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子どもたちの声楽発表会を見に行ってきた

 先日、子どもたちの声楽発表会を見てきました。子どもたちと言っても、別に私の子どもでもなければ、知り合いの子どもでもなく、全くの赤の他人の子どもたちです。そう、私の趣味の一つである『見知らぬ人たちの発表会を見に行く』で、たまたま見た発表会が、子どもたちによる声楽発表会だったわけです。

 声楽発表会って、たいてい、趣味の大人の人たちが中心で、時折、マジ系で音大進学のための声楽教室が、中学~高校生中心の発表会を行っているわけですが、習い事の子どもたちを中心とする声楽発表会って、かなり希有な存在だと思い、興味津々で見に行ったわけです。

 出演者は、幼稚園年長組から趣味の大人まで、実に幅広い年齢層でしたが、何と言ってもボリュームゾーンは、やはり中学~高校あたりでしたが、音大進学のマジ系ではなく、趣味系のお教室のようだったので、見ていて色々と勉強になった次第です。

 まあ、個々の子どもたちは、みんな一生懸命で発表会的にはよかったと思いますが、全体を通して眺めてみると、色々と感じる事はあります。

 発表は、ほぼ年齢順でしたが、やはり小さな子の歌は、声量的に厳しいモノがありますね。私はホールの前から五列目のところに座って聞いていたのですが、この五列目ですら、歌を聞き取るのに苦労しました。もっとも、それは主催者(って先生でしょうね)側も分かっていたようで、幼稚園児~小学生ぐらいまではマイクを使って歌わせていました。で、中学生からマイク無しで歌うのですが、その中学生の歌がほとんど聞こえない。もちろん、人前で歌うので、あがってしまい、日頃よりもずっと声が出ていないという事も考慮しても、前から五列目の座席まで声が届かないってのは、キツいよねえ。高校生ぐらいになると、まあ、なんとか耳をそばだてれば聞こえるかな?程度で、安心して聞けるのは、大学生たちの歌唱でした。

 声量と年齢が面白いように比例していました。

 音大進学系のマジな教室だと、たとえ中学生でも最初から安心して聞けますから、ここは割と素に近い状態の生徒さんたちばかりなんだろうなあって思いました。

 子どもたちはほぼ全員女の子だったわけですが、ごく少数ですが、男子もいました。が…男子はキツいなあって思いました。声楽って、子どもと女声は発声の仕組みも似ているし、指導も共通なモノでいけると思いますが、男声は発声の仕組みも違うし、指導法も子どもや女声と違うどころか、テノールとバリトン&バスでも、違うんです。無論、基礎基本はどの声種でも共通していますが、人前で歌うとなると、基礎基本を越えて、声種に特有の訓練だって受けなければいけないのです。その上、変声期絶好調ならば、それに詳しい先生につかないと声を壊しかねませんが、あの子たちは、大丈夫かなっと他人事ながら、心配になりました。

 とまあ、大半の出演者たちが女の子だったわけですし、女の子って、小学生も後半になれば、ほぼ体格的に大人と一緒。だから、小学生であれ、中学生であれ、高校生であれ、大学生であれ、成人女性であれ、体格的に有利不利はないはずなのに、見事に声的には、年齢に比例して立派になっていったのは、不思議だなって思いました。

 つらつらと考えるに、これは筋肉の問題かなって思いました。

 女の子は、確かに幼くても、身長的には大人と変わらないほどになりますが、見ていると、幼い子たちは、カラダの各部の肉付きがダメですねえ。全体的に筋肉量が少なくて、線が細い感じがします。女の子の成長は、まず身長が伸びて、女性機能を含めた内蔵関係が充実してから、筋肉が発達し、あわせて体脂肪が蓄積される…という順番かなって思いました。そうならば、幼いうちは、かなり頑張らないと声は出ないねえ。だって、声って筋肉(と脂肪)で出すものだからサ。

 もちろん、テクニック的な問題もあります。これは教える先生が、中学生と高校生で教える内容を違えているせいもあるのかな?って思いましたが、中学生たちは、全般的に音域が低い上に、頭声と胸声が分離したまま歌っているので、歌を聴いていると、なんかガクンガクンした印象になりますが、高校生あたりから、歌う音域を上げてきて、ほぼ頭声のみで歌うようになり、大学生になると、頭声と胸声がきもちよく融合してくるように聞こえました。

 これらのテクニック的な違いが、音量の違いにもつながってくるんだろうなあと、聞きながら思っていました。

 それに、クラシカルな曲は高校生以上しか歌わず、中学生以下は、ジブリソングとミュージカルソングを歌っていましたが、私が思うに、曲の難易度的には、ジブリソングやミュージカルソングの方が、クラシカルな曲(と言っても、イタリア古典歌曲が中心ですが)よりも、和音進行や、メロディーの跳躍、リズム進行などを考えると、総合的には難しいかもしれませんし、ジブリソングやミュージカルソングって、マイクの使用が前提となって作曲されているわけで、それをホールで子どもたちが、マイクを使用しないで歌うのって、かなり厳しいんじゃないかと思いました。

 中学生になれば、学校で英語を習うだろうから、英語でミュージカルソングを歌わせちゃうのかもしれないけれど、英語で歌うのって、やっぱり難しいと思います。難しい英語歌唱にチャレンジさせるくらいなら、カタカナイタリア語でいいから、イタリア語の歌を歌わせてあげた方が楽なんじゃないかな? どうせ、英語の歌だって、内容的にはチンプンカンプンだろうから、だったらイタリア語でも一緒…なんて思うんだけれどな。

 とまあ、総論的には色々と思いましたが、子どもたちが一生懸命に歌う姿には、ココロ打たれますね。ただ、子どもってどこで変わるか分からないわけで、今は習い事として軽い気持ちで学んでいても、ある日突然目覚めて、歌手になりたがらないとも限らないので、どの年齢の子であっても、常に最高レベルの指導をして、いつでも音大進学、音高進学に対応できるようにしてあげた方がよいかな…って余計な事を考えちゃいました。

 それにしても、やはり、たとえ女の子であっても、小学生以下の子が声楽を学ぶのは早いかもしれないなあ…って思った事も事実です。小学生以下は、独唱ではなく、合唱の方がいいんじゃないかってのが、私の正直な感想です。理由ですか? カラダが未成熟なので、大声を出して歌うのは厳しいだろうなあって事ですよ。

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コメント

  1. operazanokaijinnokaijin より:

    子供には無限の可能性がありますので、
    親御さんは懐具合とも相談しつつ、
    学校の先生は学業成績を勘案しつつ、
    そして、親御さんも先生様も、
    子供の個性・適性・向き不向きを見極めながら、
    ピアノ、バイオリン、絵画、英語、スポーツ、などなどを
    子供に仕向けてみて、才能を開花させるべき、と思います。

    決して、小学校の先生が、自分が率いるサッカー部に
    自分のクラスの全男子生徒を強制的に入部させて、
    下手だからといって体罰を加えたり、
    オフサイドトラップを仕掛けなかったからといって体罰を加えたり、
    してはいけません。
    ああ、また、悪い思い出を書いてしまった。
    こんな私を、すとん様、どうか、お許しください。

  2. すとん より:

    operazanokaijinnokaijinさん

     おっしゃる通り、子どもには無限の可能性と、それを生かす未来があります。オッサンオバサンになると、可能性があっても、それを生かす未来が厳しかったりしますわな(笑)。

     でもほんと、子どもはいつバケるか分かりません。そういう意味では、子どもに接する方々は、常にその子の才能を探り、適切な方法で延ばしてやらなければいけません。そこが、教育の難しさであり、決して、画一的な教育だけでは人間は成長しないことの証だったりもします。

     しかし、無理強いはいけません、無理強いは…。才能を延ばすどころか、才能を叩き潰してしまう事だってありますからね。

     下手な子をぶん殴ると上手になるなら、指導者なんて、楽な仕事だよね~。

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