これはある意味、アマチュア向けの発想なのかもしれません。
私は学生時代に柔道などを嗜み、黒帯を取得しております。学生向けの柔道には、初心者向けには級位があり、そこを越えると段位という格付けがあり、これらは帯の色で分けられます。
まず始めは、誰でも白帯です。で、稽古を重ねて昇級試験を受けます。ここをクリアすると級位がもらえます。級位と言うのは、三級、二級、一級ってヤツで、いわゆる“茶帯”ってヤツです。小学生なんかだと、もっと下の級があり、色々な色の帯があるようですが、私は高校生から柔道を始めたので、そのあたりは不案内です。
茶帯と言うのは、普通は通過点ですから、実際に茶帯を購入する事って、あまりないと思いますが、まれに柔道に適性がないのに頑張っている人(つまり、これ以上の昇級昇段が難しい人)は、諦めちゃったのか、茶帯を購入して使用しちゃいますね。私がいた柔道部の先輩にも数人いました(そういう先輩は、結局、段位は取得できませんでした)。
私は茶帯を購入しませんでした。一級になっても白帯を締めてました。ま、これが普通です。
で、昇段試験です。私は初段は簡単に取得できました。柔道始めて一年もせずに初段を取りましたが、そこから先は挑戦しませんでした。と言うのも、その当時の私は、試合で他の選手と対戦すると、初段の選手相手には勝ったり負けたりできましたが、二段相手には全く歯が立たなかったんですよ。二段相手に対等に戦えないと二段になれません。だから、自分は二段になれる器じゃないって、当時思っていたんだと思います。
だから、私は柔道初段止まりなんですわ。でもまあ、一応、黒帯なので、満足はしています。
で、音楽の話。それもクラシック音楽の話。
柔道の黒帯に相当する資格と言うのは、クラシック音楽の場合は、音楽大学卒業という資格なのだろうと思います。地方の音楽家協会などの団体に入会する際の条件の一つに「音楽大学卒業」ってのがありますからね。音大卒業は、音楽をやる上でプロとアマを分けるための資格…という扱いなんだろうと思います。
逆に言うと、演奏家としての実績がなくても、音楽大学を卒業しているというだけで、プロの音楽家扱いを受けるというわけで、音楽大学の卒業証書を持っているか持っていないかって、クラシック音楽の世界では、大きな違いなわけです。
と言う訳で、アマチュアの世界の話です。ですから、我々アマチュア音楽家の多くは、音楽大学の卒業証書なんて持っていません。実はアマチュアの中には、音大の卒業証書を持っていて、でも黙っている人もいますが…そういう人は例外扱いにします。と言うのも、逆差別…じゃないけれど、特に合唱団だとか吹奏楽団だとかの団体競技系のグループにいる人などは、自分が音大卒だと知れると、アレコレあるようで、居心地の悪さを感じるようなので、自分が音大卒である事を黙っていたりするわけです。まあ、黙ってたらバレない程度の実力ってのも、アレかなって思いますが…。
ともかく、アマチュア音楽家の世界では、原則的に、みんな無資格で音楽をやっているわけです。
私、クラシック音楽の演奏を普及させたいのなら、武道の段位認定のようなシステムがあったら、少しは違うかなって思うのですよ。つまり、アマチュア音楽の世界を無資格の世界ではなく、民間認定資格の世界にしたらいいと思うのです。
と言うのも、日本人って、資格大好きでしょ? 資格が取れると思うと、急に張り切る人っているじゃない? アマチュア音楽にああいったものを導入すると、客層が広がると思うんだよね。
「今、合唱8級だから、来年の試験では7級目指すぞ」とかね。「ウチの団では、初段以上の資格がないとパートリーダーになれないので、まずは初段取得を目指して頑張るぞー」とかね。
ま、私は、たとえあったとしても、音楽の昇段試験なんて受けないけれどね(笑)。と言うのも、私は資格認定とか検定試験とかが嫌いだし、ああ言った面倒なモノは苦手なんです。試験なんて受けるよりも受けさせる方が好きだし(笑)。なので、個人的には魅力を感じない、音楽の昇段試験ですが、アマチュア音楽業界に導入できたら面白いなあって思います。
と、ここまで書いて思い出したのは、ヤマハやカワイで行っているグレードってヤツです。
カワイはピアノと電子オルガンだけのグレードみたいですが、ヤマハはピアノと電子オルガンの他に、管楽器(フルート・サックス・トランペット・クラリネット)、クラシックギター、ドラムス、指導(ソルフェや楽典、聴音のグレード)など、各種のグレード試験があります。これってまさに、音楽の昇段試験ですね。
フルートのグレード試験ってやっていたんだ! 知らなかったなあ…。今度、フルートのグレード試験…受けてみようかな(笑:冗談です、たぶん受けません)。
まあ、オトナの音楽演奏と言うと、一番多いのがピアノですが、その次に多いのが、たぶん、ギターやドラムスやキーボードだと思います。つまり、バンドをやりたい人が学ぶ楽器ですね。この手の人たちは、たぶん試験というモノ自体が嫌いな人たちだと思うので、グレード試験があっても、たぶん受けない(笑)でしょう。
となると、その次は管楽器って事になるわけで、だからヤマハは管楽器のグレード試験があるんだろうと思います。
そこで、歌関係のグレード試験って無いのかしらね? 歌は声楽でも、合唱でもいいけれど、これらの音楽をやる人の中には、検定試験が好きって人もいるだろうから、それはそれで面白いと思うんですよ。あと、カラオケ好きな人も検定試験好きかも。ただ、いわゆるポピュラーヴォーカルをガチにやっている人は、バンドの人たち同様に、試験嫌いかも(笑)。
歌、特に合唱の人は、真面目な人も多く、検定試験が好きなタイプの人が多いから、合唱検定なんてあったら面白いかもね。そう思いませんか?
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コメント
すとんさん、
こんばんは。音楽の検定試験面白いです!
声楽の試験があったら絶対うけます。
アマチュアの中では音大卒はそれだけで実力があると見られれますが、音大卒者の間では実力はピンからキリまでで音大を出ている=プロではないという認識のようですね。
だからこそ、プロ、アマ関係なく検定試験なんかあったら面白いなあと思いました。
以前それ関連でお話をふるだけふって長い間頂いたご意見をスルーしていました。すみません。
インフルエンザや細菌感染で寝込んでいて一週間前に元気になりました。
あれから友人はその方とまた演奏会でたまたま会い、向こうから「音大卒じゃないから私達とは違う。あなたはいくら上手くなってもプロにはなれないよ」的なことを言われたそうです。そのプロの方はイタリアの音大卒で、今は小さいジョイント演奏会にたまに出演されていて、素敵な演奏をする方でしたが、そんなこと言ってくる方は微妙なので友人承認を拒否されて良かったのかなあと思いました。
すみません、付け足しです。
今は検定試験がないのでアマチュアが音大卒と同等の肩書きを得るには音大卒者がたくさんいるコンクリールに出てファイナリストになるなどが確実なのかなあと思います。
そうですね。ピアノは音大でなくても、グレードテストを受ければ、人にピアノを教えてもよいでしょうが、、声楽は少なくても音大卒か留学経験がないと、ほぼ無理でしょうね。。
テスト?検定あったらよいですね。○○期会や○○歌劇団の研修所に入れれば、それが一番かもよ。当然、テストあり入団許す許さない、が発生しますもの。。現に普通の大学卒業してから、それらいずれかに入団し、オペラ歌手になるかた、実は結構いらっしゃいます。でも、そしたらさ、大枚はたいて音大卒業意味なく、なんかな。いやその、音大は人脈の為には重要ですが、、。しかし、重要人物を師匠にすれば、それもまた、打ち消され、、まあどの学閥に所属しているか、は大事大事ですが、、まとまりませんでした。あしからず(笑)
チューリップさん
検定試験があっても、プロの皆さんは、まず受験しないので(だって低い評価だと失うモノが多いですからね)、アマチュアが音大卒と同等の肩書を得るのは、検定試験では無理だと思います。たとえ検定試験があっても、高みの見物でアマチュアを見下してくるのが、危機感を感じている音大卒の方々…って事になりそうだなって思います。
なので、検定試験はあくまでも、アマチュア世界での格付けと言うか、楽しみや資格って事になると思います。
>アマチュアが音大卒と同等の肩書きを得るには音大卒者がたくさんいるコンクールに出てファイナリストになるなどが確実なのかなあと思います。
たぶん、検定試験が出来ても、それは変わらないと思います。
もっとも、たいていのコンクールでは、そもそも音大卒じゃないとエントリーできないコンクールが多いですから、なかなかプロ対アマチュアって構図が無いのが実情でしょうね。
アデーレさん
>○○期会や○○歌劇団の研修所に入れれば、それが一番かもよ
現実的に、クラシック系の音大非卒の歌手がプロになろうと思ったら、これしか道はないと思いますし、実際、私がまだ二十代で、歌を始めた頃は、当時の先生から、声はありそうだから、歌が上達したら研修所への道があるよ、うんぬんの話をされた事があります。ま、上達する前に、その門下を破門されてしまったので、プロにはなれなかったんだけれどね(笑)。
>現に普通の大学卒業してから、それらいずれかに入団し、オペラ歌手になるかた、実は結構いらっしゃいます。
むしろ、プロとして活躍したいのなら、音大行くよりも、研修所で勉強した方が確実みたいですね。
>しかし、重要人物を師匠にすれば、
楽器の世界ならともかく、歌の世界では、門下とか師匠筋ってのは、そんなに強いつながりではないみたいです。歌は、門下筋よりも、実力と営業力と社交性とコミュ力のようです。いや、それよりも販売力かな? いまでもチケットを売りさばける枚数で役が決まるうんぬんの話は堪えませんからね…。
すとんさん、声楽のためのグレード試験はありますよ。
ABRSMというイギリスの団体が行っていますが、日本ではローランド社が窓口になっています。
内容は、
・初見テストあり。これにもグレードがつき、そのグレードによって、歌で受験できるグレードが決まる。
・ある程度の上位のグレードになると、それよりも下のグレードを予め取る必要がある。
・自由曲は無伴奏で、好きな民謡を歌うこと
・複数のジャンルのグループから指定された任意の曲を1曲ずつ選ぶ。
どの急にも必ずミュージカルなどのポピュラー曲のグループがあり、必須になっている。
・急によって、課題曲の言語は、複数でなくてはならない。
・課題曲で日本歌曲はなし。英米歌曲が多い。なぜか中華圏の受験生が多いため、中国歌曲もある。
私は、ヤマハのグレードを器楽で受けたことがありますが、グレードって、相対評価でなくて絶対評価なのです。競争にはならず、指定された曲を間違わなければOKという感じでした。発声の美しさとか表現力、細かい技術なのは、一体評価の対象になっているのか、疑問が残ります。
グレード試験ですか? !励みになる手助けになるならいいかもしれませんね。
私の行っているカルチャーでは、私は「中級」とされています。
そして、何と初級クラスより月謝が割高です!
納得いきません。でも、中級だと・・・思いたい。笑。
ドロシーさん
あるねえ…英国王立音楽検定(略してABRSM)ってヤツですね。ホームページの情報では、今ひとつ分かりかねますが、本気で受験するならば、直接問い合わせて聞けばいいわけだ。年2回やっているそうですね。
正直、知名度が今ひとつだけれど、こんな検定試験があるとは知りませんでした。
>・課題曲で日本歌曲はなし。英米歌曲が多い。なぜか中華圏の受験生が多いため、中国歌曲もある。
これが難しいかも。趣味の声楽の人って、日本語オンリーの人たちがたくさんいるし、外国語も、イタリア語かドイツ語であって、英語は苦手って人多いし、中国歌曲を歌える人って…いるのかな? このあたりのハードルが高めに設定されているっぽいねえ。
まあ、私なら、英語の歌曲でも問題ないけれど…な(笑)。複数の言語の歌を歌わないといけないなら、英語と…多少はあるだろうイタリア語の歌でも歌うかな?
ヤマハあたりが声楽のグレードをやってくれれば、きっと、あっという間に普及しそうなんだけれど…なあ。
うさぎさん
私、声楽はY先生に直接師事しているのでクラスは無いのてすが、フルートはカルチャーを利用してH先生に習っているでクラス、あります。
なんと、私、上級なんですよ、ビックリでしょ? 一番上のクラスで、クラスごとにお月謝が異なるのですが、私、最高価格で習ってます。
…とは言え、H先生のクラスは、皆さんほとんど上級者なので、だからどーしたって話なんだけれどね…。実際、たぶん、私が一番、技術的に未熟なヤローだろうし…。
一応、基礎、初級、中級、上級の4クラスありますが、アルテが終了すると、問答無用で、上級なんです(って、フルートやっている人しか分からないよね)。
…なんか、それって違うような…って気がするんですが、あえて文句は言わない事にしています。
ドロシーさんも上げられておられますが、ABRSM(Associated Board of Royal Schools of Music)が有名ですね。 Royal Schools of Music には、あの有名な王立音楽院(Royal Academy of Music)も入っています。「段位」には、Grade 1〜8があり、その上に Teacher’s Diploma と Performer’s Diploma があります。英国の大学で音楽をやるには、Grade 8が要求されますね。昔の話ですが、グレード8を受けるには、Music Theory (楽理)も取っていなければならなかったと思います。その他、Teacher’s Diplomaを受けるには18歳以上でなければならず、教育心理学とかそういう教科もあったような…。逆に演奏はGrade 8レベルで良かったような気もします。Performer’s Diplomaは、音大卒業レベルですかね。わたしは、16か17歳の時にGrade 8を取っていました。その頃が一番うまかったですね(汗。今はとても無理です(^^;) まぁそのうち、もう一度受けなおして見ようかなとも思います。すとんさんもいかがですか?
参考までに、フルートの Grade 8 の課題のリンクをおいておきますね。
https://jp.abrsm.org/en/our-exams/woodwind-exams/flute-exams/flute-grade-8/
Natさん
見ました。かなり本格的と言うか、マジ系の段位のようですね。
それで思い出したのが、フルートのH先生の言葉。先生はドイツに留学し、一時期はドイツでフルートの仕事をしていたようなのですが、ドイツでは、音楽の仕事(当然、演奏です)をするためには、資格(確か国家資格…と言っていたような気がします)が必要で、まずはその資格を得ないと音楽家として働くことができないし、プロの音楽家ですとも名乗れない…って話です。
だからH先生は、事あるごとに、日本でもドイツのように音楽家に資格制度を取り入れるべきだし、音大出ただけの下手くそがプロとしてのさばるのが許せない…みたいな事をよく言います。先生の理屈は、上手な演奏家だけが、プロの仕事にありつくべきだという実力主義なわけです。
まあ、音楽にかぎらず、仕事って、実力だけじゃゲットできないんだよなあ…と門外漢の私は思うわけですが(笑)。仕事の内容にもよるけれど、めちゃくちゃ上手だけれどコミュ障の人より、多少下手くそでも社交的な人と一緒に仕事したいものね。実際、仕事って、常にトップクラスの人が要求されるわけじゃないし…さあ。その仕事のクオリティに必要にして十分なだけの力量があればいいわけだしね、何事もさ。
閑話休題。もしかすると、この王立音楽院の段位も、ヤマハのグレードのようなお遊び(ごめんなさい)ではなく、仕事と直結するようなガチマジの資格のようなものなのかな…って思いました。
ヤマハのがどうかは存じ上げませんが、王立音楽院のは、真面目にやるなら避けては通れない関門ですね。
ちなみに、大学の音楽学部に進むには他にラテン語やイタリア語も必要だったと思います。それ無しでは教会音楽も歌劇も無理ですものね。文学や歴史ももちろん求められますね。原作読まないで関連曲の演奏はあり得ないですからね。
Natさん
ヤマハの資格は公的なモノではなく、あくまでも広い意味でのヤマハ関係者内だけで通用する資格です。別に持っていないからと言って、どうとかなるモノではありません。
>大学の音楽学部に進むには他にラテン語やイタリア語も必要だったと思います。
アチラの話ですね。日本の音大は入学時にラテン語やイタリア語は必要ないですし、おそらく、音大卒業要件にも入っていないと思います。
まあ、自分たちの文化を学ぶ彼らと、彼らのマネをしていく我々との違い…が、そこにあると言うと、ちょっと言い方が厳しいですね。
とにかく、日本では、公的な音楽家の資格は“音大卒業”ぐらいしかないのが実情であり、それではアマチュア音楽家は、全然楽しめないよねって、話は振り出しに戻ってしまうわけです。