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合唱部が廃れ、吹奏楽部が健在である理由

 かつてどこの学校にも合唱部と吹奏学部はありました。でも、今の学校には、まず合唱部はありません。吹奏楽部はたいていありますが…。

 なぜ吹奏楽部は元気で、合唱部は死に絶えてしまったのか?

 一番の原因は、そもそも日本の音楽好きな若者は、歌が嫌いで、楽器演奏が好きという、そもそもの嗜好の問題があると思われます。

 基本的な日本人の性質は、おおむねシャイで、自分を表現するにしても、素の自分をダイレクトにそのまま出していくのではなく、何かを介在させて、自分そのものは奥に引っ込んで表現したいと思うわけです。

 YouTubeで自分のチャンネルを開設するにしても、自分の顔や声を直接出していくのではなく、いわゆるVTuberになって、顔はアニメで、声は加工するかは読み上げソフトを利用していく…って感じで自己表現をしていくわけです。自分の顔や声をさらして画像を作っていく方が楽だし、簡単なのに、わざわざ困難で面倒であっても、顔を隠し声を細工していく手法を利用するのは、基本的にシャイだからです(あと、身バレが怖いというのもあるでしょうね)。

 なので、音楽に関して言えば、楽器はちょうど良いのです。楽器の演奏で自分を表現するのは、いい感じで素の自分が引っ込むので、気分が良いのです。歌は自分の声を使う、わけで、言わば“素の自分”が出てしまい、あまりにダイレクトに感じるので敬遠されるのです。

 ではなぜ、昔は合唱部や合唱が盛んだったのか? それは貧乏だったからです。

 昔は学校にお金がありませんでした。軍が解体された時に、軍楽隊が使用していた楽器が学校に降りてきたところはラッキーで、多くの学校は貧乏なので、吹奏楽部はあっても、なかなか楽器が買い揃えられなかったのです。購入できても、ボロい楽器をほんの少しだけです。学校によっては、楽器は自己負担が原則の学校もあったわけで、当然、吹奏楽部は多くの音楽好きな生徒を吸収できなかったのです。だから、音楽が好きな生徒の幾人かは、楽器の必要のない合唱部に行ったのです。

 別に歌が好きだから合唱部に行ったのではなく、歌も好きだったから合唱部に行ったわけだし、もっと正直に言えば、お金が無かったから合唱部に行ったのです。貧乏が恥辱に勝っただけの話なのです。

 で、そういう生徒が大勢いた時代は、それなりに合唱部も盛んでしたが、今は、どこの学校にも楽器があります。十分にあります。たから吹奏楽部を希望する生徒は吹奏楽部に入部する事が可能です。それどころか、弦楽器まで揃えて、オーケストラ部すらある学校もあります。

 楽器の供給が豊富にあれば、自然な事で、合唱部の人気が落ちるのです。そこに少子化の影響もあって、生徒が集まらなくなり、廃部…ってわけです。

 そうやって、若い世代にとって合唱の文化が縁遠くなれば、今は各地にたくさんある市民合唱団も、後継者不足で、やがては廃団になっていくのは、これまた自然の摂理なんでしょうね。

 所詮、日本人には歌は似合わないって事なのです。

 また、ごく少数いるだろう、本当の歌好きは、密室であるカラオケで、歌いたいという欲求を発散させるので、わざわざ合唱部に入るなんてしないのです。人間関係煩わしいしねえ。

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