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結局、ソリストさえしっかりしていればOK?

 昨年末は、例によって、第九とかメサイアとかの合唱曲を多く聞きました。年末にオーケストラ付きの合唱曲が多く演奏されるのは、音楽家のボーナス捻出のためという裏事情があるものの、今やすっかり日本クラシック音楽界の冬の恒例行事になった…とも言えます。

 とにかく、私も昨年末、恒例行事として第九とかメサイアとかを聞いたわけです。それも、だいたい毎年同じ団体の演奏を聞いていたりするわけです。

 で、毎年毎年同じ団体の同じ演奏を聞くわけですから、当然前回と較べて、良かった悪かったと勝手な評価を下すわけです。で、その感想を、演奏会終了後に仲間内で共有して楽しむわけです。

 で、私は思ったのでした。結局、今回の演奏会が良かった悪かったと判断する、その基準の一番大きな要素は、合唱団の出来でもなければ、オーケストラの出来でもなく、ソリストたちの出来如何にかかっているって事です。

 これは私がソリスト大好き人間だから…と言うだけでなく、他の人たちの意見を聞いても、だいたいソリストの出来が、そのコンサートの出来に直結しているようなのです。

 まあ、考えてみると分からないでもないです。オーケストラというのは、プロであれ、アマであれ、1年間で大きく変わるものではありません。もちろん、アマオケの場合は、コンサート中のアクシデントが皆無というわけではありません。例えば、曲が進むにつれて疲れてきた弦楽がうねり始めるとか、肝心なところでホルンがひっくり返るとか、トランペットが飛び出すとか…色々あったりしますが、そういう団体は、だいたい昨年も似たような事をやっているし、昨年盤石な演奏を聞かせてくれたところは、たいたい今回も盤石だったりするんです。

 一方、合唱団は…と言うと、大抵はアマチュア団体なのですが、オーケストラ以上に安定しているところが多いです。上手な団体は毎年上手だし、それなりの団体は安定してそれなりだったりします。

 でも、ソリストは違います。ソリストはたいていプロ歌手ですが、同じ演奏会であっても、昨年と今年でメンバーが異なる事の方が多いです。人が変われば、当然、あれもこれも違うわけです。また、同じ人が昨年からの引き続きで歌うこともありますが、ソリストって、面白いぐらいに安定しないんですよね。たぶん体調とかの都合もあるのでしょうが、すごぶる良い歌を歌ってくれるともあれば、なんとも精彩に欠ける時もありますし、大きなミスをする事すらあります。

 そういう意味で、毎年年末に行われる、オーケストラ付き合唱曲の演奏で、一番の不確定要素がソリストだったりするわけで、それゆえに、その年のソリストの出来が、その年の演奏の良し悪しを決める、一番大切な要素となるわけです。

 合唱曲なのに、ソリストで評価が決まるってのも、考えてみれば面白い事です。

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