
 ううむ、この曲集は全部で20曲あるんだよ。今まで3年かけて6曲学んできたわけだけれど、あと14曲も残っているわけで、単純計算であと7年かかるわけです。さらに、全曲を学び終えたところで、最初の方は忘れているだろうから、それらの復習と暗譜で、最低1年ぐらいの時間が必要だろうから、ソロコンサートは8年後って事になるけれど、私、8年後まで生きている自信は無いよ。仮に生きていたとしても、歌える状態がどうかは微妙だよね。
 私の両親も曽祖父母も、そんな年齢の時は、すでに高みに登っているか、生きていてもかなりヨイヨイだったもの。お年を召されても元気な方は大勢いらっしゃるけれど、私の場合は、血統的に短命な家系だし、今現在ですら日々老いを感じるほどに、みるみる弱っている現状を踏まえると、マジで8年後は生きているか分からないし、生きていても歌える状態かどうかは分かりません。そんな私に「美しき水車小屋全曲コンサート」なんて、まあ夢物語だよなあ…。
 と、心の中でぼやいてみたものの、クチには出さずにレッスンを受けました。
 今回のレッスンのメインは中低音の歌い方です。私はイタリアオペラが大好きだし、普段聞くのもイタオペなので、ある意味、イタオペが体に染み込んでいる野郎なのですが、ドイツリートを歌う時は、イタオペのような歌い方は厳禁なのです。
 イタリアオペラでは、感情をほとばらせながら開放的に歌っていくわけですが、ドイツリートでは、そんな乱暴な歌い方はダメです。ドイツリートでは声の響きに統一性を持たせないといけません。響きに関して言えば、高音は中低音のように、中低音は高音のように歌う訳ですが、これって、ある意味、人間の生理に反する歌い方ですから、歌っていて心情的に苦しいのだけれど、その苦しさに喜びを感じられるようにならないとドイツリートは歌えない!と、先生はおっしゃるわけです。
 つまり、イタリアオペラが感情を開放する歌ならば、ドイツリートは禁欲的に節制していく歌…というわけです。そりゃあ、私には無理じゃね?
 次はイタオペです。ヴェルディ作曲「リゴレット」の「La donna e mobile/女心の歌」です。この曲は、歌も難しいけれど、ピアノもだいぶ難しいようで、先生も苦労されていました。
 この曲は緩急付けて歌うことが大事です。全部を全力で真面目に歌ってはいけません。そんな事をしたら、ノドが壊れちゃいます。頑張るところはしっかり頑張らないといけませんが、楽ができるところは徹底的に楽をしないと、最後まで声が保ちません。
 私は基本的に真面目人間なので、頑張るところを頑張るのはできますが、楽するところもついつい頑張ってしまうので、そこは意識的に楽をするようにします。つまり“頑張って楽をする”わけです(笑)。特にこの曲は、能天気な曲なので、頑張るところですら、表面的にはリラックスしてチャラけて歌わないといけないので…頑張ります。
 最高音Aに関しては、カラダが固まらないように気をつけて歌っていけば、何とかなります。だってこの曲は、歌い手がAを出せるように作曲されているのだから。なので、しっかり歌う手順を踏む事とリラックスができれば、最悪、力技でもどうにかなるのです。
 本当は力技ではなく、通常技としてAが歌えるのがベストですが、まだまだ私の力量では、力技に頼らざるを得ないわけです。そのためには、もっと腹筋を鍛えて、もっと力強く息を吹けるようになる必要があります。
 最後のバリエーションについて。一応、自宅練習では何度かチャレンジしていますが、正直、歌える気がしません。なので、今回は勇気ある撤退を選択せざるを得ません。
 このバリエーションでは、最高音Hが2度出ます。最初のHは、確率的にはだいぶ低いのですが、力技で何とかならないわけではありません。かなり危険な博打にはなりますが…。でも、2度目のHは…絶対に無理です。これ、ファルセットじゃなきゃ無理ですが…テノールではファルセットは禁忌ですから、使うわけには行きません。確実に実声でHを出さなきゃいけないわけで、それは普通の生身の人間には無理な話だな…と肌で感じております。
 先生がおっしゃるには、通常の発声テクニックで歌えるのは高いAまでなんだそうです。だから今は、Aまでを通常技として歌えるように技術を高めていく事を目的として勉強しているわけです。そこより高い音、B♭やHやCを発声するためには、それぞれ別々のテクニックが必要なので、そうなったら、別の先生の紹介するから…と言われましたし、その先生のお名前も教えてもらいましたが…思わぬビッグネームが出てきてビックリしました。いやあ、そんな有名な歌手さんのレッスン代なんて、1回数万円かかるでしょ? そんな方のお弟子になるなんて…いやあ、とても払いきれないよ…と、取らぬ狸の皮算用で、ちょっぴり青くなる私でした。
 いやはや、現役引退して年金生活者になったら、それはかなり無理な話だと思うよ。

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