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アマチュアなんだから、何を歌っても良いじゃん!

 声楽の音楽ジャンルの特徴として、歌手の性別&声種によって、歌うべき曲とか歌うべきではない曲があるという事です。もう少し分かりやすく書けば、一般的に、異性のために書かれた曲は歌うべきではないし、自分の声種のために書かれた曲はどんどん歌っていくべきなのです。
 例えば、私はテノールなので、テノールの話を書きますと…「アヴェ・マリア」という曲があるじゃないですか? 数多くの有名作曲家の皆さんが書かれた名曲がたくさんある「アヴェ・マリア」は、私も大好きな曲ですが、これらの曲は一般的に女性が歌うべき曲であって、男性が歌うべき曲ではないとされています。まあ、マリア様自体が女性のための神様であるわけだし、歌詞も女性視点で描かれていたりするし、メロディも女性向けに書かれていたりするからでしょう。実際、作曲家たちの想定でも女性歌手を念頭において書かれているわけで、男性歌手は歌うべきではない…と言えなくもないわけです。
 とは言え、絶対に男性が歌ってはいけないというわけではありません。でも男性が歌うとしたら、かなりの勇気がいります。
 本音で言えば、私も「アヴェ・マリア」を歌ってみたいです。自宅や遊びでは、ちょっと歌ってみたりしますが、レッスンに持っていったり、人前で歌うとなると、ちょっと躊躇してしまいます。一応、これでも音楽的常識ってヤツは標準搭載されていますので、ひいてしまうんですね。
 逆に、トスティの名曲の数々等は、積極的に歌うようにしています。と言うのも、トスティの名曲の多くは、トスティ自身がテノール歌手だった事もあり、テノール向けの曲が大半を占めています。だから積極的に取り組んでいます。
 他にも、シューマンで言うなら「詩人の恋」は男性向けの曲集だと思っていますし、「女の愛と生涯」はタイトルから見ても女性向けの曲だと思ってます。
 「女の愛と生涯」をテノール歌手が歌っても良いのかもしれませんが、何か理論武装をしてから歌わないと、自分自身しっくり来ないんじゃないかって思います。少なくとも私の場合「詩人の恋」も歌っていないのに「女の愛と生涯」を歌うのはおかしいって感じます。もっとも「詩人の恋」を歌った経験があれば「女の愛と生涯」を歌ってもいいのかと言うと…それもなんか歯切れが悪くなります。
 何が言いたいのかと言えば、オペラのアリアはもちろんだけれど、歌曲であったとしても、歌手の性別とか声種とかで、歌うべき曲、歌うべきではない曲ってのが、結構あるもんなんだぜって話なのです。
 で、それを踏まえた上での話だけれど、やはりアマチュア歌手に関しては、アマチュアなんだし、自由なんだし、好きにやればいいんだから、歌うべきではない曲とかでも、歌いたければドンドン歌っちゃえばいいと思うし、自分の声に合わなくても歌いたければ歌えばいいのです。
 男性であっても「アヴェ・マリア」を歌っちゃえばいいわけだし、女性がトスティを歌ってはいけないという決まりもないのです。
 たまに耳にする、バリトンの方が、低めに移調してテノールアリアを歌う…だって、一般的にはNGなのでしょうが、私はその曲を歌いたいという強い気持ちがあれば、自分の声に合っていないとしても、そこは曲を移調するなどして、自分の声に合わせて歌っちゃえばいいじゃんと思ってます。
 だって、アマチュアなんだもの。好きにすればいいじゃない。
 とは言え、自分自身でそれをやるつもりかと問われると、答えは“NO”なんだよね。私自身は、性別とか声種にこだわりを持っていたりします。だから何でも良いとは思えないのです。ああ、面倒くさい。
 つまり、ダブルスタンダードなんですよ。自分ではやる意思はないくせに、他人がやっているのはOKだし、それを受け入れちゃうわけです。ほんと、面倒くさいヤツだよね、私って。
蛇足 トスカの「テ・デウム」は、声に合わないとは百も承知だけれど、歌ってみたい曲ですが、私は面倒臭いヤツなので、たぶん歌わないたろうなあ。

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コメント

  1. 如月青 より:

    ドイツに限らず、私は歌曲は詩で選ぶほうなのですが、
    そういう意味で名曲がテナーに集まっているので、
    すとんさまには頑張って頂きたいです。
    女性の歌は曲はともかく、詩が面白くない…
    オペラ系だと、役にあった声というのを最初から振られますね。
    ただ、日本人は身体的条件もあって、レジェッロが圧倒的に多いので、
    重い方もできそうなら低め、重めにもっていくということです。
    私は外見もあってか、若いときから重めに振られる傾向にあります。
    私の若いときの先生は、典型的レジェッロでしたが、ドラマチックコロラトゥーラ
    に挑戦して、
    Traviataやりました。
    でも素人がいうのはなんですが、テクニックはともかく、
    低音がしっかり出る強い声でないと、泥水かぶった女の
    ある種のしたたかさみたいな魅力は感じられないのですね。
    というわけで、奥様に再び拍手!

  2. すとん より:

    如月青さん
    >私は歌曲は詩で選ぶほうなのですが、
     エラい! 歌曲を歌うなら、そうでなきゃ!
     一方私は、歌はサウンドで選ぶ人です。詩は…結局分からないまま歌っている事も少なくないです。歌詞には特に興味ないんですよ。
     例えば、クラシック歌手(特にテノール)もよく歌っているクイーンの曲なんて、意味なんて考えたら、バカバカしくて歌えません。でも、あのメロディーやコード進行には、うっとりするしかありません。
     クラシック系もオペラだと、意味なんて考えるだけ無駄!みたいな曲もたくさんあります。でもカタルシスの解放を考えたら…テノールアリアって素晴らしいよね。だから、私は、歌曲よりもオペラアリアを好むんだと思います。ソプラノ系のアリアは、カタルシスの解放と言うよりも、カストラート譲りの超絶技巧に舌鼓を打ちつつ味わうんだろうなあって思ってます。
     椿姫なんて、超絶技巧の塊のようなアリアが満載だもんね。

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